第50話 巨大ロボくしゃみでダウン
「ねえよしみん。このままだと私たち勝っちゃうね」
「ぱとりん、それはしかたないよ。私たちの能力が高すぎるんだ」
巨大建造物の最上階でぱとりんとよしみんがシャンパンで祝杯の準備をしていたその瞬間。ものすごい轟音に続いて都庁ロボがぐらりと揺れた。大きく傾き地面に手をつき、窓ガラスは吹き飛び鉄骨はむき出しへ。
そう簡単にお前らに勝たせてたまるかい。
「えっ、ちょっと、なにが一体??」
「このタイミングって、今の会話が聞こえてたとしか思えないんだが!」
その通りだ、わはは。
「地の文と会話する形式!」
「ゴトーさん、ほんとこういうの好きだよね」
転がりながら仲間と外に出る。監禁室が壊れて人質になった連中がわらわらと逃げ出した。
「ああ助かった!」
ひしゃげた鉄格子を抜け、カランビットで魔獣たちを斬り伏せながら音雲さんが脱出に成功。
「思い付きがこれほどうまく行くとは思わなかったね。二度、同じ手を使うのは難しそうだ」
火のついたタバコをくわえながら水無さんが続き、そこに大量の馬を連れて時代劇のようにケサギリさんが二人を救う。
「二人とも乗るといいよ! 怖くないよ! 敵に近づいたら自由を奪った状態で殴れ!」
眼前にはよしみんぱとりんの複合魔術で生まれた怪物ブラバンランナーの姿が。歴戦を潜り抜けたメンバーもこれにはひるんだが、しかしその後頭部に謎の女子高生の膝蹴りが命中した。
「てーい!」
「なんだ、加勢か?」
「生身でトリシャの配下を倒すとはね。こんな人間がいるとは思いもしなかったよ」
「三十路超えてるおっさんには刺激が強いよ。びっくりさせないでください?」
煙と炎が立ち込める廃墟の中に帆多丁氏の姿が。しかしその姿は彼の作品とすでにごっちゃになっており、本人と似ても似つかない女子高生の姿になっていた。
【登場人物紹介】
きなこさん
きなこ。都庁ロボにくしゃみをさせる。その勢いはすさまじく轟音と振動で壊滅した東京を再度壊滅させるほど。さらに都庁ロボの喉を飴で詰まらせ腐属性まで与え、栄養補給の阻害効果により都庁ロボ討伐の最終兵器に抜擢される。黒幕こと赤坂およびよしみんを最も苦しめた食品である。
音雲さん:武術クラスタ
黒塗りの高級車に追突して示談の条件を交渉していたところで魔族に襲われ、監禁される。曲芸はできるかと脅され、ペットボトルチャレンジをカランビットで成功させて喝采を受けるが状況が好転しない。
水無さん:創作クラスタ(ファンタジー・ホラー他)
FBI十大指名手配犯の一人。黒塗りの高級車に乗っていて音雲さんを脅しているところで魔族に襲われ、監禁される。しかしふと異世界に転生した経験から、この窮地を脱出できるのではないかというアイデアが浮かぶ。
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異世界転生したFBI十大指名手配犯 VS 現地のカルト犯罪組織 ~咎の鎖に囚われて~
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889614283
ケサギリさん:武術クラスタ( 剣道、古武道、剣術、弓馬術)
剣道と剣術をたしなむ武芸者。音雲さんと水無さんが脱出するのを目撃して馬で追跡、「自由を奪った状態で殴れ」という助言を受け、襲撃を実行する。
帆多さん:創作クラスタ(異世界ファンタジーほか)
音雲さんらの魔族のアジトからの逃走中に、追撃してきた魔族の後頭部に膝蹴りを喰らわせて三人を救った女子。なぜ生身の人間にそんなことが、と聞かれ、「世界は不思議なことだらけ。けれど自分自身も不思議の一部であることは、意外とわかってないのです」と答える。
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ヨゾラとひとつの空ゆけば
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