Day3 ナイスタイミング!

 佐向さんとの約束⋯⋯。冴島の気持ち⋯⋯。

 どちらも無下にできない。はぁぁあ、どうしよう。


 ──ピコンピコン

 僕の気持ちなんか無視して、無慈悲に選択肢は現れる。

「『────』」

「『──────』」

「『──⋯⋯


「あのさ──『⋯⋯」


「きりしまー!グループ決まったー?良かったら、俺も入れて欲しい!」


 ナイスタイミングで豊村がやってきた。以前、豊村はクラスに友達少ないと言っていたのを思い出した。


「それと、廊下で佐向さんと会って⋯⋯。佐向さんも一緒のグループに入りたいらしいけどいいかな?」

 豊村の背中の方からひょこっと佐向さんが顔を出した。二人とも「よろしくね」と豊村と佐向さんを迎え入れた。


 ────キーンコーンカーンコーン

 四限目の終わるチャイムが鳴った。


「お昼ご飯、みんなで食べない?どこ回るかとか話し合いたいし!」

 冴島が提案すると他の3人も賛成した。

「それいいねー、机くっつけようか!」

 みんなが机を並べ始めたが、僕はその中に入れなかった。


「ごめん!昼休みは先輩と約束してるから⋯⋯」


 あの時、流れで『明日の昼休みも先輩を占領していい?』と小悪魔を演じ、約束した。


「桐島、まだやめてないのか?」

 豊村は心配そうな顔をしている。豊村は唯一『一日カレシ』のことを知っている。


「うん。⋯⋯(みんなには秘密にしてて)」

 豊村に耳打ちし、教室をあとにした。一瞬感じてしまった、冴島の鋭い視線に気付かないふりをして。

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