第8話夕日のアン
時は戻って現在。
戦闘現場がヤマタカ・タロウ基地に近かったので。
リィズ少佐は自分でジープを運転して駆けつけました。
リィズ「本当に小娘が敵と交戦してる!」
やっぽりリィズ少佐もショックのようです。
リィズ「なんてこったー!」
アン「デカパイくれッ!」
兵士A「対戦車バズーカ?」
兵士C「ほらここにあるぜ、嬢ちゃん」
受け取ってすぐに狙いをつけて、一発撃つ。
パウワッ!シュンッ・・・
目立たないところに隠れている装甲車に当たる。
が、装甲を貫通しませんでした。はじかれます。
アン「リロードしてえ!」
兵士A「本当に初心者か、この子は!」
味方のカンガルー軍兵士達は応戦射撃を続けています。
でも一番戦果を挙げているのはアンです。
兵士C「ほら、リロードしたぜお嬢ちゃん!」
二発目のトリガを引く時、アンはどこを狙って撃てば撃破出来るのか知っていました。
アン「!」
カチッ
パウワッ!シュンッ
ズドドーンッ!!ボウワ!バチバチバチ
敵軍の装甲車が赤黒い噴煙をあげながら爆発。
敵軍が後退、逃げてゆきます。
味方の兵たちはぼうぜんとしています。
兵士C「す、スゲエ・・・」
リィズ少佐が一番ショックが大きかったようです。
リィズ「あ、あ、あ、あ・・・」
軽く敬礼をしながら。
アン「はじめまして、アン・ユウリィと申します!」
アンはニッコリと笑みを浮かべた。
アン「てへっ♡」
ライフルを背に回して夕日を背景に、乙女スマイル。
リィズ少佐は空いた口がふさがらないご様子。
アンのつばの長い深緑色の野球帽が印象的です。
笑みを浮かべ目が真っ赤に充血しているこの少女は一体・・・
リィズ「なんでこんなコムスメが戦争を知ってるんだ?」
心の底からショックを受けたみたいです。
帰りの車内、部下にジープを運転させて。
少佐とアンは後部座席に座っています。
アンはお行儀よく座ってニコニコ笑みを浮かべている。
反対にリィズ少佐はブスッとして足を投げ出して座っています。
リィズ(基地に着いたらとっちめてやる!)
なにやら穏やかじゃありませんねえ・・・
近くなのですぐに到着。
リィズ「アン・ユウリィさん?」
アン「はい」
リィズ「ここの基地のことを一通り説明しなければいけない」
「だがその前に!」
「アン・ユウリィ!あんたに言いたい事が山ほどある!」
アン「はい」
リィズ「いいか、ここは人殺しをする土地だ!」
「お前みたいなお姫様は居ちゃいけないんだぞ?」
「だいたいお前くらいの年の女は」
「学校で人気の男子の噂とか」
「駅前のクレープ屋さんのクレープが美味しいだとか」
「制服のミニスカートの丈だって」
「今日はパンツを、見せる!見せない!」
「本人はこだわってミニスカートを履いているんだ!」
「それに!」
基地の入口で向かい合って立ち話。
アンは壁にもたれて黙って聞いていましたが・・・
アン「・・・・」
リィズ「あん?」
帽子の長いツバでアンの顔が隠れています。唇が艶かしい。
アン「ボソ・・・」
リィズ「小さな声じゃ聞こえないぞ!」
アン「ボソボソ・・・」
リィズ「あんだって!?」
チュッ♡
リィズ「!!!」
リィズの頬っぺたにアンが軽くキス。
リィズ「あ・・・あ・・・あ・・・」
アン「ありがと、少佐くん♡」
アンだけ何処かへ立ち去りました。
リィズ「・・・・」
リィズ少佐は顔を真っ赤に赤らめそのままの体勢で固まっています。
少し離れた場所で部下数人が一部始終を目撃。
皆、ニヤニヤしている。
兵士D「はい、少佐殿ゲキチーン」
兵士A「賭けときゃ良かったなあ?」
兵士B「おい誰か、少佐殿を救出して差し上げろ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます