うつは食欲がなくなる?
子供の頃から食べ物をのどに詰まらせるのが好きだった。
何でまたそんな致死性の嗜好を身につけたものか、生まれついてとしかいいようがない。そんな生まれつきがあるかと自分でも思うが、ともかく食の多様性が注目される今、何故〝のどごし〟ばかりが注目を集めるのか不思議でならない。
モチは死にかけたが米なら飲める。そばはのどで味わうらしいが、うどんものどで食うほうがはるかにうまい。ひとに話すと「カレーは飲み物ですか?」と返してくる馬鹿がかならずいるのだが、ハナから液状のものを飲むことに何のカタルシスがあるものか。と〝アンチのどごし党〟のタカ派としては国会の前でアジりたい。
とにかく思いあまって政党(政?)をぶち上げてしまうほどには、のどが詰まる感触に欲望が強い
……とか、大昔にやっていたブログの下書きがでてきてあまりのくだらなさに悶絶している現在の円山だ。
うつには食欲不振が付きものだ。過食にはしる人間もいる。円山の場合意地汚いのと胃だけは丈夫だったのでうつになってもさんざん飲み食いしてきたが、現職で胃から駄目になって今にいたる。
ぐずぐずに茹でたうどんばかり食べているうちに、何かもうふた玉がひと玉になりひと玉が半玉になり、ついには毎晩めんつゆだけ飲んで済ませている。素うどんならぬエアうどんだ。詰まるも詰まらないもない。
唐突だが、自分がうどんを食べている場面を想像してみてほしい。特別な事情がない限り〝想像もできない〟ことはないと思うのだが、円山にはできない。食欲のなさも極限にいたると食事が〝想像もできないこと〟と化すらしいのだ。〝想像もできない〟というのは一般に
〝想像もできない超ド級エンターテインメント〟とか
「今の私から想像もできない役に挑戦したいですね。」(←何か女優が)とかに使うのであり、とりあえず〝うどん〟には適用されない。
で、先日。職場の後輩から
「エアうどんって何ですか?」と猿を見る目でいわれてしまった。
「食欲ないならラーメンとかステーキとか、絶対においしいものから食べてみたらどうですか?」
あいかわらずまともなことをいうので、食欲こそなかったがその日の帰途某ラーメンチェーンに寄ってみた。
ラー油ベースのスープにひき肉と溶き卵を浮かべた川崎市民のソウル・フードだ。太田胃散も二包
……味。
いくらなんでも〝味〟って感想はないと思うが、〝味〟だったのだからしかたない。〝うまい〟〝からい〟〝熱い〟の前に、〝味〟。
「味だなあ。」
ずるずる。
「味がする。」
うつの無感動、ここに極まれり。
もちろん飲むように食べた。これはこれで面白いので次は辛さマックスで試してみようか。あ、でも胃がなあ……。
ちなみに食後にもう一包太田胃散を
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