序 星火の急(2)
鎮守将軍・
――こちらが武器を持っていないことを、ひと目で知らせる必要がある。
猪爪村の櫓らしき黒い影を見上げ、風向きが変わるのと同時に、彼女は笠、
白い小袖一枚になって、身を切るようなつめたい風に身を晒す。
これでは罪人のようだな、と思い、特にそれも間違っていないと思い直す。
井津端の交易の中心地・春山で、晩春に
遠辺国や、北辺の南に接する
――この事態になるまで、わたしは手をこまねいていた。
七年前の罷免から、彼女は
白く雪の積もった丘から、数人の武装した夷似枝たちが降りてくる。
《わたしは、鎮守将軍風声春野という! 空拳である! 村長に取り次いでいただきたい!》
寒さにからだの芯からぶるぶると震わせながら、春野は叫んだ。
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