その日、太陽のもとで何が在ったか?(5)グロテスクな事実

 ……あれはさあ、なんだったんだろうね、弘仁。



 ああ、なんだったんだろうかな、篤。そこだけはまったく共感だよ。

 ……そう。そうなんだ綾音ちゃん。置いてけぼりにしちまったな。クライアントに対して失礼だってのはわかってる……けど、ここまでもったいぶったのだってワケがあんだよ、なあ、綾音ちゃん、世のなかのたいていのことにはワケってもんが、ある。

 俺たちにとってはそれほどのことだった。

 こりゃこれで失礼ってわかっててもさ、


 うん、かなり、気持ち悪かったよね。


 ……俺はグロいと思ったぞ。あの精神のありようがな、……気持ち悪いんだ、たしかにそりゃそうでさ、でもあれ以上にありゃ、グロ動画だろ、しかもそれがリアルにあるってきちゃあなあ……。



 ……ああ、ええと。綾音ちゃん。まず俺らが謝るべきことがあるよな。


 綾音ちゃんからこれでもいちおうは信頼をしてもらえて依頼を受けたのに、できなくってほんとうにごめん。しかも相手に事情も知られてしまった。ほんとうに、ごめん。契約したわけじゃないけれど望むのであれば埋め合わせをさせてほしい。


 だあら俺はまだできない、たあ決めつけてねって言ってんだろ。


 ……うん。だから、弘仁の話を聞いて判断してほしい。

 なんども言ってアレなんだけどさ。

 弘仁は自分は成し遂げたって、……言うからさ。僕はそうは思わないけど。

 けど、それはそれ。僕たちは職業人としてありえないことをしてしまった。

 ……申しわけない。


 申しわけ、ない。



 ……じゃあ、俺の話、聴いてくれよ。ちょっと、うまく話せるかどうか……あれだが。

 そのオバさん、一回奥に引っ込んでさ、もういちど戻ってきたわけだよ。俺らそわそわ待っててさ、そんでオバさん戻ってきて、言うんだよな、支度ができましたのでって。や、なんの支度だよって感じなんだけどまあとりあえず、ついてくじゃん。そんときまでいた部屋ってめっちゃ豪華で広くて個性なくて屋敷! って感じだったんだけど、奥へ奥へ奥へって感じでめちゃくちゃ建物移動したりするのな。なんこ建物あんだよっつう、やっぱ殿上人は違うってか……。

 そんで最後、ただの一軒家っぽいとこたどりついたんだよ。なんなんだろうな、あれは。居住空間なのか……にしたって金持ちはもっと豪華なとこじゃねえと住んだ気もしねえんじゃねえかって思ったけどな。

 ……まああんな事情あんだからそういうもんかもしれんな。……ああ。


 …………。


 ――ねえ綾音ちゃん、そこになにがあったと、――なにがいたと思う?

 ……そう、コロ。コロなんだよね。だってコロに会わせてくれるってことだったから。

 僕も弘仁もなんだかふだんと違う調子になっちゃうことさ、ごめんね、……けど僕たちは虐待のたぐいには弱いんだ。じつは大学生アサシンズとかいうのもそこからはじまってるから……。

 あ、……うん、虐待? そうだね、……そうだね。



 いいよ、篤。

 俺が、言うよ。

 ……コロっていうのはな、



 人間だったんだよ。

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