第28話  赤い氷

「(いや、まだ幻影の可能性もある)」


紅太郎はオルガから一歩後退り

剣を身構えた。するとオルガ口が

動いた。


「………みぃ………」


ん?


「見つけたぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


「!?」


急にオルガが叫び、紅太郎は一歩二歩

と引き下がってしまった。オルガは

叫ぶと共に自身の足元に氷を

張り巡らせた。


何故だろう。以前に増して寒い。

寒さは体感だけではなく、

オルガの凍てつく視線もであった。


「会いたかったぞコウタロウクン。

 黄泉の国から蘇ってきた。」


「あぁ…感謝するぜバクラぁ」


オルガ曰く、一度死んだ後に

バクラによって復活したらしい。

しかも強大化して。


紅太郎は復活したオルガに目を向ける。

寒さと不気味さで心臓の鼓動が早くなる。


「要するにお前はバクラによって

 復活を遂げたという事か?」


「そうだ!またお前に会えて嬉しいよぉ」


なんだろうか。バクラが何の意図もなく

オルガを復活させたとは何とも考えにくい。別の理由があるのではないか。紅太郎は思考を巡らせたが、よく分からなかったので、


「なら、また俺が黄泉の国に送り返す

 だけだ!」


「<カマエル>!」


紅太郎は大剣に切り替え、炎の渦で

周囲の氷を溶かし始めた。だが、


「甘いな。コウタロウクン」


そう言ったオルガは左腕の傷から

血を流し始めた。その血はオルガの

腕を伝い、やがて手の上でオルガの氷と

融合し、棒状のものを形成した。


「ヒヒィィ。ヒャハハハハッ!」


「!?」


紅太郎は気味が悪くなり、吐き気が

した。あの傷は以前紅太郎が付けた

ものだった。あの日の記憶が徐々に

鮮明になってくる。


「秘技!零の剣!」


血を吸い込んで赤くなった剣を

生成したオルガは紅太郎に襲いかかってきた。


「はっ!?<カマエル>!

 ブラストへレブ!」


不意打ちに紅太郎は慌てて対応した。



カキィン!



「くっ」


以前オルガを倒した技を使っても、オルガの赤い氷の剣は傷つける事も出来ない。一度剣を交えた後、オルガは剣で連続で斬りかかってきた。左、右、横とオルガと紅太郎は剣を交え、音だけが城の九階に響き渡る。


「俺はあ前の力を吸収して、六天魔王最強

 いや、最強の魔族として君臨する!」


紅太郎は剣を強く当て、オルガに背を向け走り出した。それをオルガが叫びながら追う。それをオルガはすかさず追う。


「(六天魔王?)」


紅太郎は走りながら疑問に思った。


「お前の生誕がこの三つ世界を

 混乱させた」


オルガは氷の礫を放ってくる。

紅太郎は転びながら必死に避ける。


「だから俺はお前を倒し、最強になり、

 世界を統一するんだ!」


オルガが零の剣を刺してくる。

紅太郎はまたしても決死の回避をする。


「俺の野望の礎として、世界統一の為、お 

 前の力を貰う!」


「コールドフレアァァ!」


紅太郎を追い詰めたオルガは氷と炎の

融合技を放った。紅太郎も応戦する為、

<カマエル>で炎を生成した。


「うるせぇ!俺の人生の主人公は俺だぁ!」


「<カマエル>!クロスフレイム!」


だが


「遅い!」


「なっ!?」


紅太郎の炎の発動よりも先にオルガが

凍らせた。


、、、、、、、

火が凍ったのだ


「喰らえ!」


「!?」


オルガは凍った紅太郎に零の剣で襲いかかってきた。手足が動けない紅太郎は、なす術がなかった。


………………


「!!」


氷が綺麗に砕け散る。

氷の中心からは紅太郎が。

腹に傷をつけられた。


「ぐはぁぁ…!」


血が氷に飛び散り赤く染まる。

紅太郎は急いで<ガブリエル>と

命のしずくで傷を塞ぐ。

ゆっくりと呼吸を整える。


「何故一撃で仕留めない?」


オルガは依然と零の剣を構えていた。


「俺はコウタロウクンをゆっくり

 苦しめながら力を奪いたいからね」


なるほど。

相手が苦しむ様を見て、楽しむハンター

のような性格か。


「その行動を後悔させるぜ!」


「<カマエル>!煉獄!」


紅太郎は大剣から更に大きな炎を出現させ、オルガに力強くぶつけた。


「行けぇぇぇぇぇ!」



ドカーン!


階層全体に爆風が起こる。暑さで紅太郎の額に汗が垂れる。


「…………」


今が奴の本気なら、こんな簡単にはやられないはず。逆にあの時に倒せたのが奇跡ぐらいだ。紅太郎は緊張感を感じつつ、炎を見つめた。




パキッ…



「くそ!氷の装甲がぁ」


そこには先の氷使いではなく、氷の装甲が無くなった水使いのオルガがいた。


「まぁいい。この方が動きやすい」


オルガは自分の身を守るために氷を使っていた。奴の真の姿は──


六天魔王

ダーク・ウィング四天王

水使い


「オルガ…」


「さぁゲーム続行だコウタロウクン」



「上等だ!お前は俺がここで倒し、また

 黄泉の国へかえす!」


両者はまたぶつかり合う。


 

 


第29話へつづく

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光と闇のシンクロ 旭日 陽 @zyuusou1

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