第17話  <サンダルフォン>

修学旅行編⑤


-余談-

新商品です。

暑い夏が続く中、新作アイスの販売が決定しました。

その名も「ガブガブくん」

紅太郎の剣をモチーフに作ったエメラルド色のアイス。しかし、美味しいとは言っていない。



↓それでは本編をどうぞ↓






     



      カキィン!


「はあぁぁぁ!!」

誠太郎からの光線攻撃を紅太郎は必死に

剣一本で防いでいた。凄まじい速さで放たれる光、紅太郎は誠太郎に連撃技を鍛えられていた。左、右、左っと目をくらますくらいに

眩しかった。


「よし!連続技には慣れてきたようだな」

誠太郎はふむふむと頷いた。

「なら次はこれだ!」

誠太郎は操っている柱のような形の武器を中央に集中させた。柱は回り回って、円状の玉座を作り出した。そして、その上に座り浮遊した。


「は!」

誠太郎の操る玉座から一斉に複数の光線が

放たれた。16方向から放たれる光は紅太郎の周囲を一瞬にして包んだ。

「くっ……」

どんな人間でも一度に複数の事をするのは難しいしかし、紅太郎はこの試練を達成せねば、先に進めない。

紅太郎はそう思った。

紅太郎は必死に剣を振るった。

左、右、斜めと剣で攻撃を受け止めた。


   カキィン!


誠太郎の光線を弾く音が、沖縄の森に響く。

「はぁはぁ…」

額から液体が垂れてくる。

気がついたら紅太郎は全身で汗を

かいていた。

ここまで神経を働かせたのは久々だった。

「何とか…防げたか…」

「く……」

そう言った瞬間、紅太郎は疲れのあまり

地面に膝をついてしまった。

地面に座り込んでいる紅太郎に誠太郎が

近づいて来た。

「あの全体攻撃を防ぐなんて大した者だな」

気づけば誠太郎は玉座から降りて、膝をつく紅太郎の目の前に立っていた。


「これなら、アレをお前に授けても

 いいかもな…」

誠太郎が深い意味がありそうな単語を

言った。

「アレって…?」

当然の如く紅太郎が質問をする。

すると、誠太郎は余裕の顔のままで言った。

「説明するよ」

そして、誠太郎は淡々と話し始めた。


「曰く、この剣の主は俺の天使<メタトロン

 >の妹である」

「え?」

紅太郎は思わず口から言葉が溢れた。

それを構わず、誠太郎は語り続ける。

「曰く、その天使は兄弟を意味する」

「………」

紅太郎は唾液を飲み込んだ。

「曰く、この天使は幽閉の支配者、暴虐

 の意味する」


「そして、それがこの剣だ」

誠太郎は何処からか紅太郎のエメラルドの剣より少し大きめの剣を取り出した。

その剣は誠太郎から飛び出し、二人の間に

浮遊し、静止した。

その剣は、持ち手が闇のような暗い紫色で

剣先は、紅太郎の髪にシンクロするような赤であった。


「軍の調査で最近、お前が普通の超能力者と

 は違い、複数の天使を扱う事が

 可能である事が判明した」

「!?」

紅太郎は驚いた。

自分でも多少の自覚と疑問があったが、それは自分の中で感じているものだと、そう自分に言い聞かせていた。まさか他人から目をつけられているとはあまり思っていなかった。

   

「だからこそ、お前に渡すことにした」

その言葉に紅太郎が慌てる。

しかし、直ぐに手汗を握りしめ、誠太郎と向き合う。

「俺にやれと」


「お前の力に関しては俺も引き続き調査を

 する。これは俺と俺の守護天使である

 <メタトロン>からのお願いでも

 あるんだ」

「今のお前の連撃技ならきっと使い

 こなせるはずだ!」

誠太郎の言葉に紅太郎は、

はっと気付かされた。

紅太郎は恐る恐る浮遊している剣に手を

伸ばす。すると、紅太郎だけ何の抵抗もなく剣を握れた。


紅太郎は<サンダルフォン>の美しさに少し間見とれていた。この剣と自分と兄の関係。

自分と兄の守護天使の関係。

「<サンダルフォン>か……」

「これから宜しく頼む!」

紅太郎は両手に剣を握りしめる。


「あぁ頑張ってみるよ!」

「必ずこの異常気象を止め、ルキアを

 説得してみせる」

紅太郎は高々に宣言する。


「試練の成果を天使さんに

 見せてこい!」

誠太郎の言葉に紅太郎は大きく頷き、森を

抜けて走っていった。

片手に<ガブリエル>の剣と

片手に<サンダルフォン>の剣を持ち。

その双剣は赤と緑。

沖縄の森から光り輝いた。








       第18話につづく


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る