第30話牛チチ作戦

カリカリカリカリ・・・


カリカリカリカリ・・・


「・・・・・・」



「う、うひゃ・・・」


「うひゃ」


「うひゃああ~~!!」


ポッーーン!!!


ばらばらばらばら


「!」


「ちょっとアンさん、何してるんですか!」


ぱたぱたぱた


「あ、アリサちゃん、ダメだったわ」


「・・・・あーっ!」


「何オモチャぶっ壊してるんですか」


「うわー・・・」


「ち、違うのよアリサちゃん」


「こうなる運命だったのよコレは」


「はあ?」


「看護婦さーん!ユウリィさんがまたヤりましたよ~!」


「私も手伝いますから、全部捨てますよ?」


「コレはアンのオモチャなのよ?」


「あ、説明書を見せてくだい」


「・・・・・・・」


「アンさん、初心者は時間設定をしなきゃいけないんですよ」


「だからこうなるんです」


「こんな危険なオモチャなんで持ってるの?」


「あ、アニィに買ってもらったの」


「・・・旦那さんも変わった人なのねきっと」


ガチャ


「ユウリィさん、ゴミ掃除するからどいててよ」


「は、はい」


ぱっぱっぱっぱっ


さっささっさ


「アリサちゃんさっきから何書いてるの?」


「漫画ですよ」


「知らないんですか?」


「あ、アンだって漫画くらい知ってるわよ」


「よく買って読んだわ」


「ホントですかあ?」「なんか怪しいですよ?」


「良いですか?」「原稿をよく見て下さい」


「この5ページ目の戦闘前の整備班の作業手順です」


「ここでは、コマを多く使います」


「で、10ページ目を見ます」


「一ヶ月後です」


「この時点で整備班は作業時間が5分短縮してます」


「判りますか?アンさん」


「つまり、この人達は作業熟練度が上がったんです」


「コレが実戦経験です」


「あ、アリサちゃん、こんな漫画をずっと描いてたの?」


「何言ってんですかアンさん」


「コレがアリサの生きがいですよ?」


「アンさんには無いんですか?」


「げ!」


「そ~言えば、アンには趣味なんてなかったわ」


「少しショック・・・」


「・・・いいんですよ?アンさんもまだ若い女なんだから」


「私と一緒に漫画描きませんか?」


「は、はいアリサ画伯」


「・・・画伯?」


「タングステンさん・・・」


「タングステンさん、時間ですよ」


「あ、アリサちゃん。看護婦さんが呼んでるわよ」


「は~い」


「タングステンさん、検査に行きますよ」


「はい、ちょっと待ってて下さい」


ガタガタガタ


ぐしゃぐしゃぐしゃ


「お待たせしました」


ぱたぱたぱた


ガチャ


「・・・・・・・」


「ユウリィさん、全部捨てといたよ」


「はい、ごめんなさい」


ガチャ


「・・・・・・・」




アンは入院してから一ヶ月たったの。


二人部屋に移ったんだけど。


同室の女の子が・・・・


「面白い娘ねえ、アリサちゃんて」


いつもパジャマを着てる。黄色とピンク色の可愛いの。


おさげ髪がカッペ臭いな。


あの娘も、アンと同じチョモル村・村民ですって。


「何言ってんですかアンさん」


「アンさんがアリサを知らないのに」


「私がアンさんの家を知ってる訳無いじゃないですか」


「病院に行ったほうがいいですよ?」


「・・・アリサちゃん、ここが病院なのよ?」


「あ、そうか」


「・・・でも、アンさんて変わってますね」


「なんかうらやましいですよ?」


「わ、アリサちゃんにほめられちゃったわ!」




もうお昼だ。


「うーん」


「おなか空いたなあ・・・」


窓から夏の日差しが差し込んでる。


アンもパジャマが着たくなったわ。


このジーパンはもうボロになってるし。


Tシャツもヨレヨレだわ。


「・・・新しいブラジャーが欲しい」


「・・・・・・・・」


「パンツを洗わないと」



ガチャ


「ユウリィさん、お昼ごはん来たよ」


「はい、今日はごちそうだよ?」


「はへ?」


がたん


「わ、これって」


「あんたバクヤクどんぶりも知らないの?」


「外国の人?」


「やっぱりそうか、超大盛り揚げ物攻撃ね?」


「はいよ、ユウリィさん専用に牛乳が大量に出てるからね」


「は、はい」


ガチャ


「・・・・・・」


「い、いただくわ」


むしゃむしゃむしゃ


んぐんぐんぐ


「あれ?」


「アリサちゃんがまだ帰ってこないわ」


「バクヤクが冷めちゃう・・・」


ぱくぱくぱく


ごくごくごく



「牛乳をこんなに飲ませて」


「アンを牛にする作戦なのね」


ごくごくごくごく


「うぶっ!!」


あ、あれ?


牛乳の精霊が呼んでるわ・・・・


「あ」


ぱたん・・・


ありゃ

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