Lullaby Box

作者 水城たんぽぽ

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★★ Very Good!!

夕焼けの真っ赤な空と思にある微かな記憶。
髪の長い女の子、ギザギザの丸くて金色のペンダント。
夕焼け空を見る度に必ず脳裏に浮かぶその光景は、主人公イツキにとってとても大切な記憶であるように思われた。

いつものように夕焼け空にその記憶を見て、いつものように夕焼け空に手を伸ばすイツキ。
だが二十五回目の誕生日に「いつものように」ではない出来事が。
燕尾服に身を包んだ謎の老人がイツキに見せたのは『あの』ペンダントだった……。
老人を追ってイツキは子供の頃の記憶を確かめに行き、そこで顔を見せない誰かの声を聴く。

そこかしこにちりばめられたノスタルジックな小物たち。
レトロな建物にアンティーク調の家具、ペンダント、オルゴール、置時計。
夕方の公園とタイプカプセル。

謎の老人の案内に導かれ、過ぎ去った日々をもう一度辿るように、一歩一歩ストーリーが積み重ねられて行きます。
ノスタルジーにどっぷり浸りたい読者の方にお勧めしたい物語です。

Good!

 一歩ずつ足場を確かめるようなお話の展開で、謎の老人が全ての答を知っているようでもあり、彼自身もまた謎の一部そのものだとも考えられる。
 世間に対し必要以上にかかわりを持たないという主人公の態度が吉と出るか凶と出るか、その辺りを注目しながら読むと筋の進行がしっくりくるのではないだろうか。
 主人公には負けず嫌いな印象を受けた。自分の抱える漠然とした記憶を、諦めずに追っていって欲しい。