陽炎の森(現代偏)4 フロントに電話して大広間での夕食は杏里も一緒の席にするように頼んだのです、温泉に入る事になり、メイと杏里、真一朗は別々に温泉に行ったのです、さすが老舗の


陽炎の森(現代偏)4


フロントに電話して大広間での夕食は杏里も一緒の席にするように頼んだのです、温泉に入る事になり、メイと杏里、真一朗は別々に温泉に行ったのです、さすが老舗の旅館なので、

多くの温泉がありました、湯治の為長く泊まっている人もいたのです、温泉はナトリューム系でみるまに肌がつるつるになり、メイと杏里は大喜びです、


温泉から上がると夕食の支度が出来、大広間に来るように放送があったので、連れ立っていく事にしたのです、真一朗がこの時代では大体大広間で泊まり客が芸をみながら一緒に食べ、

るんだよと言うと、まるで芝居小屋に行くみたいですねというので、歌い手か手品が多いよと答えたのです、宴会場に行くと山本みどり歌謡ショーと書いてあります、


杏里が有名な人ですかというので、昔し演歌では有名だったんだよ、今はもっぱら全国の旅館、やホテルで演歌を歌っているらしい、食事しながら見るなんて楽しそうですと二人とも、

喜んでいたのです、座ると一人づづ膳が並べてあります、まああの時代と同じですねといい、料理をみると前菜が乗っています、あらこれだけなんですすかと聞くので、いや食べると、

次の料理、次の料理が運ばれてくるよと笑ったのです、


ところで演歌とはどんな歌なんですかと聞くので、歌には流行歌、演歌、ジャズ、ロック、などの色々な種類があるのだよ、演歌というのは、日本古来の歌という事になるのかなあ、

聞けばわかるよといい、さあ食べようと食前酒で乾杯し食べはじめ一品終わると、仲居さんが次の料理を膳に載せたのです、やがて幕が開き、山本みどりが挨拶し、音楽が流れ、

演歌を歌いだしたのです、


音楽は三味線や太鼓だけではないのですね、すご~いというので、これは録音してあるのを流しているけど、楽団員が沢山いて、色んな楽器を演奏して歌うんだよと説明したのです、

婚礼での音楽も驚きましたが、あれより色んな楽器がうまく演奏されてすご~いと感心していたのです、料理は魚の次は肉料理でした、満腹になり宴会場を後にして、傍にある、

居酒屋に入ったのです、


旅館の中に居酒屋もあるんだとメイがいうと、外にもあるけど、わざわざ外に出なくてもいいようになっているんだよといい、ハイボール3つと肴を頼んだのです、酒が来たので乾杯、

して飲むと、おいしい、日本酒ではありませんねと言うので、ウイスキーといって麦から作った酒に炭酸が混ぜてあり、飲みやすくしてある酒だよと説明すると、この時代は酒も種類、

があって、なにがいいか迷ってしまいますと笑ったのです、


杏里がもしこの時代で殿方を好きになったら、私の時代に一緒に行ってくれるでしょうかというので、う~ん、そうなってみないと分からないなあと答え、杏里さんは誰か好きな、

人はいなかったのと聞くと、百姓に嫁ぐのが厭で、メイさんみたいに武家奉公しようと字を習っていたのです、だから好きな人はいませんでしたと言ったのです、


酒の肴に山葵の茎あえがあったので頼みたべると、メイがあの時代と同じでチョット辛くておいしい、あの黒駒の親分の子孫はいるのかしらと言うので、明日行ってみよう、今は、

当時のような家業はヤクザと言って、規模も大きくなっているよというと、まさか博打はやっていないでしようというので、この時代では日本では禁止されているので、違法にやって、

いて時々摘発される事はあるけど、


昔みたいに人の為になる親分はいないよ、ただ裏の世界の治安を守っているのも彼らだから、警察も完全に潰すわけには行かないさ、必要悪というところだねと言ったのです、二人が、

私達もこの時代に段々なれてきたみたいですというので、真一朗が言葉使いもすっかり、現代風になってきて、違和感はないよ、僕もあの時代に行った時、すぐあの時代の言葉を使、

えるようになった、人はその時代にすぐなれるように出来ているんだねと笑ったのです、


次の日は温泉街をあるいて、黒駒の親分の家があったところに行って見ると、おみやげ店になっており、中に入ると、山葵の茎和え、山葵、干物などがところ狭しと並べてあります、

すぐそばに民芸品が展示してあり、駒などの昔しのオモチャ、手ぬぐい、ノレンなどがあり、道中笠、センス、袢纏などが展示してあります、袢纏に黒駒一家と書いてあるのをメイ、

がみつけ、やつぱりここにいたのかしらというので、


店員にこの袢纏の黒駒一家とは有名な人と聞くと、江戸時代ここら一帯を仕切ってた有名な親分だそうです、今はここら辺にはいませんが、静岡で黒駒興業として、クラブ、映画館等、

を経営しているそうですと教えてくれたのです、黒駒の勝三の子孫かもしれませんね、静岡で尋ねてみましょうと店を後にしたのです、黒駒の勝三が広めた山葵の料理が今では全国に、

広がっているのだと思ったのです、


箱根湯本の駅に戻り静岡行きの列車に乗ったのです、山間を行き箱根を降りると、右手に富士山が見えてきたのです、富士のお山だ、近くからみるとすご~いと感激しています、

そうだ三島で降りて、富士山に登ろうというと、え~、登るのですかとビックリしているので、今は5号目までバスで行けるので歩かなくて済むよといい、三島駅で降りたのです、


商店街に行き、今の季節はもう寒いよと、登山用のパーカーを探しに行き買って、登山バスで富士山に向かったのです、バスはゆっくり登っていき、標高が高くなると段々寒くなり、

5合目に着くとまるで冬みたいです、食堂などの店ではストーブが炊いてあります、二人が半分くらいの場所でこんなに寒いんですねと驚いています、すぐそこに展望台があるので、

とつれて行き、


下を見ると遠く東京まで見る事ができ、素晴らしい景観です、むかしの人はここまで登るのは大変だったんだよ、今僕達ちはたつた1時間でここにいるというわけさと言うと、初めて、

来ましたが、みんなが霊峰富士のお山という訳がよく分かります、でもここはもう冬ですねというので、食堂で温かいものを食べようと、うどんを注文したのです、二人ともおいしい、

おいしいと食べていたのです、


三島駅に戻り電車で静岡に向かったのです、静岡はもうすぐてす、静岡駅で降りお土産店で大体の場所を聞いていたので、飲み屋街に向かい黒駒興業をさがすと、6階立ての1~5階が、

飲み屋になっており。6階が黒駒興業です、エレベータに乗り6階に行くと受付があるので、呼び鈴をおすと女性が出て来て何か御用ですかと聞くので、村上真一朗ですが社長さんは、

いますかと聞くと、チョットまってくださいと奥に入り、


暫くしてこちらにどうぞと社長室に案内したのです、部屋に入ると白髪の老人が黒駒勇一ですというので、村上真一朗と連れのメイに杏里ですと挨拶し、こちらにというので応接のイス、

に座ると、どうゆうご用件ですかと聞くので、ここの名産の山葵和え、は今全国に出まわっていますが、ひょっとしてこちらのご先祖様が広められたのではというと、よくご存知ですね、


私の祖先は代々箱根湯本にいたのですが。明治の世になりこちらに来て、飲食店を開いたそうです、昭和になり活動写真(映画)が普及し始めましたので小屋主として、映画館や芝居小屋、

をやって、今にいたっています、ご存知かもしれませんが、清水の次郎長と縄張り争いを何回かやったそうです、徳川幕府が倒れ、江戸から徳川家が移封された時に、600万石から、

60万石となり家臣を食わせることが、


出来なくなり、大勢が録を失ったのです、そこで幕臣の勝海舟の頼みで、次郎長と協力して録を離れた家臣にお茶作りを奨励したのだそうです、土地の庄屋の山名吉蔵さんが最初に協力、

してくれて、静岡一帯に広がり、今ではお茶は静岡といわれるまでになったのです、山間では寒暖の差が激しくお茶の栽培には適した土地柄も幸いしたのでしょうと話したのです、


黒駒の勝三というご先祖が、公儀の諸国巡察方の村上真一朗様に最初にこの山葵の茎あえと、谷川の水で冷やした酒を差し出したところ、美味しいと褒められ、箱根湯本の旅籠をはじめ、

居酒屋にはやらせるよう申しつけられたのがきっかけだと、残っていた日記にしるされていました、しかし今日同じ名前の村上真一朗さんが尋ねて来られるとは、ビックリです、なんと、

言っても500年も前の事ですからと笑ったのです、


江戸時代の料理を研究していまして、いろいろと最初にできた場所を尋ねているのです、よく分かりました、それにしてもよくこの時代まで続きましたねというと、申し送り状が、

ありまして、それが我が家の家訓となっています、一人の善人を作れば、その一人がまた善人をつくり、幅広く世の中の役に立つのだ、たつた一人の善人でいいので、我が家の子孫は、

必ず自分の代に一人善人を作るべしと書いてあるのです、


そのおかげで我が家が窮地に陥ったときは、多くの人が助けてくれたので、今日まで家業を営む事が出来たのです、これも一重にご先祖様のお陰だと思って精進しているのですと笑った、

のです、ありがとう御座いましたとお礼をいうと、わざわさお尋ねくださりありがとう御座いました、これも何かの縁です、昔ながらの山葵の茎和えですどうぞ持っていってください、

とビニール袋に入ったのを渡すので、ありがたく頂戴して、今日はこれを肴に一杯やりますと会社を辞去したのです、


メイが旦那様の言いつけを今でも守っているのですねというので、嬉しい事だねと笑ったのです、杏里があの時代には随分良い事を、真一朗さんはされたのですねと、感心していたのです、













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