陽炎の森(現代偏)9 次の朝、杏里に送った携帯電話にかけると、ハイと出たので届いたんだね、これで安心だというと、ハイいつでも連絡できますというので、電話番号と住所を会社に届け


陽炎の森(現代偏)9


次の朝、杏里に送った携帯電話にかけると、ハイと出たので届いたんだね、これで安心だというと、ハイいつでも連絡できますというので、電話番号と住所を会社に届けておく、

ようにいうと、あの~、と言うのでどうしたのと聞くと、実は会社の島本という上役から映画に誘われたのです、断ると不審がられるといけないので承知してしまったのですといった、

のです、嫌いな人なのと聞くと、


そうではありませんが、というのでいいではないの、付き合ってみなければ分からないよというと、本当の事いったらどうなるのかと心配なんですというので、それで付き合わないと、

いう男なら本当に杏里の事を愛していないのだから、付き合いをやめればいいのさというと、そうですね、そんな事を心配する男なら付き合う必要はないですねと笑ったのです、


それではと電話を切り、メイにどうも言い寄られている男がいるみたいなんだというと、もし結婚なんていう事になったら、戸籍がありませんから、色々困る事が起きてしまいますが、

というので、そうなんだよ、その男に父母兄弟がいるとなると簡単に向こうの世界に行くわけには行かないし、なんとかいい方法を考えなくてはと答えたのです、


朝食を済ませフロントに降りていくと、女将が昨日は大変楽しかったです、またお越しください、つつがない巡察をお祈りしていますというので、色々お世話になりました、また立ち、

寄ります、女将さんも頑張ってくださいというと、真一朗様のお顔を拝見してすっかり元気が出ましたと笑ったのです、


別れを惜しみながらホテルを後にして、伊賀上野へ向かったのです、JR関西本線の四日市から伊賀上野までは一時間です、あつという間に伊賀上野駅へついたのです、タクシーに乗り、

鍵屋の辻にいくと、公園になっており、石碑に荒木又衛門と河合又五郎との決闘の経緯が書いてありました、メイがここで又衛門様が決闘なさつたのですね、500年後も伝えられて、

いるなんてと感激しています、


旦那様も色々良い事をなさつたのに、後世に残っていないのは残念ですというので、僕はその時代の者ではないので、残っていたらこうやつてここには存在しない事になるよと笑うと、

そうですね、残っていないのは、ここにこうやってメイといる為だったのですわと納得していたのです、後は奈良に行くよといい、タクシーで駅へ戻ったのです、


メイは伊賀上野で待っていたから、奈良には行っていないので案内するよ、京都に遷都される前は奈良が平城京として栄えていたので。歴史的なものが沢山あるのだよと言うと、楽しみ、

ですね、美味しい食べ物もあるのでしょうと聞くので、柿ナマスという酒の肴があるよというと、どんな料理ですかと聞くので、ダイコンと人参の細ぎりに酢を加え、干し柿を刻んで、

混ぜたものだよというと、


どうして干し柿がというので、干し柿は奈良の名産で当時、砂糖は貴重なので、砂糖の変わりに干し柿をいれたそうなんだ、こうすると酢がまろやかになり、酢の物が美味しくなるん、

だよと説明すると、考えただけでつばが出て来てお酒が進みそうですねと笑っていたのです、ここから奈良までは一時間の距離です、電車に乗り一時間後に奈良についたのです、


まずは大和郡山城に行ってみよう、奈良は色々見物するので、車を借りようと駅前でレンタカーを借りメイを載せ城へ向かったのです、渡良瀬の森いらいですねとメイが喜んでいます、

城に行きましたが、公園になっていて石垣が残っているだけでした、本丸跡に登ると展望レストランがあります、そこから眺めると奈良の町一帯が眺められ、山間の盆地の町です、


昼になったので何か食べようとメニユーを見ると、柿の葉寿司と書いてあります、まあ奈良は柿をつかった料理がおおいのですねとメイがいうので、まさか、柿の握りではないだろう、

と注文したのです、車を運転している時はお酒はのんではいけないから僕はお茶を頼むけど、メイはビールでも飲むというといいんですかというので、普通の缶ビールとノンアルコール、

の缶ビールと柿ナマスを注文したのです、


ビールが来たので蓋を開けると、旦那様運転している人はお酒は飲んではいけないのでしょうと言うので、メイのはアルコールが入っているけど僕のは入っていないので大丈夫だよ、

と乾杯したのです、アルコールの入っていないビールなんて美味しいのですかと聞くので、飲んでごらんと渡すと、一口飲み、あら味は同じですけど、なんか足りないですねという、

ので、アルコールが足りないのだよ、


でも飲んだ気分になるだろうと笑ったのです、柿ナマスが来たのでツマムと酒の肴にピッタリです、メイが本当だ美味しい、喉が渇くとビールは最高ですねと嬉しそうな顔をしたのです、

柿の葉すしが来たので柿の葉を開けると普通の寿司です、食べると柿の葉の匂いがついてて、いい香りです、美味しい、メイも食べてごらんというと、食べいい香りがしますねとよろ、

こんで食べたのです、


それでは法隆寺に行こうと車に戻り向かったのです、近づくと五層の建物が見えてきたのです、まあ素晴らしいとメイがいうので、近くの駐車場に車を止め山門を潜ると、先ほど、

見えた、五重の塔が目の前にたっています、お寺はほとんどそうだけど、クギを一本も使わず作ってあるんだよ、日本の宮大工の腕はたいしたもんだねというと、本当ですねと感激、

して見上げていたのです、


宝物殿にいくと奈良時代からの仏像をはじめ国宝がならんでいます、それは素晴らしい宝物です、すご~いというので、メイにも何か買ってあげようというと、この宝物は売り物なん、

ですかと聞くので、そうだよといい、傍の売店に行き、宝物の写真集を買ってメイに渡すと、なあんだ写真ですかというので、でも本物の写真だから、ここに来なくてもいつでも見ら、

れるからというと、


そうですね旦那様ありがとうというので、一緒に油紙も買い、汗で化粧が落ちたときに使うんだよ、上質の和紙で出来ているから、化粧がくずれないで汗がとれるよと渡すと、

まあ、うれしい、旦那様はよく気がつきますねと感心し、杏里さんと、京子おば様にもお土産に買ってかえりますとサイフを出し、初めてお金を使いますといって、油紙を買った、

のです、


それでは本当の法隆寺に行こうというと、え~、ここは偽者なんですかというので、そうだよ、本当はここから500Mの場所にあったのだよ、雷が落ちて焼けた為ここに、建てなおした、

事になっているらしいけど、どうも違うらしいんだ、ここに移築しなければならなくなったんだよと真一朗が言ったのです、山門を出て左に歩いていき、500m行くと回りが綱で囲ん、

であり、発掘調査をしているみたいです、


みてごらん、あの並んでいる石の上に柱が立っていたのだよ、今の法隆寺と比べるとまったく同じ土台なんだよ、ここに同じ物が建っていた証拠で、焼け落ちた場所に建てなおすのが、

普通なんだ、しかも当時中にあった宝物は焼けずに今の法隆寺に全て残っている、あんな大きな物を火事が起こってから運び出せるはずがない、火事がおこる前に運びだしたとしか、

考えられない、


そうなるとここに雷が落ちて火事になる事をあらかじめ知っていたことになる、そんな事を事前に予知できるはずはないだろう、宝物は先に運び出して、その後ここに火をつけて焼いた、

ことになるよというと、何の為ですかとメイが聞くので、それは大化の改新までさか登らなければならない、大化の改新は聖徳太子と中臣の鎌足が共謀して、時の豪族蘇我のいるか、

を暗殺して、天皇中心の政にもどした事件だよ、


この事件後、中臣の鎌足は朝廷での発言権が強大になっていったのだよ、中臣の鎌足は藤原一族で朝廷での権力が増大したのだ、そうなると賢くて人気のある聖徳太子が段々邪魔になっ、

てきたのだよ、大化の改新後仏教を入れ、それにともなう文化が中国から数多く入ってきて、最初に作ったのが法隆寺なんだ、法隆寺の宝物を全て移し聖徳太子一族を法隆寺に押し込め、

焼き殺したのではないかという事だよ、


これはあくまでも僕の推測にしか過ぎない、しかしその証拠に、あんなに朝廷に貢献し、しかも皇位継承者であった聖徳太子は天皇にはなっておらず、忽然と歴史上から消えているのさ、

不思議な事だねというと、そんな恐ろしい事があったなんて、旦那様の推測が外れているといいのですがと言ったのです、そうだね、天皇になっていないのは、病気になって死んだから、

のほうがいいかも、歴史は掘り返さないほうがいいのかなと笑ったのです、




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