ディスアセンブラー

ウェパール:………うわあああっ!


(敵の刃が胸元を貫いている。同じ組成の"なのましん"であるのが災いしてか、少しずつ意識を侵略されていく……)


<……ヒトを、倒す………?

障害となる………抹消………>


リエル:(どう、しよう…………

僕たちの思いが……書き換えられてく……このままじゃ……せん、せーの願いを…叶えられない………

い、イド……もうダメなのかな。


これ以上狂うくらいなら……僕たちは……)


イド:(俺はお前に従う。いつでも"打てる"……悔いはない)


リエル:(ごめんね、せんせー……"使っちゃダメ"って………言われてたのに。)


ウェパール:………でぃすあせんぶらー!

(呪文を唱えた瞬間、刃ごと敵の身体が消滅した。自動修復機能を奪う攻撃を受け、為す術もなかったのだ)


………あ、あはは…っ。

初めてだよ…………こんな大きな……怪我。とっても痛いんだね……

(胸元には刃の大きさの傷があった。いつもなら自動修復機能であっという間に治るのだが……)


ウェパール:………血が……止まらない。これが……"死んじゃう"って事?


日向:………ウェパール!どうして、"あの呪文"を…


(日向は動けなくなったウェパールを抱えている)


ウェパール:あの、ね……侵略されちゃいそうだったの…。せんせーと戦う、なんてできないもん……


(ウェパールは最期の力を振り絞り首からネックレスを外すと日向に渡す)


おね……がい……

せめて一緒に…………連れてって…

最、後の…わがまま……


(日向がネックレスを受け取った瞬間、ディスアセンブラーが発動。ウェパールの身体は消滅した)


日向:………ウェパール、申し訳ありません。道具として使役した私に…最期まで従ってくれて……


なのに……自害させてしまうなんて……!


"せんせー、謝らないで………

全て解決したらどっちみち死ぬって

知ってたから…


頼む。あんたが望んだ結末を、見届けさせてくれ…それだけで俺らは…報われる……"


(声が聞こえなくなり、日向が何か言葉を継ごうとしたとき…宝石にヒビが入っていることに気が付いた)


日向:………!エーテル石が……壊れる?物理攻撃でも破壊不可能と言われているのに………


(青ざめる日向をよそに宝石は砕け散った)


…………ウェパール……?

お願いです、応えてください!


世界の理に背いた結果が、これだと仰有るのですか?


私は…"彼ら"の形見すら持つことを赦されないと………!?


それとも赦されなかったのは彼らの存在そのものだと仰有るのですか?

彼らに罪はないのに…!


(薄々勘づいていたが、日向は認めようとはしなかった。彼等の魂が宿っていた宝石が砕け散り、完全に彼等の死が確定してしまった事実を)


結末を見届けてくれるんでしょう!?今私を一人にされたら………


(遺された鎖と宝石の欠片を握りしめ、日向はただ泣き続けた。亡骸も形見も遺さず逝ってしまった道具<部下>を思い……)

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