古の記録(ケルト神話)2

4.父との別れ


ルー:じゃあ、どうしてあの時……


ヌァダ:呪いが掛けられていたのだ。あの男、ミレ以外が力を込めると………無差別に命を奪う呪いがな…


(ルーは驚きからか言葉がでないらしい)


私が最後の力で、その呪いは解いた……皮肉にも、お前が刺された直後にな。


ルー:……そっか。だから、私なの?もうお父さんには……力が残ってないから…………!


ヌァダ:………すまない、ルー。別れの時が来たようだ…………


ルー:待って……お父さん……!まだ話は………


ヌァダ:………力無き者………剣に宿ること叶わず………


5.主との出会い


ルー:うっ…………うわああああん!!


(その言葉を最後に、父の声は二度と聞こえなくなった。父の死を悟ったルーは泣きじゃくる。


すると、今まで青い光を纏っていた自らの身体が………赤い光に包まれた。困惑するルー。)


うう……っ…………私、どうなっちゃうの………?


?:落ち着いて、ルーちゃん。その光は………貴女の怒りや悲しみが現れたもの。


(聞き慣れない声が聞こえたとともに、ルーの目の前に一人の美女が姿を表した)


ルー:……綺麗な…お姉さん………


?:ありがとう。私の名前はモリガン、魔剣アンサラーの守り神よ。


ルー:(………モリガンという名前、何処かで聞いたような気がする………)


(優しい微笑みを浮かべるモリガンと名乗った女性。結局ルーは、何処でその名前を聞いたのか……思い出せなかった)


モリガン:………落ち着いてくれたようね、ルーちゃん。私は貴女に提案……いいえ、貴女にしか頼めないお願いがあって目の前に現れたの。


ルー:私にしか頼めない……お願い………?(今の私に出来ることなんて………思い付かないけど…)


6.剣の話す事情


モリガン:私の力を使って、魔人ミレを倒して欲しいの。


ルー:……ミレ………!?もしかして、あの人って……


(モリガンは静かに頷いた)


モリガン:ええ、貴女も知っての通り………あの男こそ魔人ミレよ。


あいつは2週間前、神殿から私を盗み出したわ。あろうことか私に呪いをかけ、貴女のお父様に託した………


ルー:どうして、お父さんが狙われたの……?


モリガン:ごめんなさい、それは私にも分からないわ。でも、お父様には礼を言わないといけませんね。


自らの命を賭して、私に掛けられた呪いを解いてくれたんですもの。もし解かれないままなら……


近寄るもの全て、無差別に命を奪っていたでしょうから。


だから娘である貴女に、私の力を託したいの。せめてもの罪滅ぼしに……ね。


どうか、お父様の仇をとってちょうだい。


ルー:お姉さん………ありがとう。私、すごく嬉しい。


モリガン:………ふふ。契約成立、ね。さあ、私の力を受け取って。


ルー:力が……溢れてくる………!


7.決意の旅立ち


(モリガンから受け取った力は、ルーの身体を黄金色に輝かせた。やがてその光が、空を駆ける翼となった)


ルー:こ、この翼は………?


モリガン:お父様が貴女に託した、最後の贈り物よ。魔人ミレは………遥か高い空の上、其処に居るわ。


ルー:(………ありがとう…お父さん。私、絶対に……お父さんの仇をとる。魔人ミレを…絶対に許さない!)


(ルーの頬を、一筋の涙が伝う。意を決して空を睨み据えると、背中の翼で羽ばたいていった)

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