概要
これはもう終わった物語。そして、もう終わらせないための物語。
夕暮れ時の空を見上げる時、いつも脳裏に浮かぶ景色。髪の長い女の子と、金色のペンダントと、夕焼けに染まる景色。
前後は思い出せず、それが何なのか、いつの何処なのか、目の前に立つ女の子は誰で、どうして笑っているのか。
気がつけば夕焼け空に手を伸ばして、何も思い出せず、何も掴めず、少しだけ沈んだ気分になる。
その記憶の景色と伸ばした手は、黛イツキにとって日常の一つと化していた。
誕生日の夕焼け空に手を伸ばしたその日、イツキの手が初めて掴んだのは、怪しげな老人から渡された、記憶にあるのと同じ形をしたペンダントだった。
これは、もう思い出せないほど昔、子供の頃に終わってしまった物語。
だけど、終わらせないための物語。
前後は思い出せず、それが何なのか、いつの何処なのか、目の前に立つ女の子は誰で、どうして笑っているのか。
気がつけば夕焼け空に手を伸ばして、何も思い出せず、何も掴めず、少しだけ沈んだ気分になる。
その記憶の景色と伸ばした手は、黛イツキにとって日常の一つと化していた。
誕生日の夕焼け空に手を伸ばしたその日、イツキの手が初めて掴んだのは、怪しげな老人から渡された、記憶にあるのと同じ形をしたペンダントだった。
これは、もう思い出せないほど昔、子供の頃に終わってしまった物語。
だけど、終わらせないための物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★ Very Good!!どっぷりノスタルジー
夕焼けの真っ赤な空と思にある微かな記憶。
髪の長い女の子、ギザギザの丸くて金色のペンダント。
夕焼け空を見る度に必ず脳裏に浮かぶその光景は、主人公イツキにとってとても大切な記憶であるように思われた。
いつものように夕焼け空にその記憶を見て、いつものように夕焼け空に手を伸ばすイツキ。
だが二十五回目の誕生日に「いつものように」ではない出来事が。
燕尾服に身を包んだ謎の老人がイツキに見せたのは『あの』ペンダントだった……。
老人を追ってイツキは子供の頃の記憶を確かめに行き、そこで顔を見せない誰かの声を聴く。
そこかしこにちりばめられたノスタルジックな小物たち。
レトロな建物にアンティーク調の…続きを読む