Day1 意識させたい

「ねえ、さっきからどうして黙ってるの?君から誘ったのに放ったらかしは寂しいなー」


佐向さんが西野に告白しない為にはどうすればいいのか──と考えてたらいつの間にか昼休みになっていて、緑山先輩が教室に迎えに来てくれた。

待たせてしまったことで好感度59に少し下がっている。


屋上で二人きり。屋上からは体育館の中も見える。


「体育館で豊村くん練習してるよー!」


体育館では豊村が自主練していた。


「豊村くんってほんとに練習熱心だよね。昔から努力家だし、彼が1年でレギュラー取ったときは、私も自分のことみたいにうれしかったなー。」


「先輩は豊村と前から知り合いなんですか?」


「同じ中学だったんだ。私も女バレに所属しててね。高校入ってから私はバレー辞めたけど。」



──ピコンッ


新たな情報が追加されたという通知が鳴った。


先輩はさっきからずっと豊村の話ばっかり。好感度59でもまだ僕に興味持って貰えてないってことだ。好感度は上がっても興味持たれなければ、意味が無いだろう。恋愛に発展しない男友達止まりだ。先輩は攻められるのに弱いから・・・


「『先輩、豊村の話ばっかりで、僕のこと放ったらかしにしないで?寂しいよ』」


「ごめんね・・・」

先輩はすまなそうな顔をした。


「寂しいけど、先輩にそんな顔させられる豊村が羨ましい」


「そんな顔って?」


「恋してるなーって感じの顔ですよー。」


そう言うと先輩は照れて、顔を赤らめる。


「『僕も先輩にそんな顔させたい』。少なくとも、僕は彼氏役を引き受けたわけだし、僕にも興味持って欲しい。だから『明日の昼休みも先輩を占領していい?』」


じーっと先輩の目を見つめて、先輩がコクっと頷いたら、「たのしみー」と小悪魔的微笑みを返す。ここまで全て姉に借りた漫画の小悪魔系男子の受け売りで、僕のキャラじゃないけど、先輩攻略には効果的だった。


──リリンッ

最終的に昼休み時点で先輩の好感度75。

先輩って意外とチョロい?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る