陽炎の森(現代偏)7 地蔵という親分がその当時いましたが、その子孫はいるのですかと聞くと、残念ながら家系は絶えています、先の戦争の時二人の息子さんが戦死されて跡継ぎがいなくな


陽炎の森(現代偏)7


地蔵という親分がその当時いましたが、その子孫はいるのですかと聞くと、残念ながら家系は絶えています、先の戦争の時二人の息子さんが戦死されて跡継ぎがいなくなり絶えてしまった、

のですというので、真一朗がそうですか、それは残念な事ですと瞑目したのです、女将が今日は偶然がもう一つあるのですというので、なんですかと聞くと、当時の巡察方の一向に柳生の、

ゆう様がおられたと日記に書いてあり、


旗本2000石の北田信濃の守様のご子息と婚礼をあげられたそうなのです、北田家はいまでも続いていたのです、先月北田ゆうこと言う娘さんが友達と旅行に来て当ホテルに宿泊、

したのです、江戸時代に北田信濃の守というご先祖がおられませんでしたと聞くと、分からないと言う事でした、今の若い娘さんが500年前の事を知っているはずがないと思ったのです、


その娘さんは北山ゆめと芸名で歌手をしているそうなので、一曲歌ってもらったところ、素晴らしいので、今度このホテルで歌謡ショーをやってくれるよう頼んだのです、家に帰って、

調べたら、やはりご先祖は江戸時代徳川の旗本だったという事で、500年後にゆう様の子孫もここに立ち寄られたわけです、そうするとその娘さんはゆう殿の子孫にあたるわけですね、

と聞くと、そうなんです、


出演を依頼したら承諾してくれて、今日が最終日なのです、その日に真一朗様が立ちよられるなんて凄い偶然でしょうと言ったのです、8時から2回目のショーがありますので、是非、

見てくださいといったのです、それは楽しみですと了承すると、今日の宿泊代のお支払いは結構ですというので、いやちゃんと払いますというと、それではご先祖様にしかられます、

受け取るわけにはいかないのですというので、


分かりましたと返事すると、そこで一つお願いがあるのですがというので、何でしょうかと聞くと、日記にはメイ様は、素晴らしい踊りを舞う人だと書かれていたのです、そうなん、

ですよ、妻を褒めるのは照れくさいですが、踊りは天下一で、巡察のおりは流れ芸者に化けて、悪人の宴会にもぐりこみ、色々調べてくれたのです、その情報の伝達役が、柳生の者、

であり、その頭がゆう殿だったのです、


のゆさんのショーは他の人とのスケジュールが会わず、一人で大変だといっていたのです、この3日のショーは一人でも大成功だったのですが、最後に華があればいいと思いたった、

のです、演歌も歌っていますので、そのおり、メイ様に舞踊を一指し舞ってもらえないでしょうかと頼むので、メイがこの時代の人の前ではとても踊れません、それにこの格好では、

というと、


着物は私の黒小袖があり、カツラもありますし、着付けは私ができます、ぜひお願いしますというので、メイ宿泊費をタダにして貰うのだから、是非引き受けておくれと真一朗がいうと、

旦那様のいいつけではしかたありません、承知しましたと引き受けたのです、ありがとう御座います、ゆめさんが大喜びしますよ、知らせてきます、開演の30分前に準備をしますといい、

部屋を出ていったのです、


旦那様大丈夫でしょうかと言うので、大丈夫だよといい、ゆう殿はお嫁にいったのだあ、しかもその子孫とここで会うなんてビックリだねというと、あのゆう様に似ているのかしらと、

いうので、楽しみだねと話したのです、女将がゆめを連れて戻って部屋に入ってきたので見ると、若武者の格好をしています、北山ゆめです、この格好で最初に演歌を3曲うたいます、

といい、今日はお助けいただけると言う事でありがとう御座いますと頭を下げたのです、


いや~、ゆう殿が500年前から来られたのかと思いましたよ、ご先祖のゆう殿生き写しですと、真一朗とメイがビックリしたのです、ゆめがそんなに似ているのですかと聞くので、本当、

にそつくりだよというと、どうして500年も前の私のご先祖様を知っているのですかと不思議がるので、女将が説明すると、そんな事があるのですか、SFの世界の話だと思っていたの、

ですがと言ったのです、


一人でショーをやるとなると曲の合間にMCを入れなければなりません、私はMCがヘタなのです、今回MCの方とのスケジュールがあわず苦労していますというので、私がMCをやりましょう、

というので、え真一朗さんはMCが出るのですかと聞くので、これでも講演会の前座として出た事もあるんですよと笑うと、是非お願いしますというので、羽織袴はありませんかと聞くと、

なくなった父のがありますというので、かしてくださいと頼み、


部屋に羽織袴を持って来たので、メイに髪の毛を後ろでだばねておくれと頼むと和紙を丸め、こよりを作り紙を束ねたのです、羽織袴に着替え、センスを腹に刺すと、どこからみても、

江戸時代の浪人の姿です、女将とゆめがビックリしています、本当によくお似合いです、その姿で諸国巡察していたのですかと聞くので、いやこれは正装で、巡察の時は着流しですよ、

と言ったのです、


その姿でMCをやっていただけば、お客さんが喜びますとゆめが言ったのです、そしてメイが黒小袖にカッラをつけると、本物の芸者姿です、女将も二度びっくりしていました、

そろそろ時間なので行きましょうといい、会場に向かったのです、真一朗がカーテンの前にたち、皆の衆、ながらくお待たせ申した、ただ今より北山ゆめ歌謡ショーの幕あけで御座る、


この二時間ゆるりとお過ごしくだされ、ゆめ殿の助っ人として、それがし村上真一朗が司会を村上メイが舞踊を舞いまする、宜しくお願いもうすと挨拶すると万雷の拍手です、それでは、

カバー曲でありまする、津軽じょんがら女節をはじめ3曲をうたいまするというと、音楽なり始めカーテンが上がり、ゆめが力強く歌い、メイがそれに合わせ舞踊を披露したのです、


一曲終わる度に万雷のはくしゅです、3曲歌い終わるとカーテンがしまり、真一朗がお気にめされたようでなによりでござるといい、次の歌の準備が出来るまで、それがしがいい話をして、

しんぜよう、みどもは江戸時代からここに助っ人に来たわけで御座るが、江戸時代も現代と同じ、景気がいい時と悪い時が順番にめぐって来たのでござる、景気のいい時の筆頭老中、

今の総理大臣に田沼意次という人がいたのでござる、


この人は経済を活性かさせ、江戸に空前の景気をもたらしたのだが、経済が活性すると、金持ちと貧乏人の格差が開き、だんだん庶民から非難の声が上がり、政的である松平定信との、

政争に破れ辞職したのです、松平定信は緊縮政策を取り、最初は庶民から大歓迎されたのだが、あまりの緊縮政策により経済は冷え込み、活気がなくなつていったので御座る、


その時代に落首といういたづら書きがあり、白河の清き水に住みかねて、今はなつかし、田沼の濁り水という落首が壁にはられると、庶民が拍手喝采したのです、これは最初は老中、

田沼の政策をやんや、やんやの喝采で褒めた者がいつの間にかけなし、活性化から緊縮にしたら、また、やんや、やんやの喝采で褒め、暫くたつと、前が良かったと心変わりをする、

庶民をひにくったというわけでござる、


現代の世もまさにこの通りであり、これは未来永ごうに渡り変わる事はないのです、なかなかいい話で御座ろうというと、万雷の拍手です、それでは用意が出来たよしに御座る、

続けて3曲を歌いますると、カーテンが上がり、音楽が流れゆめが歌い、メイが踊ったのです、10曲ほど披露し本日はいかがで御座ったかな、これから、皆の傍に3人が行きまする、

といい、観客に挨拶に舞台を降りたのです、


大勢の観客と握手をして、舞台に戻り、それでは最後にお座敷小唄を皆で歌い、お別れでござる、当グランドホテルはお湯質もよく、大変効能のある温泉です、皆の衆また是非、

おでかけくだされと最後の挨拶をして、お座敷小唄を観客も一緒に歌ってフイナーレとしたのです、舞台を降りると、女将が素晴らしかったです、歌も踊りも最高、司会がまた、

天下一でしたね、真一朗様は芸人でも食べていけますよと笑ったのです、


されでは着替えて、温泉に入りサツパリしたら、打ち上げをしましょう、後で呼びに行きますというので、着替えて、ベランダの温泉に夜景をみながら入ったのです、しかし、メイの、

歌にあわせての振り付けは晴らしかったよと褒めると、旦那様の司会も天下一でしたよ、ほんとうに器用なのですねと笑ったのです、




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