ようこそ、天橋女学園へ

「藍菜さんこの高校、いいっ」「あ゛?」


天気に恵まれた屋上から学園を見回すレンズは声が弾む


朝によく見るその顔と鼻の下が長い顔たちは、伝統古い女子高の取材に訪れたが

高い知名度に行く手を阻まれここで騒ぎが収まるのを待つ事にした


今もかなりの数の鬼がかくれんぼに参加している


「原くん、後で撮ったの見るからね?」「ぇ~~」


小さな悲鳴が意味する理由をお茶の間が知る事はない

それなら本当にその映像は使えないのだろう


下を覗く皆の死角にこそこそと動く男が何かを尻のポケットに入れた

手鏡でグロスを塗り直す朝の顔の鋭い視線はその瞬間を見逃さない


気を抜く男の背後に回ると「取った~、あっ」高く掲げられたそれは手を離れ

弧を描きながら手すりの奥へと落ちていく


天女たちの笑い声が彩り飾る「虹の園」へと

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