陽炎の森(現代偏)87 真一朗さんは優しいのですね、普通は知らん顔して通りすぎますよと幸恵が笑うと、でも良かったわ二人で寂しい思いをしていたのですよ、今日から子犬も含めて6人の


陽炎の森(現代偏)87


真一朗さんは優しいのですね、普通は知らん顔して通りすぎますよと幸恵が笑うと、でも良かったわ二人で寂しい思いをしていたのですよ、今日から子犬も含めて6人の大家族ですと、

二人で喜んでいます、今日は美味しい物を作りますねといい、太郎さんと真一朗さんは温泉に浸かってきてくださいというので二人で風呂場へ向ったのです、ヒノキの大きな風呂で、

す、


身体を洗い湯船に入るとヒノキの言い香りがします、極楽ですねと真一朗が言うと本当に日本はいいと太郎が言ったのです、真一朗さんはいい身体をしていますねと言うので、そうで、

すか、自然を撮るカメラマンをやっていて、結構きつい山歩きしているせいですかねと答えると、そうか山のぼりは身体が鍛えられますよと感心していたのです、


汗を流しいい温泉てしたと居間に戻ると、それではメイさん私達もと連れ立つてお風呂に行ったのです、主人がビールもいいですが風呂上りの冷酒もいいですよと鉄瓶に入れた冷酒、

をコップに注いだのです、頂きますと一口飲むとたまりません、美味しいですというと、井戸水で冷やして鉄瓶に入れておいたのです、太郎さんに貰った鉄瓶に入れるとまろやかに、

なるのですよと笑ったのです、


二人が風呂から上がって来て肌もつるつるですと喜んでいるので、主人が酒を注ぐと二人が飲み美味しいといい、メイがビールより美味しいです、くせになりそうですと言うので、

皆が笑ったのです、主人と奥さんが風呂に入りあがって来て、夕食の支度もできました、というので、幸恵とメイが手伝いますと台所に行き、テーブルに料理を並べたのです、


見ると山菜料理にイワナの塩焼き、マス寿司、そして猪鍋です、これはご馳走ですねと言うと、猪猟もやっていまして昨日取れたばかりですよ、あの犬は猟犬ですよ大きくなるのが、

楽しみですというと、奥さんが野山を駆け巡るのが好きな人なんですと笑ったのです、それでは頂きましょうと箸をつけるとどれも新鮮で美味しいので、メイがもくもくと食べたの、

です、


奥さんがメイさん料理は逃げないのでゆつくり食べても大丈夫ですというと、すみません美味しいのでつい箸が行ってしまうのですと答えると、まあ嬉しいと奥さんが喜んでいます、

いつまでも冷たいのでなかなか温かくならないですねと言うとこの鉄瓶は冷たいものを入れれば冷たさが長持ちし、沸かせばなかなかさめないのです、太郎がこの鉄瓶の鉄は不純物、

が少ないため、


きめが細かく隙間がないので保温性があり、あの名刀正宗もこの鉄で作られるので強いはがねになるのだそうです、しかも入れた物に鉄分が混ざるのでまろやかになるのだそうです、

と話したのです、ブラジルでも岩手から取り寄せ、長男のスーパーで販売しているのですよ、これで沸かしたお湯でコーヒーを飲むととても美味しいので、凄く評判がいいんですよ、

と幸恵がいうので、


岩手で貰ったブルーマウンテンを鉄瓶で沸かしたお湯で飲みましたら、砂糖を入れなくても、とても美味しかったですとメイが言ったのです、コーヒーも上質だからでしょうが、

というと、幸恵がありがとうと喜んだのです、猪鍋をつつくとこりこりして美味しいので美味しいと太郎がいうと、奥さんが忘れてました、マルにも上げましょうと台所から味、

のついてない焼いた猪肉をもって来たので、


メイと真一朗もついて行き奥さんが犬小屋の前に置くと、おきあがり匂いをかぎ凄い勢いで食べたのです、奥さんが頭をなでるとくう~んと泣き手をベロベロ舐めたのです、部屋に、

戻ると美味しそうにたべましたよと奥さんがいうと、明日は子犬ともども温泉に入れて綺麗にしてやろうと主人が楽しそうです、マルという名前にしたのですかと聞くと、奥さんが、


うちの犬は歴代マルなんですよというので、どうしてですかと聞くと、主人がそれは私の父が最初につけたのです、父が大学生3年生の時に学生の徴兵猶予が解除され海軍に徴兵され、

たのです、戦争は段々負け戦となり年寄りも徴兵されるようになつた昭和19年の事です、海軍の予備仕官となり最初は霞ヶ浦で飛行機の操縦の訓練を受け、昭和20年になり横須賀、

にて零戦の本格的操縦訓練に入ったのですが、


担当の教官がなかなか厳しい人だったらしく原隊に配属されずにアメリカ軍が沖縄に上陸した5月に鹿児島県の国分にある特別攻撃隊にやつと配属になり、沖縄の敵艦船に突入する、

訓練を受けたのだそうです、特攻はあくまでも志願だったそうですが、当時志願しなかった人は父の回りには一人もなく、いやがおうにも志願せざるをえない状況だったそうです、


配属されて3日目に新しく基地の司令官が赴任して来たそうですが、それが横須賀での教官であった村上少佐で皆を前にこの航空隊は敵艦船には突入しないといい、戦艦や巡洋艦を、

攻撃しても撃墜される確立が高く、飛行機と人員の無駄使いであると話し、防御の弱い輸送船を爆弾で沈める特別攻撃隊であると話し、戦艦も巡洋艦も油がなければ動かない、

補給が出来なければ撤退するしかなくなると話し


基地にあった零戦を改造し今でゆうハイオクの燃料を作り、敵の戦闘機より30kmも早く飛べるようにしただそうです、そして敵の戦闘機にであったら爆弾を捨て、二機でペアーを、

組み一撃して失敗したらそくざに離脱し逃げ、次ぎの一機が攻撃をする戦術に徹するするようにし、被弾したら近くの島の海に不時着しかならず帰還して、次ぎの攻撃に向うのだ、

敵の戦闘機30機か輸送船20隻を沈めたら死んでもいいが、


それまでは死んではならんと言明されたそうで、他の部隊からなぜ突入しないのだと聞かれたら、戦果も上げず突入して死ぬのはバカだと答えておけと言ったそうなんです、

普通は司令は出撃しないのだが、優秀なパイロットで必ず7機編隊で飛び戦場に入ると、一番上空に待機して危なくなる機がいると急降下して敵を打ち落としたそうなのです、


敵が後ろにつくと機体をドリフトさせ敵より50m横で宙返りをする為敵の視界から消えて後ろにピタッとつくそうで、脅かしてニヤッと笑って離脱したそうです、敵が攻撃しない、

限り、自分からは絶対攻撃しなかったそうなのです、その内機体の尾翼に5825の番号が見えると敵戦闘機は空戦を避けるようになり、終戦までの3ヶ月間多大な戦果を収め、基地、

の航空隊の犠牲も少なく、


ほとんどの搭乗員が生き残ったそうなのです、その少佐が飼っていた犬の名前がマルでとても大事にしていて、戦争が終わって家に連れて返ったそうなんです、生き残ったのは、

少佐のお陰だと犬を飼いマルとなずけたのですよと話し、貴方も村上だけど生まれはどこですかと聞くので宮崎の日南ですというと、それでは少佐の息子さんと聞くので、

そうです、ちいさいころマルという犬がいたのを覚えていますというと、


これは驚いたこんな偶然があるのですねとビックリしていたのです、チョツト待って下さいと奥に行き手紙を持って来て、父の国分で一緒だった人が送ってくれたものです、父は、

一回その人に会い佐世保まで出かけたのですよ、帰って来て元気だったよ、でも会うのはこれが最後だろうと言ってました、これは3日前の届いた手紙です、それによると、宮崎の、

日南の少佐のお墓の上空に、


突然12機の戦闘機の編隊が飛んで来て旋回して四国方面へ飛び去ったと書いてあり、少佐のあみ出したドフト戦術を米軍も取り入れているらしく、編隊の一機は米軍のマークが、

あり少佐に対する表敬訪問だったと地元の新聞に出たそうで、わざわざ宮崎に行き手に入れて切り抜き、仏壇に飾ってくれとコピーして送ってくれたんですよ、なんでもその、

戦闘機の一機は息子さんが操縦していたらしいと書いてありましたが、


真一朗さんですかと聞くのでそうですと答えると、それでは自衛隊員ですかと聞くので予備自衛官の三佐ですと答えると、たちあがり失礼しました、わたくしは、航空自衛隊、

予備自衛官、津田一尉でありますというので、立ち上がり返礼すると、手を握り本当にビックリしました、少佐の息子さんが来てくれて親父が喜んでいますよと、言うので、

メイと立ち上がり仏間に行き、


線香をたむけたのです、ありがとうございますと二人が頭を下げるので、こちらこそ偏屈な親父でお父さんは大変だったでしょうと笑ったのです、太郎さん貴方が岩手で真一朗さん、

に会ったおかげです、ありがとうと顔をくしゃ、くしゃにして喜んでいたのです、




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