第25話 ホンダ刑事登場!

 テロ対策班にホンダ・ミサキが配属する。リオは最初、女かと思ったが筋肉隆々の男性だった。アズサが亡くなって3ヶ月が経ったが今もたまに夢に現れる。

「しかし、この部屋は暑いな?」

「クーラーが壊れてるの」

 テロ対策班センダイ支部は『ペガサス』と呼ばれていた。アオバ城のすぐ近くに基地があった。ヘリポートもある。


 センダイ郊外で民宿を営むスガワラ・チヅル夫人は寝坊してしまい、客のウメミヤ・シロウ氏は、すでに出かけてしまったらしい。あわててもう一人の客のマツカタ・ヒトシを起こしに2階へ上ったが、ドアには鍵がかかり返事がない。不安になった夫人が、近所に住むセンダイ署のミコガミ刑事課長を呼び寄せてドアを破ってみると、喉を切り裂かれたマツカタの死体が横たわっていた。


 オナガワにあるコバヤシ・アキラ邸にある「黄色い部屋」で、彼の令嬢の悲鳴と銃声が聞こえた。駆けつけた一同がドアを壊し部屋の中に入ると、そこには血まみれの令嬢の姿があった。犯人のいた痕跡は残っていたものの、姿はすでに無い。部屋はほぼ密室状態にあったにもかかわらず、犯人はどうやって消えたのか?偶然居合わせたカズマはこの謎に挑む。


 ある夜、シオガマにある公園で休んでいたリュウジは背の低い男が落とした風呂敷包みから人間の手足がこぼれ落ちるのを目撃する。不審に思ったリュウジは男の後を追いかけ、『アップル』というホテルに入るのを確認する。翌日、リュウジは『アップル』を訪ねフロントのキレイな女、ヤマシロ・メグミに背の低い男について尋ねるが、「心当たりはない」とに追い返されてしまう。ホテルの周辺の人々も背の低い男に覚えがないという。何ら手がかりを得られないままアパートに戻る途中、リュウジは実業家のカネコ・ユウゾウの妻・タエに遭遇する。タエは義理の娘のシズカが失踪したと述べ、捜査のために兄のカズマを紹介して欲しいとリュウジに懇願する。

 裸に簡単になれなくなった今、アオキ三兄弟は完璧ではなくなった。


 屋敷は厳重に戸締まりをしていたにもかかわらず、ある日突然、シズカが姿を消してしまったという話をタエから聞いたカズマはカネコ邸を徹底的に捜索し、冷蔵庫からシズカのものと思われる髪の毛とヘアピンを発見する。さらに家政婦のカワタニ・ナオコから事情聴取をおこなったカズマはゴミの回収があって間もないのにもかかわらず、外に置いてあったゴミ箱がいっぱいになり、清掃職員がゴミを回収していったという話を聞き出す。そこから、カズマはシズカはいったん冷蔵庫の中に隠された後、ゴミと一緒に外に連れだされたのではないかと推理する。


 そのころ、センダイ駅近くの百貨店のマネキンの片手が人間の女性の手とすり替えられるという事件が起こる。カズマは密かにその手の指紋を入手し、シズカの部屋に残された指紋と照合すると、指紋は一致した。前夜、その百貨店では宿直員によって背の低い男が目撃されていたが、その男は忽然と行方をくらませていた。さらにカネコ邸に若い女性の手が送りつけられる。この手の指紋もシズカの部屋に残された指紋と一致した。


 一方、タエは何者かに呼び出され、怪しい男と密会する。タエの様子を不審に思ったカズマはタエの後を追いかける。


 センダイ市郊外に開店した小さな美術商『ワタセ画廊』へ事務員としてやってきたカネコ・シズカは、店長のワタセ・マサオミと出かけたきり、行方不明となる。ワタセの正体は殺人鬼だったのだ。

 やがて、シズカは石膏像に塗り込められたバラバラ死体となって発見された。

 この事件を調べていたセンダイ署のミコガミ刑事課長とフジタ係長は密かに真犯人から尾行されていた。

 

 ミヤギ県警のオオワダ警視は便秘と闘っていた。ミツヤに頼んでスッキリさせてもらいたかったが、『僕はコーラックじゃありません!』と怒っていた。

 

 ミサキは小さい頃からホラーが好きだった。モンジャ焼きはホラーと同じくらい好きだったが、モンジャは、アオモリ県のツガル地方の海岸に伝わる怪異で、海で死んだ人間の魂が家に帰って来ることをいう。

 ヒガシツガル郡イシザキではこの亡霊の帰還を「モジャビ(亡者火の意)」ともいう。これが家へ帰って来る際には、庭で足をたたくような音がして「寒いから火を焚け」などと声がするという。

 ツガル市では「モレビ(亡霊火の意)」と呼び、夜中に大戸を叩くものであるという。あるとき、漁師が海に流されて死に、その夜中に家の大戸を叩く音がした。家人が外に出ても誰もおらず、モレビの仕業といわれた。


 同郡アジガサワ町では「モジャ」ともいい、これが家へ帰って来ると、台所の板の間でバタバタと着物の砂を払う音がして、流しでザーッと手を洗う音がするという。また同町では、「モジャ」は人間に憑くともいう。ある者が夜、全身に水を浴びたように寒くなったそうだ。


 キタツガル郡では、浜辺で火を焚くとモンジャが火にあたりに来るといわれた。あるとき、沖合いで漁船が沈没し、漁師の遺族たちが浜辺で火を焚くと、伝承の通りにモンジャが現れたという。


「モジャビ」「モレビ」などは火を意味する名前が付いているものの、『津軽の民俗』にはこれらが火をともなって現れたという記述はない。しかし後述のように、他の地方には同じく「亡霊火」といって、遭難者の霊が海上で火をともなって現れる伝承があるため、『津軽の民俗』は家に帰って来る事例のみが記載されているのであって、ツガルのモンジャも海では火となって現れるという可能性も示唆されている。


 モンジャの伝わる地方では、海、山、川で誰かが死んだときなど、人間が不慮の死を遂げた際には、その魂がその場に残るといわれており、遺体をその場から運び去った後に、改めて魂を迎えに行くという風習があった。


 遺体が失われた場合でも、死者は手向けを期待して家の近くをさまようといわれたため、必ず遺体のかわりに身代わりのものを葬り、懇切な供養が行われていた。たとえばアジガサワ町では、海で死んだ者の遺体が発見されなかったときは「シルシをヤスメル」といって、煙草入れ、枕、丹前などのように、普段から身に着けていたものを墓に納めて葬った。


 アオモリ県ゴショガワラ市では、水死や首吊りのあった場所には、雨の夜に「もる火」または「もり火」という怪火が現れるといわれ、地元ではもっとも恐ろしい化け物といわれている。これに対して悪口を言うと、その人について回る。打てば細かく砕けるが、やはり人について回る。念仏を唱えると去るといい、灯火のある部屋には入ってこないともいう。


 オナガワ町の『亡霊火』は船幽霊に類するもので、遭難者の霊が帆船などの姿となり、夜の海を行く漁船の前に急に現れ、漁船がそれを避けようとしてもまた前に現れ、やむを得ず船を止めると、それは船の形を失って燐光となり、遠くへ走り去るという。

 

「そーいや、コバヤシ・ヒトミもオナガワ出身だったな?」

 ホンダは独り言を言った。

 マツカタ・ヒトシは教員をしていた。マツカタの死体が見つかったあの民宿は海の近くにあった。


 オナガワで盗品を売るなどして小金を稼ぐリュウジ、シンスケ、マサキ、マサノリの悪仲間4人組が、一攫千金を狙って持ち寄った200万でブラックジャックに挑むも、賭け場の元締めであるマツカタ・ヒトシのイカサマによって借金を負ってしまう。

 一週間以内に返済しなくてはならなくなり、途方にくれるリュウジたちだったが、アパートの隣部屋を拠点にしているギャングが大麻の売人を襲撃する計画を立てていることを知り、これを利用することにした。


 リュウジたちは、まんまとギャングから大金と大麻の強奪に成功するが、これがギャングとマフィアの衝突を招いてしまう。

 また、リュウジたちが強奪の際に使用したいわくつきの2丁の古銃を巡って、マツカタは急所以外を銃で撃たれて重傷に陥る。リュウジたちは唖然とするも、マツカタの死によって借金が帳消しになったことに安堵する。

リュウジは令嬢を殺したときに『壁抜け』という魔術を覚え、民宿で瀕死の重体に陥ったマツカタを葬ったのだ。

 しかし、返済に充てる必要のなくなった金は、シンスケたちの裏切りで奪われてしまい、結局2丁の古銃だけがリュウジの手元に残った。


 リュウジは、ホンダにギャングとマフィアによる銃撃戦の関与を疑われるが、証拠不十分のためにすぐに釈放され、唯一の証拠品となる2丁の古銃を処分することにする。

 リュウジが橋から古銃を投げ捨てようとしている丁度そのとき、シンスケが現れて、一冊のカタログを渡して去っていった。そのカタログには、2丁の古銃の写真が載っており、500万の値打ちがあると書かれていた。

 令嬢を殺すように依頼して来たのは、ソネ・タカシという営業マン時代の先輩だ。

 ソネはヒトミと婚約したが、会社が倒産したことにより別れを告げられた。

『裏切者には死あるのみだ』

 映画の悪キャラみたいなセリフだ。

 サクラダの後ろ盾をなくしたリュウジは会社を去り、教育訓練で知り合ったシンスケたちと犯罪に手を染めた。

 マツカタはリュウジが中2のときだ。遅刻してきたリュウジに激辛カレー🍛を喰わせてきた。涙を流しながら吐いたのを覚えている。マツカタを殺したときに『怪力』を覚えた。


 ワタセ率いる強盗団は、ニホンマツのダイヤ商から4カラットのダイヤモンドを盗み出すことに成功。宝石をオナガワのボス・コバヤシへ届ける途中、小粒の盗品をさばくためにセンダイに寄る。しかし、彼の知らないところでは、密かな裏切りが進行していた。


 一方、センダイには裏柔道のプロモーターを営んでいるミカミとカワチの二人組がいた。彼らは紆余曲折の結果、天才的な腕を持つマサキと出会い、彼を賭博が絡む裏柔道の八百長に利用しようとする。同じ頃、裏切り者の罠とは知らず、裏柔道が開催されるノミ屋へと向かうギャンブル中毒のワタセだった。雷鳴が夏の夕空に響いた。


 ホンダはある組織から仕事を請け負い、品物の大きなバッグを受けとり目的地へ戦闘用バイク『グリフォン』を飛ばす。しかし、輸送中にアイヅワカマツで『グリフォン』がパンクをする。修理をしようとすると、発信機がつけられているのにに気づく。

「ハメられた?」

 太った女が近づいてきた。銃口にサイレンサーがセットしたオートマチック銃を手にしていた。

「死にたくなかったらワタシを助けなさい」

 ホンダは要求通り、女をバイクの後ろに乗せてシラカワを目指した。途中のコンビニで女に飲み物を与え、トイレに行きたいという要求を聞いてやる。トイレに行ってる間に姿を消していた。そのコンビニは組織のアジトでもあり、女子トイレの中に裏口があった。


 ホンダは女を探した。Gショックを見た。19:53。立ち寄ったドライブインでジュースを買って『グリフォン』に戻ろうとしたところ『グリフォン』が爆発する。殺されかけたホンダは怒り、依頼主、ワタセをシラカワ城近くで見つけ逮捕する。

 しかしマサキは組織のアジトから車を奪い逃走するが、車の中にはリオが乗っていた。アズサを失った悲しみから過食症に陥り、70kgになっていた。マサキはリオによって逮捕された。


『グリフォン』爆発の事でカズマが、ホンダのアパートに事情聴取に来る。

「君は尾行に気づかないほどマヌケなのか?」

「申し訳なかったです」

「君にこの国を守れるとは到底思えない」

 その後、ミカミとカワチがアパートを急襲する。ミカミは日本刀で斬りつけてきたが、カズマが素っ裸になったことで日本刀は粉々に砕け散った。

「アンタ、ナニモンだ!?」

 ホンダは唖然としてる。ホンダはアッパーカットを放ってミカミを倒した。

 カワチの手にしていたトカレフも粉々になった。

「手錠をかけろ」

 ホンダはミカミとカワチを逮捕した。


 ミカミの話からカネコ・タエが人身売買に関わる黒幕であることがわかる。家政婦のカワタニ・ナオコが『ペガサス』の基地を催涙弾で襲ってきた。

「ゴホッ!ゴホッ!」

 予想外の展開に戸惑うホンダはトラックに強引に乗せられセメント工場に連れてこられる。

「俺、セメントにされんのかな?」

 ホンダは半泣きになった。

「そう、自分を責めんと」と、カネコ・タエはくだらんギャグを飛ばした。

 もはやここまでか!?と思ったとき、カズマやミコガミ、フジタが乗り込んで来たため、タエは敢えなく逮捕された。

 タエはいろんなことを教えてくれた。

 ホンダは単身で人身売買のコンテナがあるという現場に向かう。


 そこで大勢の敵を相手に次々と倒し、とうとうナオコからコンテナを運ぶトラックを奪うことに成功する。組織を一網打尽にしたホンダは表彰されることになった。

「ホンダ君、これからもガンバるんだ」

 カズマに褒められホンダは照れ笑いした。

「もう、やめようかなと思ってます」


 

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