第61話 いざゆかん無職柔術

 ひょいっとよしみんがぱとりんの箒にとび移る。またがるぱとりんの後ろで横乗りになった。


「そろそろ本気で行こう」


 よしみんが手を開き、魔法の詠唱を開始する。



# -*- coding: utf-8 -*-

for num in range(1000000000):

f = open("X%06dX" % num, "w")

f.truncate(1024 * 1024) # 1MB

f.close


「マズイ、ストレージガウマル。タスクマネージャキドウシテ、プロセスヲコロセ」

「ゴミファイル量産とか迷惑すぎるwwww」


 さいとりさんとアルパカさんがコマンドを発行して攻撃を防いだ。プログラムを理解してそうなのがこの二人以外に古月さんくらいしかいないので、やたら情報戦に弱い。

 

「あれ、銃と剣と素手だと思ってたのに、意外とやるね」


 よしみんの微笑が止まった。


「そろそろ私も本領を発揮しようかしら」


 ぱとりんがすうっと空気を吸い込み、そして呪文を唱えた。


"O Romeo, Romeo! Wherefore art thou Romeo?

Deny thy father and refuse thy name.

Or, if thou wilt not, be but sworn my love,

And I’ll no longer be a Capulet."


「あれ英語ですか? ラテン語?」

「古英語とかかなあ」


 蒼山さんとあむりんがトーチカの中から答える。えなさんが復活していないから翻訳できる人はいないが、そのセリフはよく読めばかなりの人がわかると思うぞ。


「ロレンスの毒薬!」


 ぱとりんが魔法を発動するなり、今度は天空から毒薬が降ってくる。物理が強いわりにバッドステータスを喰らいやすいキャラクターばっかりなので、これで一斉に力尽きていった。


 ただ一人を除いては。


「あれはなんだろう?」


 一人と一匹。よしみんが残っていた姿を指さした。


「今日は疲れていたけど犬の散歩に行ってました!! 散歩したら疲労が軽くなった気がします」


「毒薬の雨を生身で! あなたは誰です! 名乗りなさい!」


「師範はデラさん親衛隊隊長です! デラさんの生みの親である提灯じゃっくさんのお墨付きですっ!!」


「な、なにを言ってるのかさっぱりわからん」

「私たちの魔術が効かないなんて……まさかあの技、無職柔術じゃないかしら」


 よしみんとぱとりんの秘術をものともせず無効化した師範を名乗る男。


 その正体は異端かっ!?


【登場人物紹介】


無職柔術師範:武術クラスタ(武神館士道師)

無職。その無職力は他の追随を許さず、一切の攻撃も防御も無効化する神出鬼没の無職柔術をあやつる達人である。都庁ロボ倒壊後に中から飛び出した魔族との最終戦にて赤坂パトリシアとよしみんを打倒して東京へ平和をもたらし、責務を終え再び無職になる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る