うつ病患者はひりひりする?

 都会では自殺する若者が増えているらしいがおひさしぶりです。書いてもいないこの連載がふと見たら2万PVになんなんとしている。ありがとうございます。円山がイモ引いてはや数ヵ月。それを俗に『エターナる』というらしいが鬱だわ、不眠だわ、胃は重てえわ、円山はエターナル、あいかわらずだ。かわったとすれば『無職』というつかないでいい板にべったりついてきたくらい。タイトルも『たのしい無職』に変えたほうがよいのではないかと思えるほどだ。たのしかろうよ、そりゃ。つう話である。

 しかしそんなとろみのある日々にあっても、なんだろう、鬱、といえばそれまでなのだけれども、たとえるならやけどがぬるま湯にさえしみるというか、昔のジーンズの腹を締めている感じというか、ひりひり、ぎゅうぎゅう、といった感じなのである。

 もぞもぞ、くさくさ、といった感じでもある。

 ざあざあ、ぼこん(←焼きそばをつくる音)! といった感じでもあるのである。

 大人になってわかったこと。

 無職の大人はけっこういる。

 しかし無職にも健康的な無職というものがある。円山の思う『健康的』というのは、たとえばいきおいでバンドを組んだりバンドがうまくいかなかったり恋人ともめたりセックスしたりといういわば浅野いにお的無職であって、けっして床に倒れながら「鬱だなあ。俺はなんて鬱なんだ。」とつぶやいている無職ではない。そんなこたあ確認するまでもなくわかっている。

 それでゆくと先日、知人が会社を退職するというのだが、「俺はこれからフリーランスとしてやっていく。」とそのぴかぴかと前向きなのに感銘を受けた円山だ。

「フリーランスはすべてがネタだ。」

「会社で得たスキルを活かすぞ。」

「タトゥーをいれようかな。」

「砂で曼荼羅を書こうかな。」

 最後のは噓だがあとは本当だ。そのとおりだ、無職になってまでくさくさしていたら退職までした意味がない。感動した円山曼荼羅を、じゃなくて小説を書こうと机に向かったが東京のひとごみでガソリンを使い果たしたとみえてあえなくダウン。布団に横たわり「俺はなんて鬱なんだ。」と Pornhub を観て不貞寝したのであった。

 ひりひりせいでか。

 主治医にいわせれば、インプットだけしてアウトプットがないとひとは抑うつ的になるのだそうだ。

 アウトプットというのは『書く』ことばかりを指すのではない。たとえば会社で働くこともまた、アウトプットなのである。デイケアに通ってインプットだけして無職のままでは結局鬱は鬱なのである。働くも鬱、働かぬも鬱なのである。

「だから円山くんは小説を書いたほうがいいね。」とそのハンサムでお金持ちな主治医はいうのである。ちなみにペンネームがばれているので変なことは書けないのである。

「そんで映画になったらさー、俺を脇役なんだけど存在感があって観たあと印象に残る精神科医の役で出してよ。」とハンサムでお金持ちでサーフィンが趣味の主治医はのたまうのである。そんなもんみんなやりてえよ。

「ま、小説やるなら鬱は治さないほうがいいね。満たされると書けなくなるからね。」

 ……OH。

 ようするに、ひりひりしろ、というのである。主治医にすれば、無職透明(大事故)のぬるま湯に浸かった日々のなかで、それくらいが『ほどよい』と。『しっくりくる』と。でもね先生、うぐぐぐぐ。

 ともかくそんな治療方針のもと、『鬱で無職の作家志望』という若干危険な香りのするステイタスで今日も過ごしている円山なのである。つぎになにか書くとき円山がぴかぴかしているかどうかは、わからない。

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