第22話 ゴールデンウィークは危険がいっぱい
カズマはD大学に入り、トウキョウで新しい生活していた。明日でハタチになる。
D大学の名アタッカー、アリムラ・シマがW大学とのバレーボールの定期戦を前に突然失踪してしまった。
叔母のアリムラ・ジュリの財産を狙った誘拐事件か、シマが以前お金を支払っていたという教授トモサカ・カンジはこの事件にどう関わっているのか?カズマは気になって仕方なかった。
リュウジがヒロサキのフジタ記念庭園に招待され、歓待を受ける。イワキ山を望む借景式庭園で、高台には和館と洋館が建っている。リュウジは空を飛んでやって来た。
ところが翌朝、主人のヤマデラ・シュンヤをはじめとして召使いたちがみんな消えてしまった。ヤマデラはヒロサキ公園で殺人死体となって発見され、警察はリュウジを容疑者として追及するが、リュウジの話を聞いて事件の謎は深まっていく。
アオモリ県警のオオワダ警部補(1997年に栄転、巡査部長から警部補に昇格)は、夕食中に届いたという手紙を見つけ、暗号文のような内容を久々に再会したカズマたちに示す。
『三匹の子豚の末っ子』
カズマは手紙の内容から、ヤマデラが向かっていたのは近くのレンガ造りの大きな屋敷であるとにらみ、地元の不動産屋に大きな屋敷のリストを挙げてもらう電話を入れる。
「あっ、そうそう、ヤマデラの死因は?」
カズマはオオワダに尋ねた。
「頭を斧で殴られたことによる。脳ミソがアチコチに飛び散ってた」
「おぞましい」
「それにしても、よくフジミ荘だって気づいたな?」
「三匹の子豚、長男は藁の家、次男は木の家、末っ子はレンガの家」
「けど、あれって長男と次男は狼に殺されて、末っ子だけ助かって狼に復讐を遂げるよな?何かしっくりこないな?」
「『見立て殺人』にするなら、レンガの家の人間だけは外しますよね?けど、藁の家なんてそうそうないですよね?」
オオワダ警部補は、フジタ記念公園に戻ってきたヤマデラの召使いの大男、オイカワ・リョウを殺人容疑で逮捕するが、カズマはその男が犯人ではないとオオワダに警告する。カズマはリストに挙げられた大きな屋敷の中から、怪しい屋敷に当たりをつけ、見張りをつける。
「ゴールデンウィークはいつになってもウキウキするな?」
「アニキ、茶髪にしたの?」
ミツヤは15歳になっていた。
カズマはミツヤとともに、この屋敷の女家庭教師の部屋に忍び込もうとするが、その前に屋敷の住人は逃げ出してしまう。
女家庭教師は捕らわれ、一緒に連れ去られようとしていたが、見張りをしていたカワグチ・ユウタが逃げ出してくる彼女をカズマのもとへ連れ出してきた。
アイバ・カオリは教師になる夢があった。パッとしないクラスの面々や、恋愛経験が乏しく、男性に対してうまく立ち振舞えない自分に、理想とのギャップを知る。
先輩のカズマに惹かれ、文芸サークルに入ることに決めた。カズマはなぜかカオリが気になるようである。カズマとの初デートの顛末や、同じくカズマを狙うサエコとの争いなどを経験し、カオリは傷つく。
大学内のコープでバイトに励むタツヤとは、入学式以来何かと会う機会があり、カオリは打ちのめされるたびによくタツヤから助言をもらっていた。
タツヤは借金返済のメドが立たず、裏の仕事に手を染める。事情を知るカオリやカズマには虚勢を張る。カズマは結局サエコに取られてしまう。
アリムラ・シマは首を吊っていた。公園の木でだ。
センダイ署の食堂で、フジタ係長とミコガミ課長はニュースを見ていた。
「オオワダ、頑張ってるかな?」
ミコガミはトマトジュースを飲んだ。
「彼なら大丈夫でしょう?」
フジタは同格になったオオワダを応援していた。
ワタリが遅れて入って来た。
「飯まだだったの?」と、ミコガミ。
「ええ、不良少女の相手は大変ですよ。自殺かぁ?イジメかな?」
ワタリが牛丼を食べながらニュースを見る。
「さぁ?」
ミコガミは首を傾げた。
カズマはシマが自殺ではないと言っていた。どこで裸になったのだろう?オオワダは気になって仕方なかった。シマ、そしてヤマデラを殺した人間はカワグチ・ユウタらしい。
リオ、アズサの2人はミツヤを追いかけていた。『三匹の子豚の末っ子』とは、アオキ三兄弟の末っ子、ミツヤに違いない!アズサは断言した。ミツヤはススキノを爆走している。「待て!こら!」アズサの声が背後から聞こえる。ミツヤは全裸になった。翼をはためかせ空を舞った。
カワグチはハコダテにやって来た。『死ぬまでに誰かを殺す』という目標は漸く達成出来た。カワグチは裏の仕事をしていた。女を紹介するという仕事だ。ヤマデラは常連客だが、『ブスはいらねぇ』『安くしろ』などクレームが多かった。標的にはうってつけだ。シマは教え子だった。カワグチはコーチをしていた。
シマがトモサカと援交をしていたのは前から知っていた。
『家族に知れたら大変だね?』
公園のベンチで乳繰り合ってるときに首を絞めた。タツヤ、トモサカも手伝ってくれた。ハコダテ山から見た夜景はノスタルジックだった。霧が出ていて市街地の灯りが滲んで見えた。2日目はフェリーでアオモリまで渡り、特急でオオダテにやって来た。約100年の歴史を持つコサカ鉄道の廃線を活用したアクティビティ、渓流のゴウゴウという音がする。レールバイクに乗ったが結構怖かった。オオダテ市内のホテルにやって来るとパトカーに囲まれた。
クソっ、ここまでか!?
カワグチはアーミーナイフをジーンズのポケットから取り出し、頸動脈を掻き切った。
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