匂わせ・・・?
西野と会話を交わさなくなってから一週間経った。特別なイベントが2週間後に控えているのに選択肢が現れず、何もアクションが起こらないのはおかしい。
「ねえ、トオルと何かあったんでしょ?」
毎朝の水やり中に冴島に訊かれた。
「・・・うん。」
「話聞くよ?」
「ううん、大丈夫。僕が悪いんだ」
冴島に余計な心配をかけたくない。出来ればあまり関わりたくない(本当ならもっと話したいけど・・・)
それに冴島に言えるような話じゃないし。
「じゃあ何かあったらいつでも相談乗るからね。あっ、そうだ!!LINEしてる?」
「う、うん。してるよ」
「放課後、待ってて!!LINE交換しよ!!絶対だよ!!」
「え、あ・・・?」
始業のチャイムに遮られるように会話は終わり、「授業始まっちゃう!!急ごー!」と冴島は駆け出す。
ピコン、ピコン
『放課後、冴島を待ってLINEを交換する』
『先に帰る』
『LINE持っていなかったと嘘つく』
ら、ラインんんん......?!?!
********
普段誰からの着信もLINEの通知も来ないスマホを手に固まる。今日は通知が来ている。
見慣れないクマのぬいぐるみのアイコンに「元気(。´・ω・)?」の顔文字付き。
送り主は“りの”
冴島梨乃だ。
「うん」
LINE持ってないと嘘つけば良かった。
面と向かっての会話じゃないからこそ
僕の悪い癖が出やすい。
僕はSNSだとコミュ障が発揮されない。
よく『LINEだと性格変わるよな〜』と笑われる。だから、あえて素っ気ない返信。別に女子とのLINE慣れしてないわけじゃ・・・ないんだ。
「トオルと何があったの?」
「西野を怒らせたみたいなんだ」
「なんで?」
なんでって。それは西野が冴島のことを・・・いいや、西野に余計な勘繰りを入れた僕が悪い。
返事に困っていると冴島から来た。
「ねえ、何か私の事言ってた?」
『 はい、あなたのことしか言ってません。』
『むしろあなたが原因です』
『どうしてそう思うの?』
使えそうな選択肢の無さ。
この選択肢は僕の語彙力と比例しているのだろうか。
「どうしてそう思うの?」
既読が付き、数分経った。
「うーん。ちょっと気になってさー笑」
「気にしなくていいよ!!」
「ごめんね!変なこと聞いてm(_ _)m」
ごめんねって・・・・・・。
どうしてみんな思わせぶりなことを!!
笑顔でグッドをしてるスタンプを送り、
スマホを閉じて枕に顔をうずめる。
ねえ、泣いてもいいですか?
好きでいるの辞めさせてもらえますか?
もう振り回されるのは勘弁だ!!!!
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