しなやかに、したたかに、花を咲かせよ

『〈渡り〉の城柵ーー春望に駆けよ』にて、遠辺国を襲った大地震から、十五年。遠辺国の人々は、徐々に復興を成し遂げていた。
環国の政変によって官職を失っていた風声春野は、遠辺国の地元民が環国に対して起こした反乱を鎮めるために、鎮守将軍に任命された。そこは、環とは言葉も習慣も異なる夷似枝の民、春野の愛する工人・里宝春の暮らす土地である。
春野は、乱を鎮めて彼らを守り、平和を築くことができるのかーー。


古代日本、東北の対蝦夷政策を想わせる設定です。漢字の使い方に違和感を覚える方がいるかもしれませんが、読み進めるうちに慣れてきます。作者さまの正確な歴史観、民俗観に裏打ちされた描写が素晴らしい。何より、主人公・春野の率直で伸びやかな人柄が魅力的です。
是非、前作と併せてお読みください。