第17話 食べログ殺人事件
青木一馬 宮城県警刑事部長
青木龍二 殺し屋
青木三矢 医者
緑 明子 ナース
服部啓之 殺し屋
本田岬 宮城県警刑事部主査(警部)
榊原英雄 石巻署署刑事課長(警部)
井伊嶽広 軍人
富樫潤 石巻署刑事(警部補)
酒井茂 院長
パーティ会場を抜け出した女に、1人の男がそっと近づいてきた。男は彼女の悲しみと孤独を見抜いて、彼女に煙草を勧める。震える女を抱き寄せ、愛を囁きかける。そして女が彼に気を許した瞬間、男は彼女を射殺する。
女は坂下深雪というイタリアンレストランのオーナーだ。
仕事を終えた殺し屋、龍二は、女の小切手を奪って現金に変えた。深雪の経営している『レイン』というレストランは石巻市にあるが、食べログで5位だった。今、流行りのタピオカなんかも出していた。
「次は4位の『趙雲』があぶない」と、青木一馬。一馬は宮城県警の刑事部部長だ。『趙雲』は石巻駅にほど近い中華料理屋だ。
強面な大男である井伊嶽広は『趙雲』で坪内五月という美女と出会い、ホテルにて一夜を共にする。しかし彼が目を覚ますと五月は死んでおり、直後に警官隊が駆けつけてくる。
辛くもホテルから脱出した井伊は、五月を殺し自分を陥れた犯人に復讐すべく、部下の富樫潤の助けを借りつつ犯人探しを始める。そして殺人鬼である山内紀之との戦い、医者の青木三矢と出会ううちに、彼は犯行を企てたのが国を裏から牛耳る有力者、青木一馬であることを突き止める。一馬と山内は『殺戮クラブ』のメンバーだ。
それを知ってしまった五月は自らの身を守るために井伊を頼り、しかし殺されてしまったのだ。
井伊はこれが自分の妄想ではない事を確かめようと国分町を歩き回って五月の縁者を探し、彼を犯人と思い込む三矢の誤解を解いて、全てが現実である事を確信する。その強面のせいで一度も女を抱いたことがなかった井伊を、打算づくとはいえ五月は愛してくれた。
井伊は一度は敗北した山内に逆襲して彼を鮫に喰わして殺した。
天元病院の院長、酒井茂に三矢は接近する。
井伊はついに県警に乗り込む。井伊は一馬を殺害するも、SATの銃撃を受けてしまう。
一命を取り留めた井伊は、一馬たちの分まで罪を着せられ、刑務所で処刑を待つばかりの身となった。そんな井伊のもとを三矢が訪れる。
「兄貴がすまないことをした」
翌日、井伊は電気椅子で処刑されかかる。彼の脳裏には三矢との一夜が焼き付いていた。
すごい体をしていた。
「この体を駆使していろんな事件を解決してきた」
マシンガンで武装した三兄弟に井伊は助けられた。
「助けてもらっていいんですか?」と、井伊は言った。
「いいんです👍」
一馬は親指を立てウィンクをした。
顔を変えて仙台に戻ってきた服部嶽広。恋人である緑明子に手下と共にしつこく付きまとう福田忍に対し、服部はきつい制裁を加えて追い返すことに成功する。
体に蜜を塗りたくり、スズメバチに刺されて福田は意識不明に陥る。
しかし、妙な胸騒ぎを覚えた服部は、明子の制止を振り切って彼らの車を追いかける。
福田は服部の元恋人である金田麗美が仕切る娼婦街へ赴く。彼はそこで見つけた娼婦のヒカルを無理やり連れて行こうとして拳銃を取り出す。
福田は龍二によって四肢をバラバラにされて殺害されてしまう。
龍二は鋭い刃のついた鎖を武器にしていた。
ところがそこで福田の正体は刑事であることが分かり、麗美は震撼する。
服部は国分町を救うため証拠の隠滅を図るが、娼婦街を手に入れようとするギャング・『玄武』が彼を狙う。
巨大なミキサーで福田の死体を解体しようとした服部は玄武一味の襲撃を受け、危ういところを一馬によって救われる。
一馬は小型マシンガンを搭載したドローン『キルボ』で玄武一味を一掃した。
しかしベッキーの裏切りによって情報を掴んだ玄武一味の下部組織、朱雀一味が、既に娼婦街へと乗り込んできていた。人質となったヒカルとの交換で、服部は福田の死体を一味へ引き渡す。
その死体には細菌兵器が仕掛けられていた。一瞬の不意をついた服部は朱雀一味を倒し、ヒカルを救い出す。
一馬は、食べログ殺人犯である石田光則を追い詰めて重傷を負わせ、『趙雲』のオーナー、王を助けることに成功する。ところが相棒である本田岬に裏切られ、銃で撃たれてしまう。
「俺はあんたのせいで弟を失ったんだ」
しかし数馬は重傷を負いながらも生き長らえていた。石田光則の父親である、石田紀光議員の復讐として、一馬は食べログ殺人の犯人にされてしまう。だが、龍二と三矢だけは一馬を信じ、彼に手紙を送り続けた。一馬はその手紙を支えに尋問に耐え続ける。
11月末、龍二たちからの手紙が途絶え、彼らが狙われていることを知った一馬は、罪を認めて刑務所から出所し、石巻の海沿いにあるログハウス風の弟たちの家に会いに行く。石田たちに拉致られギロチンの刑にされたんじゃ?と、一馬は心配していたが彼らは元気そうだった。
「どうして手紙くれなくなったんだ?もしかしてあれか?消費税が上がって生活が大変なのか?」
総理の血も涙もない政策により8%から10%に上がってしまった。それにより閉店を余儀なくされる店も出ていた。
「違うよ、最近つけられてる気がするんだ」
龍二が言った。
テーブルの上にはサイコロが置かれてあった。
「青葉城に行ったときに見つけたんだ」
三矢が言った。『独眼竜』として名を馳せた伊達政宗の居城だ。
サイコロは金粉が施されていた。
このサイコロは6つのワールドに行くことのできる不思議化アイテムだ。
⚀ 天道
⚁ 人間道
⚂ 修羅
⚃ 畜生
⚄ 餓鬼
⚅ 地獄
天道
天道は天人が住まう世界である。天人は人間よりも優れた存在とされ、寿命は非常に長く、また苦しみも人間道に比べてほとんどないとされる。また、空を飛ぶことができ享楽のうちに生涯を過ごすといわれる。しかしながら煩悩から解き放たれておらず、仏教に出会うこともないため解脱も出来ない。天人が死を迎えるときは5つの変化が現れる。これを五衰(天人五衰)と称し、体が垢に塗れて悪臭を放ち、脇から汗が出て自分の居場所を好まなくなり、頭の上の花が萎む。天の中の最下級のものは三界のうち欲界に属し、中級のものは色界に属し、上級のものは無色界に属する。
人間道
人間道は人間が住む世界である。四苦八苦に悩まされる苦しみの大きい世界であるが、苦しみが続くばかりではなく楽しみもあるとされる。また、唯一自力で仏教に出会える世界であり、解脱し仏になりうるという救いもある。地表の世界。三界のうち欲界に属する。
修羅道
修羅道は阿修羅の住まう世界である。修羅は終始戦い、争うとされる。苦しみや怒りが絶えないが地獄のような場所ではなく、苦しみは自らに帰結するところが大きい世界である。
畜生道
畜生道は牛馬など畜生の世界である。ほとんど本能ばかりで生きており、使役されるがままという点からは自力で仏の教えを得ることの出来ない状態で救いの少ない世界とされる。他から畜養(蓄養)されるもの、すなわち畜生である。地表の世界。三界のうち欲界に属する。
餓鬼道
餓鬼道は餓鬼の世界である。餓鬼は腹が膨れた姿の鬼で、食べ物を口に入れようとすると火となってしまい餓えと渇きに悩まされる。他人を慮らなかったために餓鬼になった例がある。旧暦7月15日の施餓鬼はこの餓鬼を救うために行われる。地表の世界。三界のうち欲界に属する。
地獄道
地獄道は罪を償わせるための世界である。地下の世界。三界のうち欲界に属する。
3兄弟の近くにはその近くには食中毒の治療の副作用で醜く変貌した小西由紀恵が潜んでいた。
ゾンビのように顔が爛れた由紀恵はバイトとして『趙雲』に潜入、大腸菌を焼売やら餃子に混入した。
龍二は緑明子を自分のものにした。
「じゃあ夜勤に行ってくるね?」
白衣に着替えると明子は粉雪の舞う宵闇の街に出た。
ふとした隙を突かれた龍二は、明子を由紀恵に誘拐されてしまう。由紀恵は明子を『趙雲』の食料庫に閉じ込め、龍二を待ち伏せる。龍二は由紀恵の手下を一人ずつ始末しながら、必死に明子のいる楼閣の屋根の上にやって来る。
龍二は苦戦を強いられるも、死闘の末にマチェットで由紀恵の首を斬り落とした。
「ヒギャァァッ!」
龍二は⚁、由紀恵は⚂だった。
修羅は人間に勝つことは出来ない。
明子を救い出すことに成功した。
「息子を失った石田紀光は俺たちを憎んでるだろうな?」
龍二は一馬に重傷を負わせた光則を背後から鎖刀で絞め殺したことを思い出していた。
明子を榊原英雄に任せた龍二は、紀光に勝利した。紀光はバズーカで襲撃したが、⚀で天の力を授かった龍二は白い翼をはためかせ、石巻上空に舞い上がって砲撃を回避した。天空から鎖刀を放ち、紀光の喉笛を掻き切った。
娼婦街での抗争から一人逃げ出してきたヒカルは『趙雲』にやって来て焼売を食べた。
「生きてるって素晴らしいな?」
ブラインド越しに差し込む朝日が眩しい。
龍二は次の標的を見定め、新しい街へ旅立った。
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