一日カレシ?!
「(先輩、さすがにそれは・・・無理です)」
「(冗談ですか?)」
「(僕にできることならしますけど・・・。相談乗りましょうか?)」
ここは無難に3番目の答えが良いだろう。
今まで常に正解であるだろうと思う回答を選んできたけど、もし不正解な回答をしたら、僕と先輩の関係はこれで終わってしまうのだろうか。その答えはバッドエンドに直結する回答なのか、はたまたハッピーエンドなのか。どんな回答しても先輩との関係は何も変わらないのかもしれない。先輩との関係はまだ何も明かされてない。
これまで冴島と西野の付き合う未来を変えたいと告白ルートを避けてきた訳だが、1週目に関わりのなかった緑山先輩との未来を僕は知らない。
僕は今後先輩とどんな関係を築きたいのだろうかと深く考え込んでしまう。
刻一刻と回答までの制限時間が迫る。
残り9・・・8・・・7・・・・・・・・・3・・・2・・・1・・・
・・・0
「冗談ですか?」
僕が選んだのは2番目の回答だった。あまりにもぶっきらぼうで突き放すような答えかもしれない。
先輩は首を振って、申し訳なさげな表情を浮かべた。
「ううん。本気。今日の試合、元彼の棚澤くんも出るんだけど、「試合見に来てくれ」ってしつこくて、豊村くんとの関係もまだ疑ってるし、そしたら別の男の人と一緒に行けば諦めてくれるかなって思ったの。私もこんなことを桐島くんにお願いするなんて変だと思う。でも、どうしても桐島くんじゃなくちゃダメな気がして、桐島くん以外に頼めなかった。」
「僕じゃないとダメって?」
そう聞くと、先輩は何か言おうとしたけど止めて眉じりを下げ「・・・言えない。」とだけ言った。
微妙な空気が流れを断ち切ったのは、豊村からのメッセージの通知だった。
『あと30分で試合始まるけど着いた?』
時計を確認すると、会場への到着予定時刻をかなり過ぎていた。
『ごめん!遅れそう!!』
『気をつけて来いよ!!』
豊村の返信を確認して、「先輩、急ぎましょ!」と先輩の手を引いて、会場まで急いだ。
「ふー、ついたー」
会場に着いた頃はちょうど休憩中だった。
豊村たちのチームは今のところ勝っている。
「桐島くん、さっきの話・・・」
「いいですよ。頑張って演じます」
不安しかないけど、先輩は本当に困ってるんだろう。文化祭準備の時も何かと助けてもらったからその借りも返したい。
「ほんと!?!ありがとう。」
先輩はほっとした表情を浮かべて、持ってきたタオルを首に提げて応援する格好を整え、僕に同じ色のチーム名入りのタオルをくれた。
僕も先輩に倣ってタオルと豊村らへの応援に集中することにした。
同じ格好で隣合う僕ら。他に応援に来てる人も同じ格好をしているけれど、僕と先輩はちゃんとカレカノに見えているのか??
──試合再開のホイッスルが鳴る。
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