光と闇のシンクロ
旭日 陽
第1話 古の伝説
誰もが奪う事を恐れて、先に奪うことをやめない世界。これが戦争の原理。これは現界と呼ばれる我々人類の世界に限った話ではない。我々の知らない天界と呼ばれる精霊達の世界、魔界と呼ばれる魔族の世界でも同じ法則でそれが成り立つ。 ある日…
その3つの世界の誰もが予想しなかった現象が起きた。その産物は天界と魔界の狭間を抜けて現界へ下った。その1人の男児は17年後に力に目覚めて動き出す。そして更にその5年後には3つの世界の戦争は終結する。これはその少年が戦争を終わらせるまでの物語。
それは………
夢のような出来事だった…
君とこうして結ばれる日が来るとは…
2035年
ゴーン………
式場の鐘が周囲に鳴り響く…
「それは…夢のような日だった」
「君と出会った時は、まだ何も分
からなかった」
そして紅太郎は隣にいる彼女を見る。すると、彼女は微笑んで紅太郎に口を開いた。
「紅太郎と出会った日か…懐かしいな」
「紅太郎に惚れた時、私思ったんだ。
話すたび、触れるたび、笑うたび、
目覚めていく想い。決して誰にも
譲れない。そしてその願いは叶った」
「だから私は今ここにいる。」
「私を選んでくれてありがとう!
紅太郎!」
「あぁ!」
紅太郎は深くうなずいた。
2030年……令和11年…
新元号になって11年
東京五輪が終わってから10年がたった。
その少年の名前は湊川紅太郎。
東京の高校に通う平凡な2年生。
特に目立った特技とかは無く、ごく一般的
な学生をやっている。
紅太郎の通う高校の名前は神宮高校。渋谷より北側で学校の近くには原宿の町が広がっており、生徒は放課後に原宿で青春を過ごす事が多い。また高校の東側には皇居がよく見える。特に偏差値とかも高くない普通の高校だ。
そんな学校の授業が終わり、紅太郎はいつもの道で帰ろうとしていた。
すると…
「コータロー!」
後ろから紅太郎を叫ぶ声がした。
見てみると幼馴染の花香だった。
「コータロー、今日一緒に帰ろう。」
「……いいけど。あまり大声
出すなよ」
正直、花香のことは嫌いではないが、
学校で見ているとかなりの声のボリュームで
人と話しているので、紅太郎は女子と二人きりで帰っていることを目立たせたくは無かった。紅太郎がそう言うと、花香は子供みたいに元気に返事をした。
「はーい。」
花香とは親の関係で小学生からの
付き合いだ。
特に異性としては意識したことが
なかった。
いつもと変わらない道を並んで歩いていると
花香が横から話しかけてきた。
「ねぇコータロー」
「何だ?」
「そういえば、今日担任の先生が不思議
な事言ってたね」
「なんのことだ?」
「ほら、1000年に一度訪れる言われて
いる空間の歪み」
特に興味のない話だったので紅太郎は
真面目に聞いてなかったが、花香の言ってきたのでその日の記憶を探って思い出した。
「あぁ。確かに変なこと言ってたな」
「今日は少し先生の余談を
させてくれ。
1000年に一度訪れると言い伝えられ
ている災い。以前にもこのような事
があり、鬼や異形の魔物が人間を襲
ったと歴史書に記されている。その
時は神風が吹き魔物を退けたが、
今年…2030年はその災いから丁度
1000年目になのだ。皆、注意する
ように」
と、授業で言っていた。
「完全に中二病臭いよね」
花香が先生を馬鹿にした発言をする。
「そんな事、起こるわけないな。」
正直、花香のその意見に関しては紅太郎も同意見だった。そんなアニメやラノベみたいな展開なんて紅太郎には想像がつかなかった。
二人は呑気にそんな事を話してた。
そう言った直後だった…
背後から突然、突風が吹いた。
何かと思ったら、隣で花香が上を見ている
「どうしたんだ?」
「コータロー あれ……」
花香が指をさした方向を見ると、論理的には
あり得ない現象が起こっていた。
空に………
ひびが入っていた………
ドカーン!
空が…と言う暇もなく、空は割れ、空間の
歪みが起こった。紅太郎も花香も吹き飛ばされ、地面に膝をついた。
地面に背中をうって、全身に今までに無いような痛みがはしる。
さらに、また次の恐怖が2人を襲った。
その割れた空から悪魔のような形をした
生き物が出現し、2人に襲いかかった。
そんな現象なんて有り得ないと思っていた。
だが、そんな馬鹿みたいな現象は起こったのだ。先生の言っていた事は本当だった…
「きしゃぁぁ!」
「ぎやぁぁぁぁ!」
紅太郎達は、我を忘れて逃げた。
ひたすら逃げた。
死ぬほど逃げた。
それはまるで死に直面して行くかのように………
何処か逃げる場所は…と、左右を見渡すと、
近くに岩陰があった。
永田町にある皇居の岩陰に隠れるとようやく
追って来なくなった。
その時、先生の言葉が脳裏を横切った。
「歴史書には記されてないが、空間のと
歪み同時に人と違う能力を持った人間
が鬼らを沈めたと先生の家では代々
伝わっている。」
先生がそれをいった時はクラスの生徒は誰も
信じなかった。まぁそれが正常な人の反応だろう。紅太郎自身は厨二心を擽る話だったので少し目を光らせて聞いていた。
少しの間、紅太郎は先生の話を回想して、
もしかしたら花香も同じ事を考えてるかもと思い横にいる花香に
話しかけた。
「そうだ。もし先生の話が
本当ならば魔族が現れた
なら超能力者もきっと出てくるはずだ!」
それに呼応して花香もうなずいた。
「そうね。今となってはもうそれを信じ
るしかないわね。」
「これから探して、助けを求めま
しょう。」
花香がそう言った瞬間…
「その必要はないよ」
その声と同時に皇居の一つの岩が
光りだした。全身白の服装に薄らと見える白い肌……
1人の少女が現れた……
第2話につづく
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