Day1 “モブ”ステータスは可能性無限大?
──放課後
サッカー場のフェンスに佐向さんの姿。
「佐向さーん」と呼びかけると僕に気がつくなり、佐向さんはスタスタと逃げるように校門に向かった。
「な、なんなの!?」
「いや、ナゼに逃げる?!」
逃げる佐向さんに追いついて、呼び止めた。
「ていうか、ダレ?」
僕は覚えられてすらいなかった。
「君がこけた時に・・・」
「あーアナタね。忘れてって言ったでしょ。」
強気な性格でキリッとした目に睨みつけられると、緊張する。
「さっき見てたの西野?」
「だったら何なのよ」
「『好きなのかなーって』」
「っな!」
佐向さんは顔に出やすい。図星だって顔に書いてある。どっかで強気な女子を落とす主人公がいたよな・・・。たしかその男は────
「やっぱり、だよね笑」
「なによ」
「『君みたいな強気な女子が西野みたいなやつ好きになるんだなってさー笑』」
「バカにしないで。初対面なアナタに偉そうに言われたくないわ」
「『ふーん。俺にはわかるよ、君の恋が無謀だってことくらい。現に君は文化祭で西野に振られてるらしいじゃん?』」
一人称俺に変えて、慣れないドSキャラを演じる。
「それに幼馴染の存在って厄介だよなー。君も知ってるでしょ?」
「それが何よ…」と佐向さんはうつむく。
「あれは友達以上の関係ではあるよね。『もしかしたら既に付き合ってたりしてー?』」
「それはヤダ!」
初めて僕の目を見て声を上げたような気がした。
そんなに西野のことが好きなんだ・・・なんかムカつく。
「『手伝ってあげよっか?』」
現実を見してあげる──なんて偉そうだけど、正直みんな西野みたいな主人公タイプ好きなことにイラつく。ちょっとくらい悪くなったっていいだろ。
佐向さんは何か言いたげだが意外と素直に「わかった」と承諾した。
佐向ルートは選択肢ミスかな。だけど、好感度ゲージは変動してないし、佐向さんに近づく手段もこれしかない。本命じゃないから、西野とくっついたらそれはそれで好都合だけど、攻略対象だから僕に惚れてもらえるような努力はするつもり。
僕、性格悪くなったな。ドS演じたつもりがただの性格悪い男じゃないか。
⿴⿻⿸
リリンッ
──Day1──
一日の進捗と僕のステータスが表示された。
・小悪魔系・ドS
キャラの性格の欄に追加されている。この欄は元々空白だった。元がモブだから、西野や豊村みたいに目立つステータスはないけど、性格は作り放題ってことか。いや、どんな雰囲気でも溶け込んでいるモブだから“どんな役でも上手く演じられる”。これこそが僕の特殊能力なのかもしれない。
このステータス、可能性は無限だー!!
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