Day3 複雑なスキ (冴島編)
「ごめん!昼休みは先輩と約束してるから⋯⋯」
──ズキッ(行かないで欲しい・・・)
桐島くんは緑山先輩と昼休み過ごすんだ。そりゃ、付き合ってるんだからそうだよね。
一瞬、行かないで欲しいと思った。言ってしまいそうになってぐっと堪えた。
桐島くんに対するこの気持ちは、きっと何かの勘違いなんだと何度も自分に言い聞かせた。桐島くんの好きな人が私なのかな、と図々しいこと思ってしまったあの日から私はおかしくなった。
「リノも抹茶すきだよな!カフェとか巡るのもいいんじゃない?」
「…。」
私はずっと前からトオルのことが好きだ。今もその気持ちは変わらない。トオルと修学旅行を一緒に過ごせるのが嬉しかった。トオルとだったら何処でも楽しいと思う。・・・でも、桐島くんとももっと話したい、色々知りたい。文化祭の時の桐島くんの好きな人が誰だったのかも気になる。
「リノ、聞いてる?」
「ごめん、考え事してた!抹茶、めちゃくちゃ好き!大好き!」
トオルは小さい頃からの私の好みも全てわかっている。気も合うし、一緒にいて居心地がいい。
「佐高さんもパンケーキ好きらしいし、豊村も普段行かないところ行きたいって。京都の寺社回りながらカフェ行ってみよう!」
佐高さんも豊村くんも、トオルの意見に賛成した。
同時に二人好きになるのはおかしい?不純?
本当の“スキ”って何なの?トオルに対する好意と桐島くんに対する好意は同じものなのだろうか。
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