概要
「友達が欲しいのです。ぼくの人生で、それが唯一の悔いなのです」
革命から数年、王制から共和制に変わった某国。相変わらず処刑人を営んでいた『首切り男』の前に現れた山羊面の男は、さる貴人との文通をするよう依頼してきた。
貴人との手紙での交流で、疑いを持たず唯々諾々と過酷な『仕事』をこなしてきた首切り男の心境に変化が生じ始め…
貴人との手紙での交流で、疑いを持たず唯々諾々と過酷な『仕事』をこなしてきた首切り男の心境に変化が生じ始め…
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!純粋で、誇り高くて、高潔で。そして切なく、苦しい。
罪人の首を刎ねることが仕事の首切り男。死を与える者故に忌み嫌われる彼の前に、山羊のお面をした奇妙な男が「ある貴人と文通をしてほしい」とこれまた奇妙な依頼をしてきて――から始まる中編小説。
手紙の交換を重ねるごとに首切り男の性根の良さと優しさが、仲介人の山羊男の懊悩と忠信が、そして貴人の誇りと気高さがどんどん分かっていき、引き込まれずにはいられませんでした。
だからこそ終盤の首切り男が差し出した選択肢と貴人が選んだ答えに胸が苦しくなり、そしてほろ苦さと仄かな光が灯る最後がいっそう……。
言葉選びも秀逸で、不自然に語句が浮き上がることも無く、全てがこの物語の雰囲気に合致しているのもとても気持…続きを読む