うつ病患者は監視される?

 前回「いつのまにか一万PVを超えていた」と書いたが、ほっといたらいつのまにか一万六千をとっくに超えていた。書いてもいないのにいったいどこからやって来るのか、「うつ」か何かで調べるの? みんな悩んでるんだなあ。

 さてまるやまが現在どのような状況かというとしている。


「あ、円山くんじゃーんひさしぶりー」

「〇〇さんま~たガッチャン閉鎖病棟入ってたんだって? 今度は何したの?」

「いや先生に嚙みついた(←物理)からさー」

「また~退院伸びるよ~」


 馴染みすぎだ。精神病院に。

 いいやら悪いやら、一年半も通っていると友人(※どっかに地雷がある)も増えてくる。退院したり、入院したり、転院したり、寛解したりと患者の人生はいろいろだ。「オタクどこが悪いの?」なんて初心者には気のひける話題も飛び交う始末。

「私はうつから」

「私は社交不安から」

「僕は統合(失調症)から」

 ベンザブロックのCMっぽくなってしまったが、そういえばネットでは「統失」とか「糖質」とかいうけど、患者は「統合」と呼ぶことが多いです。

 ところでそんなふうに和気あいあいとしながら、この一年半でふと気がついたことがある。

「精神病患者、監視されがち」ということだ。

 円山も二十歳頃には監視されかかっていたものである。何だか奇妙な日本語である。被害念慮や幻嗅もあるので、円山もまかり間違えばガッチャン寸前だった、ということだ。

 例によってこんな話題を振ってみると、

「あるある!」

「私もされてたよ!」

「××さん今もされてるでしょ?」

「△△さんは高校生の時集団で監視されてそいつらに病気にされたんだって」等々のこってりしたお話が胃もたれ、もとい爆笑とともに語られることになる。

 円山も連中も統合ではないにもかからわず、だ。

 あれは何でなのかなあ。人間、やっぱり誰でもうぬぼれがありますからね。自分がそれほどの人物であるはずだ、という自尊心が変な形で表出したのではないかと。すくなくとも円山の場合ケースは思う。ちょうど講談社をクビになったばかりだったし。←この程度だから軽症で済んだのではないだろうか。

 まして世界の秘密なんか知ってしまった日には大変だ。北朝鮮なら家族ごと燃やされているところだ。

 統合失調症の発症のメカニズムは令和になっても未解明である。脳内の物質のどーたらは専門家に任せるとして、話を聞いていると大体


「自分は何故こんなにつらいのか」→「そうだ! これこれこういう理由だからだ!」

 ……で妄想の世界に突入してゆくケースが、とりあえず円山の周囲には多い気がする。この「→」が間違っているだけで、だから意外と話に理屈は通っていたりする。


 天一のラーメンみたいな話が続いたので、あっさりした話をひとつ。これも知人の◇◇氏は酷い抑うつ症状を発症し、「自分は何故こんなにつらいのだろう」と考えた。

「そうだ! 自分はショッカーに脳を改造されたからだ!」

「こりゃ重症だ」と統合失調症の診断を受けて三ヵ月の入院へ。さて落ち着いてきたところで主治医に、

「そもそもショッカーなら頭じゃなくて体から改造するでしょ?」

「あ、たしかに」

 で、寛解した彼は復職に向けてリワークプログラムで頑張っているところ。

 と、めずらしくいい話で今回はおしまい。そんなこともあるので、生きづらいみなさんも適当にほのぼのやってください。円山まどかでした。

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たのしいうつ病 円山まどか @mauyamadoka

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