第16話 ワタリ刑事登場!
アオキ・カズマは2人いる。もう1人はボンクラ。
1995年1月10日……オタルを去り、ヒタチナカの海辺の一軒家で家族であるミツヤと飼っている三毛猫のジョン、書物に囲まれた静かな生活を送っている。暴風雨のあと、事件が向こうから飛び込んでくる形で発生する。
その朝、カズマが懇意にしている人物で、近くで学校を運営しているオニワ・カツゾウと出会う。
オニワは近くの海岸へ泳ぎに行くところで、先にハセクラ・ヒュウマが行っているはずだと言った。海岸に行くと、ヒュウマがよろめきながら歩いて来て、ばったりと倒れてしまった。すでに死に瀕していたが、死の間際に「ライオンのたてがみ」という言葉を残す。
彼の身体には、細い鞭か焼けた金網で打たれたようなみみず腫れの跡が残っていた。そこへオニワの学校の数学教師のシライシ・スズが来たので、カズマたちはスズに警察を呼ぶように頼む。
カズマは海岸に他の人物がいないのを確認し、海岸にヒュウマのタオルがまだ乾いたまま置いてあるのを見つける。ヒュウマは、水に入る前か、少なくとも身体を拭く前に何者かに襲われたのだとカズマは推理する。
その夕方、ヒュウマの恋人が家族と住む『カワイ荘』にカズマとオニワは向かうが、そこでスズと鉢合わせする。
オニワはスズを問いつめるが、スズは怒って学校を出て行くことになってしまう。
カズマはヒュウマの恋人だったカタクラ・キョウコに話を聞く。
キョウコとヒュウマはすでに結婚を約束していて、今夜浜辺で会うことを約束していたという。
また、他の男たちもキョウコに思いを寄せていたことを認め、その中にスズがいたことも認めた。スズは名前こそ、『家なき子』の『同情するなら金くれよ!』のスズに似てるが、男だ。94年の流行語にもなった。
警察はスズをヒュウマ殺しの容疑者として追及するが、カズマは犯人はスズでないという。その時、カズマの家に、当のスズが瀕死の状態でよろめきながら、オニワに連れられて入ってきた。オニワによると、浜辺でスズが苦しんでいるのを発見して何とかここまで連れてきた、危うくヒュウマの二の舞だったという。スズはブランデーと応急治療の甲斐あってなんとか持ち直したが、その体にはヒュウマと同じようにすさまじいみみず腫れのあとがあった。
カズマはイバラキ県警のワタリ・アキラ警部を連れて海岸へ行き、今回の事件の真犯人である『ライオンのたてがみ』の正体、すなわち猛毒を持ち人を刺す『サイアネアクラゲ』を見せる。側にあった岩でクラゲを退治し、スズらに事件の真相、そしてサイアネアクラゲの特徴を説明する。カズマによると、ヒュウマの遺体が水中で発見されたならすぐに犯人が分かったと自らの失態を恥じる。
その後、スズとオニワは和解し、仲良く学校に帰って行った。
「せっかくゆっくりとした生活が送れると思ったのに」
カズマはアガサ・クリスティの『ABC殺人事件』を読んでいた。
「アニキももう高校生だろ?勉強に集中しなくていいの?」
旅をしていたリュウジが帰ってきた。
将棋の街、ヤマガタ県のテンドウ市に行っていたらしい。
「オマエこそ旅なんかしてていいのか?」
「学校の奴らとは気が合わないからな?」
ワタリはカズマの裸に驚いていた。
いきなり裸になって推理をしたのでショックだった。課長は事件を解決してくれたから、と逮捕を許可しなかった。
ミツヤは牛丼屋である男から話を聞いた。
第3次世界大戦開戦直前のセンダイの郊外で、アメリカのスパイ、ジョン・クルーニーはハヤシ・サブロウと会見し、翌日、センダイを引き払う段取りになった。
そこへハヤシ・サブロウが使っているスパイ、マーキュリーから電話が入り、入手した日本海軍の暗号簿を持って来るという。ハヤシはマーキュリーの能力を高く評価しており、この仕事のために高額な報酬を用意していた。
ハヤシが帰った後、マーキュリーが暗号簿が入った包みを持って現れた。マーキュリーは自分の仲間が次々と逮捕されていくことを伝え、自分の身にも危険が迫っているという。ハヤシはマーキュリーにオキナワ経由でアメリカに渡ることを勧め、暗号簿の包みを受け取った。
101-207383
38だけが他よりも小さかった。
数字を50音順に置き換えると、10でコ、1ア……核。ミツヤは頭を抱えた。
さて?残りの暗号を解読してみよう。
ハザキ海岸あるレストラン『X』にて、柄の悪いいかにもチンピラとおぼしきカップルのワタリとアズサが話をしている。2人は強盗の常習犯で、今も強盗の計画をしている最中である。
「刑事が強盗なんて世も末ね?」
アズサはピザを頬張りながら言った。🍕
ワタリは最近の強盗事情についてひとしきり語った後、今すぐこのレストランを襲おうと切り出す。アズサはそのアイデアに賛成、2人はすぐに拳銃を抜き、店内に怒声を発する。
リュウジとミツヤは、くだらない話をしながら、リュウジを裏切った青年らの部屋を訪ね、組織の取引の品である黒いアタッシュケースを取り戻す。
センダイ署の刑事課長であるミコガミから、妻のナツヨの世話を頼まれたリュウジは、彼女の望むまま食事に連れていったり、カラオケ🎤に行ったりして時を過ごす。
ところが、帰り際の車の助手席でナツヨが薬物の過剰摂取で心臓停止に陥り、リュウジは仕方なくミツヤを頼る。ミツヤは注射を行ってナツヨは蘇生する。
『カマクラペガサスズ』に所属する落ち目の野球選手であるミナモトは、敵軍、『カゴシマケルベロス』の監督のタイラから八百長試合を持ちかけられる。
ミナモトはこれを引き受けるが裏切り、本来負ける予定の試合に勝利。これによって、リュウジと共謀してノミで大きな利益を得る。
試合後、タイラの報復を怖れたミナモトは逃走し、恋人のリオと街を出ようとするが、父親の形見のバットをリオがマンションに置き忘れてきたことが発覚する。
ミナモトはマンションに戻ってバットを回収し、居合わせたタイラを撲殺、その帰路で通りがかったムトウを車で轢き、反撃するムトウと格闘する過程で両人が廃校に監禁される。
ギャングから暴行されるムトウをミナモトが助けたことにより、八百長の裏切りは免責される。ミナモトはリオとともにセンダイを出る。
組織を裏切った青年2人を殺害しアタッシュケースを取り戻したリュウジとミツヤはは、トイレに隠れていた3人目の青年から至近距離で銃撃を受けるが全ての弾丸が外れる。リュウジとミツヤは全裸になっていた為に難を逃れた。
リュウジとミツヤは、その現場に居たリュウジの知人の男、カンザワと共に現場を離れ、カンザワをパジェロの後部座席に乗せて自動車で移動していたが、ミツヤがふざけて拳銃の銃口をカンザワにちらつかせる。ふとしたはずみでその銃が暴発し、弾は彼の頭部を直撃、カンザワは死亡する。
ミツヤとリュウジは、フジタのガレージにパジェロを隠す。フジタは状況を知って激怒。恐妻家であるフジタは、妻が帰ってくるまでに死体を処理しろと言う。
ボスのワタリに連絡した結果、カズマが解決のために送り込まれ、車はカンザワの遺体ごとスクラップ業者に引き取られる。
銃撃事件の一報を聞きつけオオワダはセンダイトラストタワーの前にやって来た。ゾンビの大群がヤナギマチ・ストリートに現れた。オオワダは遮蔽物に隠れてニューナンブで次々と葬っていった。
仕事を終えたリュウジとミツヤが『X』で朝食を摂っていると、謎の黒服集団が店内で強盗を始める。
「前もこんなことがあったな?そーいや厄年だった」
ジャムおじさんみたいな店長はテーブルの下に隠れて震えてる。
ドアが開いて銃声が鳴り響いた。
黒服集団は全員撃ち殺された。
「イバラキ県警のワタリだ!皆さん、怪我はありませんか!?」
店長は周囲を見渡した。店員も客も全員無事だ。
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