35歳ニート女子、鎮守将軍になる。
環(たまき)北辺の地・井津端国(いづはこく)で民衆が反乱を起こし、春山城が焼かれる。七年前の疑獄事件で讒言を受け、罷免されて無職となっていた軍事貴族:春野は、元上司保円(やすまど)の推挙により反乱鎮圧のための鎮守将軍に任命される。地元民のことばや事情に精通した春野の功により、反乱軍は降伏するが、都からは尚も殲滅を命じる飛駅が来て――。
北の財に殺到する王臣家。上皇を排斥しようとする摂政。国家という肥大した欲望に晒されて、北辺とともに生きることを選んだ春野は、保円や葛原氏の利害と切り結びながら、旧友たちと死地を切り拓こうとする。
「<渡り>の城柵――望春に駆けよ――」15年後舞台の続編。
完結済。