第27話 都庁ロボ大地に立つ
「輝井さん亡き今、赤坂パトリシアを倒す起死回生の秘策は、もはやこの都庁ロボしかない」
佐藤さんが都庁前に再集結した軍勢へ演説を続けている。
「テリーさん死んだんか」
「トラックにハネられただけだからセーフ。ここにいねえだけっすよ」
団長とショーグンが最前列でヒソヒソと話している。
「さっきからどうすれば私たちが悪くならないか調べてるんですけど、内乱罪とか内乱予備罪・内乱陰謀罪の判例って他の国でも全然ないですね」
「刑法第2編第2章って、そもそも条文もめったに読まないよね」
十五さんと猶さんがその後ろでヒソヒソ話している。
「格差反対! 東京独立万歳! 現に夢を描け!」
外野はやたらうるさい。
「……というわけでエロラノベ教授として有名な本邦をリードする大天才、正露丸氏が、都庁ロボを制御するため夜も眠らず昼寝して作った超人工頭脳アンドロイド『さいとり』を起動することにしました。先生お願いします」
「僕、
「さあ早くどうぞ」
「はーい。ポチっとな」
それ爆発するフラグじゃないのか。
『ナンダテメエラネムテエトコオコシヤガッテ』
「なんて言ったんですか?」
「僕もわかりません」
「誰か通訳を!」
「ついにわたしの力を使うときが来たのですね!」
群衆の中から場に似つかわしくないパステル調の女性が現れ、人工知能『さいとり』の通訳をはじめた。
「諸人よ、添音に耳を傾けよ。枯れ老ゆ月日は終わりぬ。我ら神織る鉄人を光冷ゆ中より……」
「なっきゅんすごい。デタラメのようでビミョーに合ってるようにも見える(´・ω・`)」
「しかもなんか地面が揺れてる……」
栞さんと佐久良さんが子供の面倒みながら話してるなか、ついに都庁ロボが最初の一声をあげた。
『ま”っ』
「すげえ、横山光輝だ!」
「40代でもなかなか難しいネタ突いてきましたねハァハァ」
浜栗さんと西紀さんがつぶやく。ほぼ同時に、都庁が手足を見せた。
【登場人物紹介】
佐藤さん:歴史クラスタ(三国志・中国古代史)
呪術師、古代の魔術で黒幕赤坂パトリシアの正体を見破る。強大な魔力にいったん撤退を余儀なくされるが、都庁ロボを動かす鍵こと平将門の首を手に入れ、都庁を操縦する大任を受ける。
たわしゃんさん:演劇クラスタ(劇団隠れ家)
日本の格差社会に強い憤りを感じており、東京の崩壊をむしろ歓迎する。崩壊後、廃墟の中を奔走して生きる目的を見つけ「現世で本気出す」という名言を作成、流行語になる。
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タラレバ
https://twitter.com/0509_kent/status/1161247703826780160?s=20
さいとりさん:セキュリティクラスタ
人工知能で動くセキュリティロボット。人間同様に会話や行動が可能で、しばしば皮肉や冗談まで言える。魔族の炎を喰らって都庁ロボが損傷した際に機関部の修理に尽力、8割方が吹っ飛んだ状態で救出されたが、翌週には再生していた。
なっきゅん:創作クラスタ
詩人。東京壊滅から魔族と都庁の決戦に至るまでを様々な形式で読み上げ、崩壊世界のバードと呼ばれる。魔族や機械の言語を解読する研究者としての側面も持つ。
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未言屋
https://mikotoya.jimdo.com/
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