第90話 絶対無敵二天一流
そのころすでに前線は魔王の城の中に入り込んでいた。
「ついに我らが結社イセカイケイは魔王の城へ侵入することに成功した。従軍して頂いた皆さんのお力によるところが大きく、感謝です」
あやめさんが軍勢の前に演説を続けている。
「私が作者を倒すシーンがないのが納得いきません」
猶さんが拳銃を磨きながらつぶやく。
「大半の人がそれ思ってますよね。きっと」
アルパカさんが答える。
「この城、図書館みたいに本が多いですね。あの真ん中にいるのがラスボスですかね」
美少女が言った。その通り、山のような書籍の中に一人の男が立っていた。最強の剣客宮本武蔵が憑依した魔王である。
「魔王我乱堂、おとなしく降伏すれば命だけで勘弁してやろう」
ともかく軍勢を前に輝く銀色が二本。両方を下段に構えた姿が、ズーッ、とという声とともに間合いを詰めた。
「うん?」
古月さんがはっとその技術に息を飲んだ。
「マジカル二天一流だ! ゲームバランスが崩壊するぞ!」
ドンという衝撃と共に城が一瞬で崩れ落ち、衝撃波が大地を走る。その場にいた数十人が冗談のように吹き飛んだ。
「二天一流がステータス上最強という理不尽な設定になってるし、これ武術系には無理ゲーじゃね?」
RYOさんがカランビットで刀を受けたが、魔王のメチャクチャな一撃に敗れた。
「これは少林寺でいうところの……!」
続いてすけゾ~さんが解説を試みたが、第二波が集団を襲い、最後まで言う前に力尽きる。まるで打ち切りになったジャンプのマンガの如き急展開である。
「代々木のらすたと新宿の中村屋か神保町のエチオピアが食べたかった……」
次なる相手は八卦掌のrayさんであった。
「やはり達人達は歳をとっても強い。達人の世界がある事を知った」
彼もまた身に着けた武術で応戦したが、がらんどさんの一撃に敗れた。ただこれは達人の世界ではなく理不尽の世界のような気もする。
ともかくかくして吹き飛ばされた連中は一斉に砦に一時避難したが、すでに統率は崩れ始めていた。かろうじて耐えた筑前さんと西紀さんが二人同時に斬りかかったが、マジカル二天一流を前に無念の最期を遂げた。ここまでがらんど氏、一切セリフなし。
『ひどいこと言われたよ??』
すいませんもうちょっと黙っててください。あなたラスボスなんで、それっぽく演出しないと間が持たないんです。
【登場人物紹介】
がらんどさん:創作クラスタ(異世界ファンタジーほか)
結社イセカイケイが天主閣に乗り込み軍勢は魔王の居室に入り込んだ。
山のような書籍の中に一人の男が立っていた。
それは最強の剣客宮本武蔵が憑依した魔王であった。
軍勢を前に輝く銀色が二本。
両方を下段に構えた姿が、ズーッ、とという声とともに間合いを詰めた。
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この世界がゲームだと判明して100年が過ぎた
https://dengekibunko.jp/product/100year/321803001704.html
RYOさん:武術・創作クラスタ(ガンアクションほか)
大魔王の二刀に敗れた集団を目撃した最初の一人。銃とカランビットを駆使して大魔王に挑むが惜しくも敗れる。
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http://mypage.syosetu.com/1124907/
すけゾ~さん:武術クラスタ(少林寺ほか)
大魔王と緒戦で打ち合った拳士。歴戦を潜り抜けてきた人々が葬られるのを見つめ、敗北を予感する。
rayさん:武術クラスタ(八卦掌、意拳)
八卦掌、意拳、大東流。大魔王の力の中に達人の世界を垣間見るが、惜しくも力尽きる。
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