黒之主と楓(過去)2

楓:(とりあえずアタシは、この力の事を知りたいと思った。正直、どう調べたらいいのかさっぱり分からなかったんだけどね。


その時だったっけ、医者からこの力に心当たりがあるって伝を受けたのは。そん時は事実を知りたい一心で、疑いもしなかったけど………


罠だった。アタシが不老不死だと分かった後、医者が密告したのさ…。偉い手に囲まれたアタシは……全員、斬り捨てた。


それからさ、アタシが"死刑囚"として追われるようになったのは…


だけど、悪いことばかりでもなかった。医者の言葉も嘘じゃなかったからね。


どうやらアタシは力を引き継いだお陰でこうなっているらしいと言うこと。


引き継ぐ条件は……力を持つ者を仕留めること。ただそれだけ。


但し…今のアタシと条件は同じ。不老不死だからそう簡単には引き継ぐ事はできない。


ちなみにこの不老不死、どうも穴があるらしいとも聞いた。この力を引き継ぐ資格がある者に攻撃されたら、普通に傷を受けてしまうらしい。


いまだにこれだけは半信半疑なんだよね。20年経っても…"候補者"らしき輩は現れないからさ。


結局、あの時偉い手に囲まれたのは…………アタシの力を恐れて支配下に置くためだった。あわよくば道具として使役するつもりだったのさ、胸糞悪い。


確かに狂いたくもなるよ。不老不死だから、時の流れから弾かれて孤独を感じるものさ。


どんな力を持とうが…その孤独を癒す為の助けにはならない。アタシだって自信はないよ?まだ20年しか経ってないからマトモで居られるけど………


後何年、何十年耐えなきゃダメなのかな。ふとそんな漠然とした不安に苛まれる事もあるんだ。


心の何処かでは…早く候補者に倒されて自由になりたい、そう思ってるんだけど。


この力を託すのは……やっぱり躊躇するってもんだ。どれだけ重い柵としてのし掛かってくるのか、痛いほど分かってるからね。)

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