第03回 ホルス・マスター
第三回は、『ホルス・マスター』。作者は、嬉野秋彦先生です。
『ホルス』と呼ばれる特殊な金属製の武具を身につけることで、魔法を扱える世界。
主人公のアルハイムはいわゆる超人のキャラではあります。彼は、血の繋がった実妹ディミトリアスを心底愛しており、妹が成人したら結婚するつもりでいます。兄妹の旅の目的は、ディミトリアスが失った声を取り戻すこと。
そこに色々あって同行するようになるのが、プルプリッサという名の格闘系少女。彼女は、アルハイムのことを『変態腹黒シスコンメガネ』と呼ぶようになりますが、まさにその通り。アルハイムは妹第一主義ですので、その障害となるものは誰だろうが叩きのめす男。
この世界で覇を唱える勢力の一つが、『七星剣士団』。剣王と呼ばれる七人の男女を中心として、他勢力と争います。そこにアルハイム兄妹(ついでにプルプリッサ)が首を突っ込んだ結果、世界は大きなうねりを見せていくことになります。
本作の魅力はバトルシーンです。アルハイムの超人っぷりと対比する形で、プルプリッサの成長が描かれています。この世界では、身体能力の「倍速」ができる魔法の使用者は達人です。さらに三倍速の魔法を唱えることができるのは、ごくわずか。それに対して、アルハイムの得意魔法かつ切り札が、四倍速。それだけを聞くと、「ああ、主人公が最強で無双するだけの作品なのね」と思われるかもしれません。しかし、一筋縄ではいかないのがこの作品。アルハイムが追うベルタルダという謎の女性剣士をはじめとして、倍速を使えなくともアルハイムと肩を並べられるほどの達人はたくさんいます。アルハイムはディミトリアスのため、障害と見なした者と戦い続けます。
イチオシのキャラはアルハイム、と言いたいところですが、個人的には剣王達。特に、剣王を束ねる、甲冑で身を覆った謎の男、魔剣王レオニードのカリスマ性がたまりません。
嬉野先生は当時、キング・オブ・ファイターズやヴァンパイアシリーズなど、格闘ゲームのノベライズを担当することの多い方でした。そんな先生のオリジナル作品として、またファミ通文庫の黎明期の作品として注目されていた作品です。
全体的に軽いタッチの文調には賛否両論あると思いますが、それを受け入れられる方にはオススメです。
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