第52話 切り札の眠り深く
愚弟さんとたかおさんが、水を打ったように静かな研究所で会話を交わしている。
「テリーさんの復活はやはり難しいみたいですか」
「そうだな。空手を信じていればなんとかなると思ったんだが」
「最近は空手よりカロリーを信じるべきという説もありますね」
「それって同列に並べるものなのか?」
「知りません。とにかく今のままだと、絶対に勝つことはできないんですよね」
「いや、まだ切り札はある」
二人の前には巨大な水槽。その中に浮かぶのは一人の女の姿であった。
「コードネーム『カラテ』が使えない時には、コードネーム『アムリン』が起動し、すべての武術家と創作者が結集、黒幕を倒すと伝説にある。さらにそのスペアカードも用意されている」
「それがこの『エナティ』なのですね」
「そうだ。百人一首の詠唱により『アムリン』の魂の双子たる彼女の力が目覚める」
静かに目を閉じたまま、姿が上下に動く。それは来るべき日を待ちわびているかのようであった。
「ところでなんで服着てるんですか」
「実在してる人だぞ! 着てなきゃダメに決まってるだろ失礼だし!」
「でもこういうタイプの装置って一般的に服ナシが前提では……? しかも十二単だし。濡れますよね? というかメチャクチャですよね?」
「絵的に面白いからいいと思ったんだ。作者が」
「なんか積極的に話を雑にしようとしてるようにすら見えるんですけど」
「出張中の飛行機の中で書いてるからアタマ働いてないんだろ」
水槽の中の平安貴族は何も語らず、じっと二人の前を浮かび続けていた。
【登場人物紹介】
えなさん:創作クラスタ(現代ファンタジーほか)
主人公にして最終兵器であるあむりんと同一人物。あむりんの死亡時には伝説成就のためのスペアカードとして百人一首の詠唱により復活、全能力をコピーして真の力を発揮する。今はその役割を使う日に備え、西の地で眠っていると伝えられている。
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ひゃく・てん!
https://kakuyomu.jp/works/1177354054883993487
ぐてーさん:創作クラスタ(エッセイほか)
連絡がとれる物書き&絵描き。抵抗軍に就職するが物も絵も書かされずなぜか一時期やっていた杖術の腕をかわれて前線に回され、ブラックっぷりにドン引きする。帝都崩壊時緒戦で活躍した古月さんへ魔力を帯びたイコンを献上し、本人は焼きナスを作る仕事に回してもらうよう希望。一切聞き入れられず、研究所に回される。
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トキノ喰ライシス
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881400330
たかおさん
失われた超兵器「カラテ」の信者にして、いつか必ずカラテカが到来すると民衆に告げる預言者。しかし輝井さんがさっぱり連続ツイートにイイネしてくれないからこのままだとたかおさんがウソつきになってしまうぞ、それでいいのかメロン熊。
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