うつ病患者は「頻回」する?
前回処方が変わって以来、あいかわらず夜ごとラリっている。
「ラリるから
「服まないと治らない……。」のだから仕方がない。何しろこれまでアッパー系の薬は服んだことがなかった。
まあ正確にいえば定番のレクサプロがそれに当たるのだが、作用も副作用も何もなく、新発売のレクサプロ(メガ盛)に増やしてもアガることもオチることもないやおい状態。〝愉しくなって抑制が利かなくなる〟という状態の経験値がないのである。
「ああ、記憶あるんだ?」と主治医。
「じゃ、問題なし。」と何やら軽い。ないこたあないと思うが(腹まわりとか)「愉しいならいいじゃん。」と若者みたいなことをいう。いわば医師のメディカルチェックつきで夜な夜なトんでいるようなもので、いいのかこれで俺の人(後略)感が半端ない。
テンションあがってファミマであれこれ買いこんで床で目を覚ます愉快な日々が落ち着いて本作用が
話はそれるが、じつは本作用という言葉はない。しかし【副作用】の反対語を
折よく先日薬剤師との面談があったので
「ないよ。」という。
例えば抗不安薬の代名詞、デパスは副作用でだるくなる。だるくなるということは弛緩しているということなので、整骨院などで「凝りがほぐれます、副作用で眠たくなります。」と説明して処方されるとの由。
円山、目からうろこ。
で、早速例の喫煙所(精神患者の社交場)でそんな話をしてみたら、
「そういえば【来院】の反対って何だろう?」なんて話になった。
「【通院】?」それだと頻繁にかよう印象が強いし。
「【受診】?」「ぽいね。」「でも毎回診察でもないだろ。」「事務所見せろよ。俺は
かくいう円山も【抑うつ】は〝うつが
普段ばんばん専門用語を駆使して話している我々にも、わからない病院言葉もある(調べたら【訪院】という言葉があるそうです。)
その夜もはっと気がついたらファミマでストゼロを買っていた円山である。これを【脱抑制】という。いくらなんでもアルコールはどうかと思ったが、店の前で夜風に吹かれながら一服していたら抗うつ剤の【副作用】か愉しくなってきた。これを【躁状態】という。
や、薬剤師のいうように視点を逆にするならば、愉しいのが【作用】だという見かたもできよう。「今が愉しいからいいや〰〰!」とノーフューチャーにストゼロを
金麦片手に甚平でうろつく二十八歳。土曜の晩とはいえ、もう、ザ・無職。と思ったら面白くなってきた(これを【ラリってる】という。)どうするどうなる円山まどか。「あいつやばくね。」「キ■■■病院かよってんだろ。」「いいからフィクション書けよな。」「誰かポリス呼んでこいよ。」とかとか聞こえてくる(これを【陽性症状】という)が、とりあえず無視。いいいのかこれで俺の(略)■■さんの新刊が(略)白井さんから(後略)
「そうだ! Tポイントのたまるウエルシアのほうが得だ!」
翌朝。案の定床で目を覚ますと部屋がにおう。UFOの〝マキシマム背脂ニンニクチーズ〟なんてエグイものを食べたらしい――なんでスマホで写真撮ってあんの? くわえてカレーパン、メンチカツサンド、おつまみにんにく、おにぎり(鮭)、〆に盛岡冷麵……。
これを【虚無感】という。
とりあえず窓をあけて食い散らかしたものだけでも片づける。「どんだけ食ってんだよ。」律儀に絶望しながらひとつひとつ片づけてゆくと、いちばん最後に希望が――
――残っていなかった場合の〝なんかまあ、そりゃそうだという気持ち〟をなんというのか、おしえてほしい円山なのである。
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