怒り
神是:お前は良くも悪くも、人間と機械を対等に見る節がある。乱雑な言い方をすれば機械は替えが利く存在だ。
部品が破損したなら交換すれば修理できる、記録が飛んでもバックアップでどうにかなる。
だがお前は……"替え"が効かないんだ。なのに何故自分の怪我も省みずあのドローンを庇った?
乙梨:…………樹の言いたいことは分かるよ。でもね、それでも我慢できなかった。
神是:Si_rでもA_103でもない個体だぞ。思い入れなんて話ですらないだろう?
乙梨:だからって、わざと壊していいわけないもん。
神是:ふむ……(この程度で改めるとは思っていなかったが………)
お前、いずれそれが原因で命を落とすな。機械より人の身体の方が脆いと、自分でもよく分かってる筈だろ?
乙梨:…………でも。
神是:それに、お前の命が一時とはいえ危機に晒されたと知ったら……Si_rとA_103も怒るぞ。よりによってあいつらの目が行き届かない時に…!
(俺は少々…いや、かなり乙梨悠仁という人間を過大評価していたようだ。あの喧嘩の日の判断力は、俺の戦意を一瞬で喪失させるほどのものだった。
自らに危害を及ぼさず、かつ相手の技を完璧に無力化する……そんな奴に尊敬の念すら抱いたのにな。
変わってしまったのはその姿だけではなかった……か……)
乙梨:A_103とSi_rが、怒るの?何で?
神是:基本的にあいつらは、人間の生命維持・保護を最優先とするプログラムに従って動いている。
人間であるお前がそれに反するような行動を取れば、怒るのは当たり前だ。(俺も同程度に怒ってるが、おそらく気づきはしないだろうな)
乙梨:…………もう心配してくれるのは、機械だけか……
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