第20話二度と帰らない青春

今は、このトンナム国の旧正月「ミケ」

ミケ猫の神様が下界に降りてきて、祖先たちと共に民の御霊を清めて下さる日。

このチョンゴン・シティでもそこらじゅうで、ハリモグラ花火や爆チチで派手にお祝いしている。夜になれば突撃花火が大空を染めてお祭り騒ぎ。


あたしケイト・ケチャップマンも野生の本能がうずくのが分かる。

夏休みに訪ねると言っていたナナ・ワンショットは。

仕事の都合と旦那さんの都合で結局旧正月に来る事になった。

旦那さんも連れて来てとお願いしたら、軽く言ってくれたあの子。


ナナ「だって私の主人は美少年だからケイトに取られちゃうもん」

  「手紙に同封した、ツーショット写真で我慢してね?」


あたし「はいはい、ごちそう様」

   「うーん、確かにナナが好きそうな顔してるわね」

   「あたしケイトはまだロンリーギャルなのよ」 

   「ギャルって言葉も死語なのかしら?」


ピンポーン・・・


やっと来たみたいね。美少女戦士ラッキーガール!


ガチャンッ・キィッ


・・・・・


あたし「あれ?・・・誰も居ないや」

   「まさかピンポンダッシュ?近所のガキかしら」


?「へっへっへっ」「お嬢さん、安くしときますよお?」


あたし「がくっ・・今死んだ。今死んだわっあたしは!」

  「ナナ・ワンショット将軍のくっだらないギャグ攻撃で!」


ナナ「ケイトさまあーっ!」「コンジョウの別れでござるぅ!」


あたし「アッハハハハ!」

   「ナナ?酔っ払ってるの?ギャグがキレてるわよ!」


ガバッ!


無言であたしはナナと抱き合った。

ナナがボタボタと荷物を地面に落としまくってる。

あたしは無視してナナの後ろに回って両手で胸をも揉んでみる。


ナナ「キャーっ!止めてケイトっ」

  「あんたにそんな手癖があったなんてっ!」


あたし「ナナ、お乳が大きくなってるわね。どー言う事?」


その日一晩中、朝が来るまでナナ・ワンショットと語り明かした。

お酒を飲みながらナナは、帰郷してからの出来事を語ってくれた。

あたしはあたしのバイトとか。洋服デザイナーの仕事が少しだけもらえた事。

あたしたちはおかしくって泣きながら笑った。


ナナ・ワンショット・・・あたしの青春。


アン「だあからあ・・・チョモイヤしていで中尉殿を助けたから」

 「冥土の土産に、銃をもらったのよお!」


あたし「ヒグッ・・」

 「それがヤマタカタロウ殿とどう関係あるのよう・・ング・」


アン「あっはははっは。だからなんだっけえ?」


2泊して帰るとアンは言ってた。

ナナ・ワンショットはあたしの記憶の中で生きているけれど。

アン・ユウリイはあたしが知らない彼女の素顔を教えてくれる。

二人は同一人物だけど。

あたしには親友が二人同時存在している錯覚がする。


あたし「アン?がいしつすんわよ。突撃花火を見いくのやあ!」


アン「ダメダメちんだわあ、泥酔した腐女子なんきゃあ」

  「みっともないからおやめナスってみてみてええ?」


あたしとアン「ぎゃっはははっはははっ?」「だあっははは!」


ダメだ完全にスイッチがオフになってる。もう嬉しすぎるのね。

大切な友との大切な時間は過ぎてゆく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る