第7話 白き真実と黒き野望
想い……
想って……
想い過ぎて……
今……now…
「花香ぁっ…」
あまりにも信じられない光景。
「嘘だろ……!?」
花香の赤い血が基地の床に広がる。
白い床は紅に染められる。
紅太郎が膝を崩して嘆いていると後ろから誠太郎の声が聞こえた。
「これは予想外だったな」
「まさか関係の無いやつに当たるとは」
人を斬った。なのに平然としている。
「貴様ぁぁ!!」
悲しみから怒りへ、紅太郎の感情が動いた。
「ふふ。ようやくやる気になったか」
と、誠太郎は余裕を見せる。
ここまで平然としていられる奴は紅太郎が見てきた中では始めてた。5年前の憧れの兄の誠太郎とは全然、全く、これっぽっちも違かった。
「お前は!花香の仇になった!!」
紅太郎はそう叫ぶと、
<ガブリエル>の剣を大きく振るい
実の兄・誠太郎に向けた。
そして、
誠太郎に向かって走り出した。
「<ガブリエル>貫殺衝撃波!!」
剣から大きな光りの刃が放たれた。
音と空気の振動から作り出す、貫通する刃。
「ふっ…」
「<メタトロン>壊滅衝撃波!!」
それを誠太郎はあっさり受け止める。
2つの大きな刃がぶつかり合い、周囲に強い風を巻き起こした。
それでも紅太郎は、誠太郎に接近し、
剣と剣が
ぶつかった。
エメラルド色と白の光が交差する。
基地の中で輝いては反射した。
たちあいをしながら、紅太郎が話す。
「よくも!よくも!」
「折角久しぶりに会えて話せると
思ったのに!」
「何故、こんな事になるんだ」
剣を縦にしては横にして。
剣劇はまるで火花のように激しく散る。
紅太郎の問いに対して、誠太郎が言う。
「ふざけるな!」
「そんな事は今はどうでもいい!」
「お前はその力を手にして、何も思わな
かったのか?何も考えなかったのか?」
「何の為にその剣を振るう!」
誠太郎の白虎剣が縦方向に来る。
すかさず紅太郎は剣を横にして受けようとしたが、間に合わなかった…
そして、誠太郎の白虎剣が紅太郎の頬に浅い
傷を入れた。
「くっ!!」
その傷口から一瞬で炎が噴き出し、一瞬で
癒えた。ここに来てつくづく自動回復能力の力に驚かされる。これが無かったら紅太郎はダークドラゴンとの戦闘すらも敗れていたかもしれない。そして、剣を振りながら紅太郎は考えた。
「何の為に…」
紅太郎は、 今まで1度もこの力の
意味を考えたことがなかった。
あの時、少女に力を授かって以来…
それに、実際に力を手にしたのを
突然の出来事であったからだ。
「俺は……」
心に思い、頭で考えてると誠太郎に読まれたように言われた。
「答えられないのか」
と、上から言う。お前はエスパーかよ。それとも何?新手のストー…………
「やはり、お前には任せられないか…」
「忘れたとは言わせないぞ!」
任せる?何が?
と言う事は湊川の家に何か関係が…
そしてそれを言うという事は時系列は
5年前……
誠太郎の一撃をかわして、思い出した。
「あぁ…そうだ。あの時母さんが…」
[(回想)
「貴方達がこの子達を守って!」
「貴方達なら出来るはずです」 ]
(そうだ!そうだった!)
(この力は 母さんとの約束の為に振るう!)
「仕方ない…。お前を追放し、この俺が
湊川の後継者となり、あの子達を
守ってやろう!」
誠太郎は紅太郎に脅しをかける。
諦めたような顔を作って言った。
だが、その瞳は紅太郎を見ている。
「そうはさせない!」
「俺は役立たづじゃない!」
「兄さんに簡単に譲るほど、俺の
プライドは低くないんだ!」
紅太郎の叫び声が響く。
そう言う事だったのか。
試していたんだな。
「なら、証明してみろ!」
「お前の覚悟と力を!!」
そう言うと、誠太郎は大きく手をあげた。
「<メタトロン>!」
誠太郎の 剣が柱に戻り、一点に集中した。
それに対抗して、紅太郎も力を解放した。
「<ガブリエル>!」
紅太郎の剣が光る。
エメラルド色に光る。
その輝きは紅太郎の周囲から壮絶な光が。
「先程の問いに答えよう!」
「俺は母さんとの約束を守る為に、
皆を守る為にこの力を振るおう!」
その瞬間、紅太郎の<ガブリエル>が
大きな翼を呼び、紅太郎が持つ剣に宿った。
その翼が広がるたびに何らかの力が
湧いてくる感覚がした。剣先が嘴で、持ち手が翼。大きなエメラルド色の鳥。
「ふ。よく言った!」
紅太郎の持っていた剣は光の翼を手にし、
剣先は大きく伸びて、鳥の絵を描くように紅太郎に剣を構えさせた。
誠太郎の持っていた柱は誠太郎の前でリングのように並び、大きな砲台を形成した。
その砲台からは覆い尽くす程の光が放たれた。
「<ガブリエル>
アコスティック・ブレイブ・バード!」
「<メタトロン>
カドゥール・ピラー!」
誠太郎は光の砲撃を放つ。
紅太郎がその光に抗うべく、翼の生えた光の剣で突撃する。紅太郎の剣からは壮大な音響を奏でながら。誠太郎の光の砲撃の先が紅太郎の剣先に触れた。
今ここに2人の最大の技がぶつかった。
第8話につづく
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