第18話 スパロウ

 2月6日

 三菱自動車工業が『パジェロジュニア』を発売。ワタリは貯めた金を使って買った。

 

 アオキ・カズマ率いる命知らずの『ブルースリー』は、ヒタチにて誘拐された富豪、イマガワ・カズキの救出作戦を実行。

 激しい戦闘を繰り広げながら見事に成功させる。今回の作戦で一時的にチームから離れることとなったミツヤと共に救出されたイマガワをセンダイに送り、イバラキに戻った一行だったが、リュウジは旅行に出ることを申し出る。

「クサツにでも行ってゆっくりしようかな?アニキもくる」

「おかしなこと考えてんじゃないだろうな?」

 そんなカズマの前にセンダイ署の刑事課長ミコガミが現れ、カマフサヤマ山中に墜落した輸送機の積荷を回収する仕事を持ちかける。彼はカズマらがヒタチで暴れたことで手に入れる筈であった金を失っており、その借りを返すためにこの仕事を受けなければカズマらを刑務所送りにすると脅しをかけ、カズマはやむをえず依頼を受ける。

「親父が死ななかったらこんなことになんなかったんだ」

 カズマは第三次世界大戦で死んだ父親に怒りを覚えた。

 カズマはフジタ係長を加え、カマフサヤマの墜落現場に赴く。フジタの協力で、輸送機の残骸から積荷の回収に成功する。しかしその直後、同じく積荷を狙っていたツチヤ・ケン率いる犯罪武装集団『スパロウ』がカズマらの前に現れる。ケンが積み荷を渡すように要求したため一触即発の状態になるが、リュウジがケンに捕まっていることから、カズマは抵抗せずに積み荷をケンに渡す。

 しかし、ケンらは引き揚げるときに『ブルースリー』のメンバー、ミナモトを殺害し、姿をくらました。ミナモトは『鎌倉ペガサスズ』の元打者だ。

 カズマは、ミナモトが愛する女性のために自分で稼いだ金を送ろうとしていた献身的な青年である事を知り、仲間の仇を取るためにケンの行方を探す。

 フジタから積み荷の中身を聞き出した事で、ケンの居所をつかんだカズマらはヒタチへと向かう。『スパロウ』に支配されたヒタチのある街では、プルトニウムを掘り出すために住民が容赦なく連行され、弱ったものは殺害されていた。

 カズマらは残された住民の悲惨な叫びを聞きながら採掘現場へと乗り込むが、タッチの差でプルトニウムを取り出し終えたケンは輸送するために港へと向かう。

 オオワダやアズサ、リオも合流し、港で壮絶な銃撃戦がはじまった。カズマは銃撃戦のときの轟音で難聴になってしまった。


 2月11日 - 安房峠道路水蒸気爆発事故。4人死亡。

 

 カスミガ浦の近くに『スパロウ』のアジトはある。トパーズにペリドット、数々の宝石が隠されていた。

 アジトにケンが行ったところ、見張り当番のトダ・ジュンが薬で眠らされており、宝石もなくなっていた。トダはアジトから徒歩5分ほど離れた茂みの中で、頭を鈍器のようなもので殴られ、腿を刃物で切られた死体で発見された。死体の右手には血の付いた外科用のメス、左手には昨晩アジトにやってきた男がかぶっていたハンチング帽を持っており、ケンは殺人事件の容疑者としてハンチング帽の持ち主、フキイシ・シンを追った。


 ケンが調査を進め、近くの窪地に犬の足跡を見つける。トダの恋人ユミとともにその足跡を追うと、犬の足跡に並んで人間の足跡が認められ、八百屋の前まで来ていた。ケンが店長のタツミ・ミキに、彼女に「アンタが殺したのか!?」とダガーナイフを突きつけて脅した。ミキは観念し、「贅沢な生活して何が悪いのぉ!?」と泣き叫んだ。


 2月13日

 近鉄バファローズを退団した野茂英雄の、米大リーグロサンゼルス・ドジャース入団が決定。


 ナメカタ市に住む女子高生、カワグチ・スズはカレシのニシノ・ユタカと共に犯罪者を取り締まる活動を続けていた。ある日、スズはユタカから『スパロウ』の男が、女子高生を倉庫に監禁したという話を聞き、直ちに人質の救助に向かい、そこでヤギと熾烈な戦闘となる。ヤギは火炎放射器で襲いかかってくるが、スズはケガ1つ負わなかった。

 結果2人ともが警察に捕まり、刑務所に入れられてしまうが、そこにはスズの仇敵、イタオ・ユキも収容されていた。


 2月20日

 マツダが「プロシードレバンテ」を発売。センダイ署の覆面パトカーとして採用された。


 昼過ぎ、カズマとリュウジはイタコに住む小児科のモロオカ・リュウセイから依頼を受ける。モロオカはセト・メイという未亡人と結婚していた。彼女は若い頃、トウキョウでオカダ・コウタロウという弁護士と結婚して子供もいたが、麻疹で2人とも亡くしてしまい、モロオカと知り合って夫婦になったのだという。

 今は辛い過去も忘れて幸せに暮らしていたが、ある家族が彼の近所の別荘に引っ越してきて以来、不吉な影が差し始める。モロオカが挨拶しようと別荘のドアをノックすると、無愛想な女がろくに返事もせずにドアを閉めてしまい、その家の2階の窓からは不気味な黒い仮面の闖入者が覗いていた。


 さらにその前後からメイの様子がおかしくなって、300万もの大金を無心したり、深夜に外出するなどの不審な行動を取るようになった。そして、件の別荘からメイが出てくるのを目撃したモロオカは彼女を問い詰めるが、「私を信じて、何も聞かないでください」というメイの必死の訴えに、渋々ながら「無理に秘密を打ち明けろとは言わないが、その代わり、私に黙って 夜中に出かけたり、隠れて何かしないと約束してくれ」という条件付きで許した。だが後日、メイが約束を破って再びその別荘を訪れた事を知ったモロオカは、別荘を家探しするが、先日の無愛想な女や仮面の怪人の姿もなく、もぬけの殻であった。しかしもはや妻を信じられなくなったモロオカは、藁にもすがる思いでカズマに助けを求めに来たのだった。

「トウホクやホッカイドウでは数々の難事件を解決したんだろ?」


 カズマはモロオカに、イタコへ戻って問題の別荘の様子をうかがい、人がいるようならすぐに知らせるように指示する。そしてカズマは全裸になり、リュウジに自分の推理を語る。

「ヘソにゴマが溜まってる」と、リュウジ。

 亡くなったというメイの先夫は実は生きていて、精神を患ったか何かの理由で夫に耐え切れなくなった彼女はイタコに逃げ帰り、夫は死んだと偽ってモロオカとの新生活に入るが、居場所を突き止めた先夫はその別荘に住み着き、全てを暴露するぞと恐喝している、というものであった。


 ☎ジリリリ!

 リュウジは受話器を取った。

 モロオカからだった。

「別荘にはやはり住人がいる。例の黒い怪人も見えた」

 カズマとリュウジはモロオカに付き添って別荘に踏み込む!メイの制止も振り切って、カズマ達が見たものは――おもちゃの仮面をかぶった少女だった。そしてもはや隠し立てできぬとメイは全てを語り出す。彼女の先夫のオカダ・コウタロウは身体障害者であり、立派な人柄に惹かれた彼女は人種の壁を越えて結婚し、娘をもうけるが夫は病死してしまう。彼女はイタコに帰ることにしたが、娘の体が弱いため、泣く泣く妹のチナミ(例の無愛想な女)に預けた。

 しかしモロオカに求愛されるに至り、その事を言い出せないまま結婚したものの、子供の成長の手紙が届いて、会いたさにいても立ってもいられなくなり、夫から無心した300万を送金して、数週間だけ近くに いさせるつもりで別荘に引っ越して来させた。娘は父の病が罹患し顔が爛れていたので、黒い仮面をかぶらせていたのである。


 その告白を聞き終ったモロオカはしばしの沈黙の後、娘を抱き上げてキスをした。

 一件落着し、センダイへ向かったカズマは新幹線の中で、リュウジにそっと囁くのだった。

「ねえ、リュウジ。もし、この先、僕が自分の力を過信したり、事件に対して相当の骨折りを惜しんだりするようなことがあったら、遠慮なく怒ってくれよ?」

「任せとけよ」

 

 2月23日 - 本田技研工業が「セイバー」を発売。


 2月25日

 TOKYO FM系『JET STREAM』の初代のナレーターを28年間を務めた城達也が死去。


 2月28日

『スパロウ』によってモロオカ・リュウセイ逮捕監禁致死事件発生。モロオカは劇薬などを提供するようにツチヤ・ケンから命じられたが断った為にセンダイ郊外にあるアジトで黒いビニール袋をかぶせられ、後頭部を拳銃でブチ抜かれた。


 3月8日

  海の日が制定され、翌年7月20日より施行された。


 3月19日

  テレビアニメ『ルパン三世』のルパン役等で知られたヤマダ・ヤスオが死去。

 カズマはNHK7時のニュースで知った。『カリオストロの城』は母親に連れて行ってもらった。母親は戦争のときに行方不明になってる。

「ヌーフフフ、フージコチャーン」とミツヤが真似した。


 3月20日   

『スパロウ』によって青葉城でテロが起きた。マシンガンやライフルが乱射、15人が死亡、42人が重軽傷

 

 3月22日

 警視庁&ミヤギ県警、『スパロウ』の全施設の強制捜査を開始。

「亡くなった人たちの為にも全力を尽くせ!」

 会議室でミコガミは怒号を上げた。


 3月29日

 NHK総合テレビで生活情報番組『ためしてガッテン』放送開始。


 3月30日

 センダイ署のマルヤ署長が署の玄関先で短銃で狙撃される。病院に搬送され緊急手術がなされたが、命に別状はなかった。事件が発生したのは13時半でカズマは寝室のベットで寝ていた。

 母親におんぶされて坂道を歩いてる夢を見た。明日から高校生活がはじまる。

 

 4月8日

『スパロウ』の幹部タツミ・ミキ、フキイシ・シンがイバラキにあるミト市内の雑居ビルで逮捕。ワタリ警部補の尽力のお陰だ。


 4月12日

『スパロウ』の幹部ニシノ・ユタカがヤマナシにあるシモベ温泉で逮捕される。ワッパをかけたのはオオワダ部長刑事だ。


 4月15日

『スパロウ』のツチヤ・ケンが東京に隕石大が落ちると予言した日。いわゆる4月15日予言であり、独り歩きした予言は『スパロウ』のテロ実行という噂へと変貌し、前日から東京一帯では厳戒態勢に陥った。


 4月15日

 テレビトウキョウ、人気バラエティ番組『出没!アド街ック天国』放送開始。


 4月19日

 ヨコハマ駅異臭事件が発生。7月6日に犯人を逮捕。『スパロウ』とは無関係の人物による犯行だった。


 4月20日

『スパロウ』の幹部、カワグチ・スズを逮捕。スズはストックホルム症候群に陥っていた。カズマも捜査に協力しており、センダイ郊外にある防空壕にいることをサーチした。但し、放課後と土日のみという条件付きだ。ミヤギ県警の取調室でブレザーとスラックスを脱ぐときはメチャクチャはずかしかった。


 4月22日

 日本全国の公立学校でそれまでの毎月第2土曜日に加え第4土曜日も休業日となる(学校週5日制)。


 4月23日

『スパロウ』の幹部イタオ・ユキが刺殺される。現場はセンダイ署の駐車場だ。護送バスに乗り込むときに黒ジャンバーのフードをかぶった男がバッ!とダガーナイフで襲いかかってきた。

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