第26回 量産型はダテじゃない!
今回、ご紹介するのは『量産型はダテじゃない!』。作者は柳実冬貴先生です。
次世代の戦争に運用される自立機動兵器、戦闘用ヒューマノイド、通称UD。その最新型であるシュナイダーの生みの親が、ヒロインのヘキサです。14歳にして天才技術者の彼女は、シュナイダー用の新型パーツを届けるため、輸送艦に乗っていました。しかし、輸送艦は敵軍の攻撃で墜落。どうにか生き延びた彼女でしたが、そこは砂漠。敵の追撃から逃げながら辿り着いた奇妙な建物で、一体のUDを発見します。生き延びるため、そのUDを起動。それは伝説の最強兵器―――などではなく、旧式の量産型。しかも、気合と根性だけはありますが、機体はオンボロ。名前はナンブ。ヘキサはナンブと共に、無事にシュナイダーのもとへ辿り着くことができるのでしょうか。
本作の主人公、ナンブはイケメンでも超高性能でもなく、ただの量産型。正直弱っちいのですが、ヘキサが仕方なくシュナイダー用の新型パーツを取り付けます。ゆえに、量産型だからといって、侮るなかれ。ナンブはヘキサのため、自身の命(ヒューマノイドにこういった表現をするのは適切かどうかはともかく)を投げ捨ててでも、敵と戦います。その姿は格好いい……のかな? 時折、ガンダムのオマージュのセリフを吐きながら突撃するので、イマイチ緊張感に欠けるというか。ですが、彼のヘキサへの恩義に報いる覚悟は間違いなく本物です。
ヘキサの頭を悩ませるのは、ナンブだけではありません。輸送艦の指揮官であるアインツヴァー中佐。彼は『突破王』の異名を持つ軍の英雄なのですが、性格はマイペースでヘタレ。副官の女性、ルイ大尉との間の抜けたやり取りが絶えません。この4名でシュナイダーのいる最前線へと赴こうというのですから、頼りないことこの上ない。
白河のお気に入りキャラは、シュナイダー。その強さから『白光の騎士』の異名を持つUDで、外見は(ナンブと違って)イケメン。基本的に冷静沈着ですが、ヘキサの命に関わることとなると激高します。それだけ彼女との絆が強い証拠。1巻ではシュナイダーが物語のキーマンとなります。
本作は、お馬鹿なコメディシーンが目立ちますが、核となるのはナンブをはじめとした熱いハートの登場人物達。ロボットアニメだとやられ役にありがちな量産型ですが、ナンブは主と定めたヘキサのためなら最新兵器とも真っ向から戦うのです。その姿に心打たれるのか、呆れるのか、頭を張り倒したくなるのかは、ヘキサとあなた次第です。
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