第21話 真夏の殺人
1995年8月10日
『ホウオウ学園』の創立者・校長のカヤマ・マサノブがカズマの住む下宿へ訪れるが、居間へ入るなり疲労のあまり気を失ってしまう。
気を取り直したカヤマは、彼の学校の寄宿舎から、議員のコバヤシ・ヒロシの一人息子であるコバヤシ・タクヤが誘拐されたと話す。
コバヤシ・タクヤのほか、教師のトオノ・トモヒトも失踪しており、彼の自転車もなくなっていた。
8月12日
カヤマ・マサノブが、銛で一突きにされて殺されたのが自室で発見された。カヤマの自宅はセンダイ駅の近くにある。
現場にはカヤマ・マサノブと同じ『M・K』のイニシャルの入ったたばこ入れと、株券のリストが書かれ、『T・K』のイニシャルが入った手帳が残されていた。
捜査に当たったミコガミ刑事課長はカズマに助力を依頼するが、カズマは肉屋の奥で豚肉に銛を突き刺す実験をするなど、奇妙な行動に出る。
カズマとミツヤ、そしてミコガミは凶行のあった現場に向かうが、小屋の入口の鍵が何者かによってこじ開けられようとしていたことに気づく。
カズマは全裸になった。
「犯人は鍵をこじ開けることに失敗したんだ……今晩また来るだろう」と推理し、カズマたちは小屋を張り込む。その晩、一人の痩せた弱々しい青年が小屋の鍵をこじ開けて入ってくる。ミコガミがその男を捕まえると、彼はコウダ・トオルといい、父が持っていた株券がなぜかカヤマ・マサノブの手元にあったことで、カヤマから証言を得ようとしていたという。
8月13日
ミコガミはコウダをカヤマ・マサノブ殺人の罪で逮捕するが、カズマは彼のような痩せた青年が、豚みたいに太ったカヤマを銛で突き殺すことなど本質的にありえないという。真犯人は別にいるというのだ。
8月14日
センダイでダテ・マサムネの石膏胸像が連続して壊される事件が発生した。1つめの像はアオバ城近くのクジョウ・タカコの軽食屋に置いてあったもの。2つめと3つめの像は、コウダ・トオルの自宅と、分院で壊されていた。個人的によく訪れるようになったオオワダ部長刑事からこの事件の話を聞き、リュウジは興味を持つ。
その翌日、新聞記者のキッカワ・ネネの家から4つめのダテ・マサムネ像が盗み出され、更には同家の玄関先で男が殺されているのが発見された。盗み出された像は、現場から少し離れた空き地でやはり壊されていた。
「終戦記念日だってのに罰当たりだわ」
ネネは苦笑した。
オオワダは殺された男の身元を追い、リュウジは壊された像がどこで作られたものかを調査する。やがて、男が行方不明だったトオノ・トモヒトであることが明らかになる。
8月17日
ムラタ町にある教育訓練校の試験の問題用紙が何者かによって盗まれた。容疑者はその試験を受ける予定であった、3人の学生である。
問題用紙は数学・国語・英語がメインで、ゲラ刷り3枚にわたるものであった。用務員のイツキ・フミオが部屋に鍵をかけ忘れてしまい、その間に何者かが問題用紙に触ったという。
問題用紙がほうりだされているほか、窓際のテーブルには鉛筆の削りくずがあり、書き物机に3センチほどの切り傷がいくつかと粘土の小さな塊が残されていた。
試験を受ける3人の学生は、コウダ・トオル、コバヤシ・タクヤ、クジョウ・タカコである。生活安全課のワタリ警部補はまず用務員のイツキに事情を聞き、それから3人の学生に話を聞こうとする。
タクヤは行方不明になっているから1番疑わしかった。しかも、父親は議員だ。ちょっとやそっとの過ちなら揉み消すことも可能だ。
リュウジ、アズサ、リオはナトリ川で開かれた花火大会にやって来た。🎆🎆🎆
「キレイだね?」
リオは屋台で買ったリンゴ飴をペロペロ舐めていた。リュウジは妙にやらしく思えた。桃色の浴衣の下は素っ裸だ。リュウジはつい最近、14歳になったばかりだ。10歳以上も年上のリオと肉体的な関係にあった。
リオも周囲に知られたら刑事じゃいられなくなる。
8月19日
サイカチ沼近くにある屋敷で、コバヤシ・タクヤが首をナイフで刺されて死亡した。フジタ係長がかけつけたときには息があり、タクヤは死の間際に「刑事さん、あの女です……」という言葉を残し、手には犯人のものと思われる金縁の鼻眼鏡を握りしめていた。
同じ日の夜、ヒロセ川の土手でカズマはミリュウジやミツヤと遊んでいた。🎇
「線香花火ってのはどことなく物悲しいね?」
カズマが言うとリュウジが鼻で笑った。
「女から振られたのか?アニキは暗いし?モテる素質が全然ないもんなぁ?」
「ひどいじゃねーか?」
フジタ係長がカズマたちのもとに捜査協力の依頼に訪れるが、カズマは全裸になり、持ち主の特徴を言い当て、フジタを驚かせた。
翌朝、カズマとミツヤは現場に行き、犯人が通ったと思われる草の上を観察した。そこは小道と花壇の間で、どちらに足を踏み外してもくっきりと足跡が残ってしまう場所だった。
カズマはクジョウ・タカコとエッチな関係になった。タクヤを殺した犯人である可能性はあったが、欲望が抑えきれなかった。ニシキマチ公園でキスをして、🏩にやって来た。ホテルはアロマオイルの薫りがした。 コンドームのつけ方をタカコに教わり、彼女はベットの中ではM女だった。セックスを終えると、カズマはタバコに火をつけた。
オザキ・ユタカの『15の夜』を聞いたことがきっかけで吸いたくなった。この夜も何本ものタバコをふかした。数年後にはtaspoってアイテムを使わないと手に入れられなくなってしまった。
カズマはタバコの缶を落として、床にばらまいてしまう。しかし、タバコを拾い集めるうち、カズマの脳内細胞が活性化された。
カズマとリオが愛し合ってる頃、リュウジはリオの家でスーパーファミコンで遊んでいた。8月5日に発売されたばかりの『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』だ。
「クロノ、クリアしたの?すごいじゃん」
3月11日 に発売された『クロノ・トリガー』だ。
リオはカップラーメンを啜っている。日はとっぷり暮れ、外ではヒグラシが鳴いている。どことなく物憂げだ。
「楽勝だったよ」
「ラヴォス強くない?」
「まだ、そこ?」
ラヴォスは中ボスだ。
リュウジは2月24日 に発売された 『FRONT MISSION』にもハマった。
8月25日
ギンギラギンに太陽が照りつけてる。リュウジはリオとセンダイ空港にやってきた。
空港警察から駐車違反切符を切られるハプニングの後、リュウジは怪しい男2人組を見つけたため刑事の癖で後を追い、空港内の荷物室へ侵入した2人に職務質問したところ、銃撃戦に発展する。やっとのことで1人を倒すがもう1人には逃げられてしまう。
敵から奪ったコルト・ガバメントで倒したのはコウダ・トオルだった。コウダは血まみれだったが死ななかった。
男達の装備からただ事ではないと考え、直ちに現場を封鎖して捜査を開始すべきと進言したリュウジだったが、対テロ部隊のツチヤ・アズサはただの物盗りの犯行として相手にしなかった。
「このクソ暑いのに何やってんのよ!この無能!」
アズサはリュウジを罵倒する。納得がいかないリュウジは男達の正体を探るため、そこそこ仲良いフジタ係長に死んだ男の指紋情報を送って照会してもらう。その結果、先ほど目の前で撃った男は、コウダ・トオルなどではなく、第三次世界大戦のときに2年前にハコダテで航空機事故により死んだとされていたクラシナ・ケイと判明する。クラシナは整形して、コウダとして生き長らえていた。
リュウジは話にならないアズサを無視して管制塔に乗り込むと、知り得た情報を基に管制部長のシンカイ・マナブに事の次第を話す。だがその時突然、滑走路の着陸誘導灯が消え、計器着陸誘導装置(ILS)も作動不能に陥り、上空の旅客機が着陸できなくなってしまう。
事件を起こしたのは新聞記者のキッカワ・ネネと、その仲間のイツキ・フミオとクジョウ・タカコであり、その目的は白血病と戦う家族を救う為だった。高額な手術費を稼ぐ為にネネ、イツキ、クジョウはテロリストになった。ネネは娘、イツキは妹、クジョウは兄がそれぞれ白血病だ。
空港の管制システムを乗っ取ったネネは、自分達の目的を明かすと共に、シンカイに余計なことをしないよう警告する。
シンカイは緊急事態を政府に連絡すると共に管制機能を復旧させるべく、対テロ部隊主任のリオとSATを建設中の新管制塔へ向かわせ、管制機能の回復を試みる。
しかし、新管制塔へ通じる通路には作業員に変装したイツキらが待ち受けていた。一方、空港用務員から新管制塔への経路を聞き出したリュウジだったが、時すでに遅し、テロリストらに待ち伏せされたSAT部隊は全滅し、リオも負傷。
ようやく合流したリュウジが麻酔銃を撃ったことでイツキを無力化する。
クジョウ・タカコにより、新管制塔は爆破され機能回復は失敗する。ネネは警告に従わず、残り燃料がわずかであった旅客機を墜落させると脅迫。
『偽の管制指示と誤ったILS情報を与えれば、墜落させることも可能よ?』
スピーカーからネネの声が響いていた。
やがて支援としてミコガミ率いる部隊が到着し、シンカイの軽率を窘めると共にキッカワ・ネネ対策に取り組みだす。
ミコガミはあえて消極策をとって、世界的な女医、カミシライシ・アツコの着陸を許し、彼らが要求した、アシアナ航空のソウル/金浦便で高跳びする際に一網打尽にするという。
作戦に不満のリュウジは単独行動をとると着陸直後の将軍の護送機に接近し、彼の身柄を抑える。が、直後にアツコの確保に現れたリュウジらと交戦状態になり、結局、アツコには逃げられ、リュウジも間一髪で危機を脱する。再度のリュウジの単独行動にアズサが激怒するが、ミコガミはむしろリュウジの勇気を称えアズサを批判する。
ビーコン無線を使うことでネネらを出しぬいて上空の航空機と連絡を取ることに成功した空港側は、管制が乗っ取られたことを伝え、シンチトセやナリタ等、近隣の空港へ向かうことなどの指示を行う。
しかし、スカイマークなど、残り燃料が少なく、他の空港へ行けない航空機もまだ相当数残るなど完全な解決に至らない。シンカイの助言により、近くの住宅地がテロリストの拠点となっている可能性が高いことを突き止め、リュウジはシンカイをともなって現地へ向かう。
テロリストがアジトを設けたショッピングモールの外で見張りを仕留めたリュウジのもとへ、シンカイからの連絡を受けたミコガミの部隊も合流し、激しい銃撃戦が始まる。
ネネらがモービルの裏手からジープで逃げ出したことを察知した全裸のリュウジは、一味からポルシェとサブマシンガンを奪って追跡するが、何故かこちらの銃撃は効かず、一方的に迎え撃たれ、またもや間一髪で助かる。
一方ネネらはそのまま空港敷地内へ入り、準備ができた逃走用の貨物機へと向かい、ミコガミらの部隊も彼らを拘束するべく同じ航空機へ向かう。
一味から奪ったサブマシンガンのマガジンには空包が装填されていたことに気づき、全てが茶番であると悟ったリュウジは、「ふざけんじゃねーよ!」と悪態をつきながら、何とか空港に帰り着き、捜査本部に乗り込む。
そしてにネネ一味とミコガミらが空砲で撃ち合っていたことを示し、初めからミコガミがネネの共謀者であったことを明らかにする。
事態を把握し激怒したアズサは対テロ部隊に出動命令を下すとリュウジに協力し、貨物機の格納庫へと急行しようとする。
しかし、対テロ部隊は観光客の混雑とアシアナ航空内部からの情報漏洩でパニック状態に陥った群衆と雑踏により組織立って行動できず、またもやリュウジ一人が敵地に乗り込むこととなる。
リュウジはある富豪に依頼し、自家用ヘリコプターで滑走路へと運んでもらう。
ネネやミコガミ、アツコたちを乗せ、既に滑走路を動き始めた貨物機の主翼に飛び移ったリュウジは、補助翼の可動部に服を挟んで操作不能にする。
「オリャアッ!」
全裸になったリュウジの脳内がスパークした。カヤマ、トオノ、コバヤシの3人もネネの部下だったが裏切ろうとしたのでネネに粛清されたのだ。問題用紙を盗み出したのはコバヤシ・タクヤだ。さらに、ダテ・マサムネ像を破壊したのも彼だった。恐怖を与えてこれ以上ヤバいことをするのを止めるつもりでいたのだ。
リュウジに気付いたネネは、彼を振り落とすべく同じく主翼に降り、格闘戦が始まる。
「死になさい!」
ネネは激しいキックを浴びせてきた。
軍隊格闘の達人であるネネには歯が立たないリュウジは逆に翼から落とされ、ネネは布を取り除くと操縦席へ戻る。だがリュウジは落とされる時にエンジンの燃料バルブを開けており、バルブからは航空燃料が漏れ出ていた。リュウジは悪態を付きながらも、漏れ出た燃料にライターで火を点けると、炎が導火線のように燃料を伝い、航空機は飛び立つ瞬間に爆発する。
航空機爆発の残火が着陸誘導灯の代わりとなり、上空に残っていた航空機が続々と着陸、無事に全機助かる。リュウジはリオと無事を確かめて抱き合った。
「生きててよかった」
リオは激しく舌を絡めてきた。
ネネを倒したリュウジは『飛空』を覚えた!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます