第08回 ネクラ少女は黒魔法で恋をする
この企画は何だか、ダークな内容の作品を多く取り上げている気がします。なので、今回は明るいラブコメをご紹介。熊谷雅人先生の『ネクラ少女は黒魔法で恋をする』です。
主人公は、根暗な性格で内弁慶な少女。ある日、彼女は趣味の黒魔法を行なった結果、本物の悪魔を召喚してしまいました。自分を見下している周囲の人間を見返すため、主人公は悪魔との契約で「可愛くして下さい」という願いを叶えてもらいます。その代償は、「他人を好きになってはいけない」というもの。「そんなのお安い御用!」と即OKした主人公。契約を終えて鏡を見てみると、本当に可愛くなっていますし、自分を(これは「黒魔法なんて趣味はやめて!」というのが主な原因ですが)嫌っていた妹の反応も上々。これに気を良くした主人公は、翌日から妹に化粧などを習って登校。周囲の反応は昨日までと全然違いました。世界が広がった気がして、自信を持つことができた主人公。そこに、先輩の女子生徒が現れ、演劇部にスカウトされました。断りきれずに流されて、主人公は入部します。そこで、一つ上の先輩で演劇部部長の男子生徒と出会ったことで、彼女の心は次第に変わっていくことに……。
主人公の記念すべき第一声が「こいつら、呪ってやる」で始まるラブコメ。……ラブコメですよ? それまで内向的で、クラスメイトの誰ともろくに話さなかった主人公。灰色の学校生活だったのに、ある日を境に淡い青春へと足を踏み入れます。生き方が変わると、鬱屈していた他人に対する見方も変化。それまでバカにしていた恋の味を知っていくのですが、それは甘酸っぱさだけでなく、ほんのりと苦味もあったのだ、と少女は知ることになります。
白河のお気に入りキャラは、主人公のクラスメイトで演劇部に所属する、雛浦しの。一見、黒色ロングヘアでお淑やかな少女ですが、実は実家は空手道場を営んでおり、その影響もあってけっこう武闘派。「あの女、消しますか?」とかサラリと言っちゃう怖い一面が。主人公が演劇部にスカウトされる要因を作った人物でもあります。短編集である4巻では、彼女を主役にしたお話も。
黒魔法という要素がありますが、全体的には素直な青春ストーリーです。ギャグシーンなどもありますが、そんなに激しいわけではなく、落ち着いた作風。おかげで万人にオススメできる作品といえるでしょう。
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