第14話命の洗濯
ニュースキャスター「今、両国の代表の政治家が」
「和平協定調印書にサインを済ませ調印書を交換し」
「固い握手をしています」
「どれほど大勢の民がこの瞬間を待ち望んだ事でしょう!」
「これで世界は安定と平和に向かってゆくでしょう」
「ですが私達にはやらねばならない難題が山積みされています」
「破壊された国土の再建、灰燼に帰した経済産業の復興」
「失われた命は還っては来ません」
「激減した人口は簡単には回復はしないでしょう」
「新しい世代新しい命の為に、地盤造りをしなければなりません」
カチッ・・ブッツン
ケイト「ナナ、泣いているの?」
ナナ「ええ、この日をどれほど待ち望んだか・・・」
ケイト「・・・・」
ナナ「ケイト、今はっきりと告白をするわ」
「私の名前はナナ・ワンショットじゃないの・・・」
「本名はアン・ユウリィ・20歳よ」
「今までだましてごめんなさい・・・」
「私は戦争に加担して多くの人を殺したわ」
「命乞いをする人さえも殺したの・・・」
「生きてゆく為に売春もしたわ」
「私の犯した過ちと罪は、私が生きる間では償えないでしょうね」
ケイト「あなたが訳ありな女の子なのは」
「出会った時から分かっていたけど」
「重い荷物をずっと一人で背負っていたのね・・・」
「あなたは自分と戦った。たとえ罪を背負っても」
「きっとあなたはたくましく生き抜くでしょうね」
「ナナ、いえアン・ユウリィ」
「それでもあたし達は、親友のままよ・・・」
アン「うん、戦争が終結すれば故郷へ帰るつもりだったの」
「あなたと一緒に住めなくなるけれど」
「この一年間は、夢のようだった」
「きな臭い悪夢から解放された気分だった・・・」
アン「何?あなたも泣いてるのケイト・・ふ、ふふ」
「さあ、このチョンゴン・シティとの最後の思い出に」
「そして大親友ケイトちゃんとのっ!」
「お別れパーティしちゃいますかあ!キャッハッハッハッ!」
ケイト「じゅるじゅる、グスッ」
「あ、アン。あなたってホントに強い子なのね?」
「あ、アハハハハッ!」
「さあ、二人で近所のスーパーへ買い出しよ!」
「酒とケーキとつまみとレディス・ドーナツと!」
アン「マクダミアン・バーガーよね!」
ケイト「ピンポーン!」「ご留守ですかーっ?」
アン・ケイト「アッハハハハハハッ!」
アン「ケイトちょっと飲み過ぎよ。大丈夫なの?」
ケイト「うーい。ちょりっす!ひぐっ!」
「こら、アンっ!」
アン「はいはい」
ケイト「あんたはっあたしよりも若いくせに」
「何でいつもあたしよりも大人なの?ひぐっ!」
「だいたいスタイルだって、あたしより良いし」
「おっぱいだって、形も大きさもあたしよりも良いなんて!」
「・・・許さーんっ!!」
アン「ケイトが酒癖ワルイなんて初めて知ったわ・・・」
ケイト「・・・・」
アン「ちょっとケイト。吐くならこのバケツにしてよ?」
ケイト「・・・・」
ガバッ
ケイト「ウゲーッ・・・お、おえーっ!」
ゲロゲロ・・・
アン「ふうー。間一髪だった」
翌朝。
ケイト「うーん?ナナ・・・今何時?」
「!」
「あ、頭痛い・・」
「?」
「置き手紙・・・」
パラ・・・
アン(最愛の友、ケイトへ)
(起こしても起きなかったのでこの手紙を残して去ります)
(私の荷物は送らなくても良いからケイトが処分して下さい)
(リサイクル店に売れば幾らかになる筈です)
(面倒をかけてごめんなさい)
(一刻も早く自分の故里に帰りたいの)
(あっちで落ち着いたら手紙を送ります)
(田舎の何にも無い所だけれど)
(それでも私にはかけがえの無い土地です)
(いつかあなたの故郷へも行ってみたいな)
(もう、行くわね)
(いつまでも感慨にふけっては居られない)
(ケイト?)
(あなたはお風呂上がりにいつまでも下着のままで居るけど)
(風邪をひく原因よ、暖かくして眠りなさい)
(私の大親友、ケイトへ。元気でね・・・アン)
ケイト「・・・」
「アーン!」
「カッコつけすぎよーっ!!」
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