第32話アンの微笑み

「・・・・・・・」



カリカリカリカリ・・・・


カリカリカリカリ・・・・


ごしごしごし


「ふぅー!」


ぺっぺっ


「?」

「アンさん?」


「何、アリサちゃん?」


「チョットこっち向いて下さい」


「うん」


「わ!」

「髪を下ろしたんですか」


「うん、ポニーは昔からだからねえ・・・」


「素敵ですよ?」

「アンさんのロングストレートは別人です」


「え、そうなの?」


「いいこと思いつきました」

「ちょっと待って下さいね」


ぱたぱたぱた


ガサガシャガたガマ!!


ポイポイポイ


「あ、アリサちゃん、ガラクタを隠し持ってたの?」


「酷いなあ、ガラクタじゃないですよ」

「アリサの漫画道具です」「苦労して集めたんですよ?」


「どこのオモチャ屋さん?」


「はあ?」

「街の画材屋まで買い出しに行くの」

「結構楽しいんですよ」


「何それ、そんな店があるの?」


「はい、絵かき野郎には必須な店です」


「アリサちゃんて、漫画家さんに成りたいの?」


「そ~ですよ」

「同人誌も描くけど、プロに成るための小遣い稼ぎですね」

「たまに都会の出版社に行くんですよ」

「原稿を売り込むんです」

「クソでかいリュックを背負ってね」

「恥ずかしくても行くんです」

「まだ評価されません」

「アリサは少女漫画のほうがいいのかな?」

「あ、あった」


ぱたぱたぱたぱた


「はい、アリサがスケッチブックで似顔絵描きます」

「動かないで」


「は、はい」


「・・・・・うーん」


・・・かきかきかき


「・・・・・うん?」


・・・ごしごしごし


「あ、このアングルが良いな」

「動かないで!!」


「ひぃ!」


「・・・アンさん」

「アリサのオモチャを貸しますから」

「それで遊んでて下さい」


ぱたぱたぱた


「うみ?」


「はい、バカでも出来ますから」

「電池はいっぱいあるから」


「何これ?」


「携帯ゲームを知らないの?」


「うん」


「あ、アンさんてイツの人?」


「わ、これ面白いわ!」

「ねね、コレを撃ちまくればいいの?」


「動くな!!」


「はい」




5時間も固まってたわ、アンもう死にそう・・・

おなか空いたなあ・・・

窓の外はまだ明るいわね、晩御飯はまだなの?


カリカリカリカリ・・・・


「アリサちゃんて、キョウジンな女の子ね」


「は?」


「たくましく鍛えられた女よ」


「はあ?」

「アンさん・・・・」

「あなた戦争バカですよ?」

「もっと平和にヤられて下さい」


「は、ははは。ごめんねえ・・・」


「判りますよアリサにも」

「人を殺した女は、強さが滲みでるんですよ」


「!」


「いいんですよ、アンさんは一人で背負う女ですよね」

「アンさんは戦うことを辞めないんですね?」


「う、うん」

「アリサちゃんて凄い子なのね」


「アンさん・・・あなたが一番すごいんですよ?」


「がーーん!!」



ガチャ


「はいよ晩御飯来たよ」


ごとん


「わ、これは」


「ユウリィさん、ジャングルキラーの肉だよ」


「はい」



「アンさん、あなたは野性があるんですよ?」


「え、そうなの?」



ガチャ


「ふう、疲れました」

「ちょっと遊びに来たね」


「あ、ハルサメさん」


「ハルサメさんの採血下手クソですよ?」

「アリサ血まみれでした」


「ごめんねえ・・・」


「アンの真似してるわ、このナース」


「わ、今夜は豪華な人肉か!」


「あわわわ」


「ハルサメさん!そのギャグは禁句ですよ!」


「ごめんねえ・・・」



むしゃむしゃむしゃ


んぐんぐんぐ


「ユウリィさん、もうすぐ大部屋だからね」

「すぐに退院も出来るのよ?」


「ひへ?」


「私もユウリィさんの家に遊びに行きたいのだ」


「ひゃへ?」


「あ、その肉片頂戴」


「は、はい」


もぐもぐもぐ


「うん、やっぱ野獣の肉は最高ね」

「はははは」


「ハルサメさん、アリサこれ嫌いだから」

「食ってくださいよ」


「え、良いの?アリサたん」


「どうぞ」


はむっ ぐちゃぐちぎち


「うーん、やっぱタダ肉ほど旨いものはないね」



ごくごくごくごく


「ぶっはあっうべっ!」「うげ!」


「ユウリィさん、無理しなくてもいいのよ?」


「う、うん」


「あなたには牛乳そのものが必要なの」

「カルシウムもそうだし」

「なんでか判る?」


「・・・わかんない」


「アンたんは、無理し過ぎなの」

「あなたは母親に成らなきゃダメなのよ」

「ケツが安産型で乳がでかくて、豊満な肉体」


「い、いやらしいなあハルサメさん・・・」


「それでいいの!アンたん」

「旦那に私から言っとくわ」


「げげげ!」


「アンさんて魅力がありすぎるんですよ?」


「うひゃあああ」

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