第25回 とらドラ!
今回、ご紹介するのは『とらドラ!』。作者は竹宮ゆゆこ先生です。
生まれつき目つきがすこぶる悪く、ぶっきらぼうな性格もあって、周囲の人間から畏怖されてきた主人公、高須竜児。高校2年生の4月、親友の北村祐作や、密かに憧れていた女子生徒の櫛枝実乃梨と同じクラスになりました。とても喜んでいた竜児ですが、さらにもう一人の女子生徒も同じクラスに。人形のように可愛らしい外見とは裏腹に、殺気を孕んだ迫力を纏った少女。周囲から「手乗りタイガー」と囁かれ、恐れられている逢坂大河でした。大河は実乃梨と大の親友です。
ある日の放課後、大河の勘違いにより、彼女の北村へのラブレターが竜児の鞄に入れられました。どうしたものかと自宅で悩む竜児。その夜中、大河が木刀を持って来襲。ごたごたの末、竜児は北村と大河の恋を応援することになってしまいました。竜児も二人をくっつけて、晴れて実乃梨と親しくなろうと野望(?)を抱いたのです。こうして竜児と大河のコンビが結成されたのでした。
本作はアニメ化やゲーム化もした人気作。20代以上のラノベファンなら、タイトル名を知らない人はいない、と断言してもよいのではないでしょうか。「じゃあこの企画で今更取り上げる意味ないじゃん」とツッコミを入れられそうですが、世代の都合で10代の中には知らない方もいらっしゃるかもしれませんし。けっして、「たまには超有名人気作品も取り上げた方がいいかなー」という打算に動かされたわけではありませんよ? ……たぶん。
純粋なラブコメで、当時凄まじいまでの人気を博したのは、それだけ本作の登場人物に魅力があるからなのでしょうね。近年のラブコメものラノベ、というと「主人公が複数のヒロイン達に一方的に言い寄られて、どの娘を選べばいいか困っちゃうなー」という受け身スタイルの作品が増えている気がしますが(白河の勝手な主観)。竜児は不器用でやや臆病ながらも、自分の恋を叶えたいと頑張る少年です。メインヒロインの大河も、北村の前では緊張してろくに会話もできない娘ですが(竜児には悪態をつきまくり)、自分の恋愛に空回りながらも努力をしています。対する北村や実乃梨、それに2巻から加入する川嶋亜美も、色々と抱えているものがあり。時には共に笑い、時には激しくぶつかり合いながら、5人は絆を強めていきます。こいつら青春してるなー、と読みながらしみじみと思ってしまう一作。こんな青春したかったな……。
白河のお気に入りキャラは、生徒会長の狩野すみれ。大和撫子のような綺麗な容姿を持ちながら、親分肌な言動でみんなを引っ張る少女です。そのおかげで、生徒達の間では「兄貴」と呼ばれています。白河はゲーム版で彼女を攻略できないものか、とあれこれ試したのですが、『諸事情』により攻略は不可能なのでした。担任教師の女性キャラは攻略できるのに。納得できん。
本作は、主人公達の魅力でグイグイと読者を引っ張る作品です。ところどころでシリアスなお話を交えながら、物語は終着点へときっちり着地。読者をダレさせません。青春ラブコメが好きで、もしもまだ読んだことがない、という方がいらっしゃるなら。ぜひお読み下さい。
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